気候危機と人口増加により、世界の水資源への負荷はますます高まっています。
海水淡水化は無尽蔵の水資源をもたらしますが、環境に大きな影響を及ぼします。
官民連携と新たな技術が、持続可能な未来への道筋を描く助けとなります。
環境悪化の影響が拡大していることをめぐり、世界的な議論を喚起するため、数多くの暗い予測が用いられてきました。特に、インフラが災害に対処するには明らかに不十分な地域でその傾向が顕著です。世界の気温が上昇し続けること、現在も信頼できる安全な水を利用できない人々が10億人に迫ること、そして水資源に恵まれた地域でさえ安全な水源が減少しつつあること。こうした予測はいずれ、現実になり始めるでしょう。
課題は、その時点に至らないようにすることです。心強いことに、テクノロジーと起業家精神が主導する近年の大きな進展が、道を照らす可能性があります。
現在の推計が正しければ、2050年までに中東・アフリカ(MEA)の人口は約34億人に達し、中国とインドの人口を合わせた数を上回ります。環境への負荷に加え、人口増加は政府に電力や水などの基礎的な公益サービスの提供を迫ります。淡水に乏しいこの地域では、水はすでに希少な資源です。
この地域の人口のほぼ3分の2は、再生可能な水源が十分にない地域に暮らしています。また、60%を超える人々が水ストレスの高い地域に住んでおり、世界平均の約35%を上回っています。これに持続不可能な水利用の慣行が重なり、MEAでは長年にわたり問題となってきました。公共部門と民間部門の双方が、この破壊的な傾向を是正する方法を懸命に探っています。
ここ数十年で注目度を高めてきた、比較的わかりやすい技術の一つが海水淡水化です。一般には海水から塩分を取り除くことを指しますが、廃水や汽水など他の種類の水を処理し、飲用可能にすることも含まれます。
再生可能エネルギーで稼働する海水淡水化の必要性
この水処理技術は、世界の水供給問題への対策として長年研究・活用されてきました。中東の一部の国では、飲料水需要の最大90%を賄うために利用されています。この地域には世界の海水淡水化能力の約40%が集中しており、その大部分をサウジアラビア、クウェート、UAE、カタール、バーレーンが占めています。
例えば、サウジアラビアには世界最大級の海水淡水化プラントがいくつかあります。ACWA Powerなどの主要な供給事業者や運営事業者は、生産量を増やし、運用能力を高めることを求められています。特に同国は、増加する人口の需要に応え、工業化を進めるため、意欲的な変革戦略を推進しており、飲用可能な水の供給への圧力が一段と高まっています。
淡水供給における海水淡水化の貢献は、全体を俯瞰するとそれほど大きくないようです。国際水協会(IWA)によると、海水淡水化が供給するのは世界の飲料水の1%にすぎません。世界各地で何千ものプラントが契約されていますが、その大部分は中東にあります。IWAが「干ばつに左右されない」「無限」と認める海の力を活用する余地は、まだあります。しかし、海水淡水化はエネルギー集約型で費用がかかるとされ、環境にも大きな影響を及ぼします。
現在、湾岸地域の海水淡水化の約70%は、化石燃料のみを使うエネルギー集約型の蒸発法で行われています。ろ過を用いる逆浸透(RO)法の信頼性が高まり、エネルギー消費も減ってきている一方で、この処理に必要な圧力を生み出す電力は、依然として主に化石燃料で発電されています。
材料科学の大きな進歩により、RO法のエネルギー消費はさらに大幅に削減されています。また、再生可能エネルギーによる発電コストが急速に低下し、その電力をRO法の「燃料」として使える可能性が広がっています。イノベーション、起業家精神、そして民間部門の関与拡大が、初期費用と運用コストの双方、ならびに環境への影響の低減に引き続き貢献しています。これらはいずれも、迫り来る水危機への対処において海水淡水化が重要な役割を果たすことにつながります。
例えば、グローバル・クリーンウォーター海水淡水化アライアンスなどの国際的な利益団体は、海水淡水化にクリーンエネルギーを利用するよう働きかけています。また、水処理における化石燃料への依存をさらに減らすため、2036年までの世界目標を設定しています。
こうした意欲的な目標を達成するため、取り組みを加速させる必要があります。中東の一部の国は、再生可能エネルギーを動力源とする海水淡水化プロジェクトの発注で、すでに先頭を走っています。再生可能エネルギーの主流利用を促すには、コストをさらに下げる必要があります。海水淡水化技術も、効率を高め、環境への影響を抑えるため、さらに発展させることができます。
世界的な脱炭素化の要求により、各国の技術革新への取り組みは加速しています。エネルギー需要を従来から炭化水素に頼ってきた中東も、より持続可能な慣行を取り入れるために大きく前進しました。この動きは多くの関係者の協力によって進んでおり、政府のさまざまな取り組みが民間部門を刺激し、革新の限界を押し広げています。
ACWA Powerでは、中東の政府機関と協力して海水淡水化事業での再生可能エネルギー利用を拡大する方法を探ることで、進展が大きく加速したと実感しています。クリーンエネルギーの発電を価値ある経済投資と捉えてもらうための取り組みは、欧州や北米を含む他の地域でも見られます。海水淡水化の需要は急速に拡大すると予測されており、水の生産が各国のエネルギー消費に占める割合も引き続き大きくなるでしょう。全体的な構想は、近い将来、従来型のシステムを再生可能エネルギーによる海水淡水化に置き換えることです。
海水淡水化の革新は、エネルギーに関する議論にとどまらず、水質に関する重要な進歩も含める必要があります。リヤドのような新興都市が直面する現代の都市課題に対応するには、信頼できる公益サービスを提供する、より創意に富んだ方法が求められます。そのためには、効果的な政策立案からハイテク手法の開発まで、複数の部門にまたがる取り組みが必要です。
2018年、南アフリカのケープタウンでは、「デイ・ゼロ」と呼ばれる日、すなわち市内の飲料水が完全に尽きる日までのカウントダウンが始まりました。この終末的なシナリオは、政府がインフラ戦略を見直し、基礎的な公益サービスと生活の維持に必要なサービスの提供にテクノロジーをより適切に取り入れる、大きなきっかけとなりました。
中東・アフリカの乾燥地域から、開発の遅れた小さな島々、さらには米国の広大な大都市に至るまで、テクノロジーと起業家精神は、世界の水危機をめぐる議論に今後も欠かせない要素であり続けます。政策立案者、公益事業の供給事業者、学術界、そして民間部門全体が、今日の気候危機への取り組みから生まれる発見がもたらす、新たな機会の波を捉える準備を整えなければなりません。



