経済の衰退は婚姻率と出生率にどのような影響を及ぼすのか

A priority ticket is seen as people line up inside an unemployment bureau in Athens September 6, 2012. Greece's jobless rate scaled a new record high of 24.4 percent in June from an upwardly revised 23.5 percent in May, the country's statistics service ELSTAT said on Thursday, as a deep, austerity-fuelled recession continued to take a toll on the labour market. REUTERS/John Kolesidis (GREECE - Tags: BUSINESS EMPLOYMENT) - RTR37K4M
But a new paper shows the extent to which one’s job—or lack thereof—also impacts the roles we assume within our family life.Image: REUTERS/John Kolesidis
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仕事が職場の内外で私たちのアイデンティティを形づくる仕組みについて、研究者たちは長年考察してきた。しかし新たな論文は、仕事の有無が家族生活において担う役割にも影響することを示している。研究は、マサチューセッツ工科大学のデビッド・オーター、チューリッヒ大学のデビッド・ドーン、カリフォルニア大学サンディエゴ校のゴードン・ハンソンによるもので、仕事がなくなったときに米国の家族に何が起きるかを調べている。特に、製造業が集中し、貿易の影響を大きく受けた地域に焦点を当てている。

経済面では男女ともに打撃を受けたが、状況の変化への反応は異なっていた。影響を受けた産業が男性中心か女性中心かは、地域の婚姻や出生の傾向に大きな影響を及ぼす。男性の経済的地位が女性より高いままの地域では伝統的な婚姻の形がより一般的だが、男性の雇用が大きな打撃を受けた地域ではそうした傾向は弱い。

製造業は歴史的に、大学の学位がなくても安定した高収入を得られるという意味で「良い仕事」だった。男性がこうした仕事に就く割合は常に高く、その一因には「今でも汚く、暗く、危険な仕事だという見方がある。製造業で働く女性は、繊維、衣料、皮革など特定の産業に集中している。1990年代には製造業に従事する女性の割合が32%でピークに達したが、その後低下した。女性が多くを占める部門が、世界金融危機の際に特に大きな打撃を受けたためだ。

製造業の男女格差が重要なのは、製造業の仕事は非製造業の仕事より平均で17%高い賃金を得られる傾向があり、それが賃金の男女格差につながるからだ。実際、製造業で働く成人(男女)の割合が高い地域ほど、男女の年間所得格差ははるかに大きい。そうした地域では、男性の平均収入は女性よりかなり多い。

しかし過去数十年、競争と貿易の拡大によって製造業は縮小し、多くの男女が失業したり、収入を減らしたりしてきた。この変化に伴う不安に目を奪われると、もう一つの重要な傾向を見落としがちだ。サービス部門の成長によって、製造業で失われた数を上回る雇用が生まれている。ただし、こうした仕事は低賃金であることが多く、それが多くの男性が就くのをためらう理由の一つだ。また、そうした仕事は女性的すぎるという見方もある。理由が何であれ、明らかなことが一つある。製造業の縮小によって、多くの男性の経済的地位は女性に比べて低下した。特に所得分布の下位25%に属する男性で顕著だった。

その後に起きることはよく知られている。家計のやりくりに苦しむ家族。男性は労働市場から完全に退出する。薬物やアルコールの使用が急増し、同じ時期に収監者も増える。さらに、一部の人は、早すぎる死を迎える。論文の著者らは、製造業が縮小した地域の男性で、こうした現象がいずれもより多く見られることを明らかにした。

そのため、家族全体が影響を受けるのは驚くことではない。特に、こうした人口動態や社会の変化によって、国内の打撃の大きかった地域では男性の総数が減少した。貿易による経済的影響が最も大きかった地域では、結婚している若年成人の数が減った。こうした地域では出生率も低下し、未婚の母親から生まれる子どもの割合が高まった(その結果、子どもの貧困も増えた)。著者らによると、こうした傾向はあらゆる人種・民族集団に広く見られる。

女性が、経済、法律、健康上の問題を抱える男性と法的に結びつくことを望まないのかもしれない。あるいは結婚相手となる男性が少なくなったのかもしれない。オーターらは、これらはいずれも婚姻の減少を説明する妥当な理由だと考える一方、シカゴ大学のマリアンヌ・ベルトランとエミール・カメニカ、シンガポール国立大学のジェシカ・パンによる研究にも言及している。この論文では、女性の収入が将来の夫の収入を上回る可能性が高い場合、男女が結婚する可能性は低くなると指摘している。3人の研究者は、「標準的な経済モデルは[…]この傾向を説明できない。むしろ、ジェンダー・アイデンティティに関する規範が結婚に重要な役割を果たしていると私たちは論じる」と述べている。

この仮説は、女性中心の産業だけが縮小した地域を見ると、さらに裏付けられる。そうした地域は数こそ少ないが、特に世界金融危機の際に大きな混乱に直面した。これらの地域では婚姻数が減らなかっただけでなく、婚姻率が上昇し、ひとり親世帯で暮らす子どもの数も減った。

もちろん、婚姻やひとり親世帯の全体的な減少が、製造業の縮小だけによって起きたわけではない。しかしこの研究は、仕事、経済的地位、ジェンダーなど、人生において想定される役割と労働者のアイデンティティがどれほど結びついているかを示している。明らかなのは、経済が変化するなかで、こうした規範の代償がますます大きくなっていることだ。政策立案者が労働者の適応を支援できていないため危機が生じ、米国経済、政治制度、そして次世代の繁栄全体に波及している。

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