先月、世界経済フォーラム創設者のクラウス・シュワブ氏は、グローバル化のナラティブを変革するという課題を示した。市場主導のグローバル化は10億人以上を貧困から救い出した一方で、不安定な状況にあると感じる社会の重要な層のニーズや願いに応えられていない、と同氏は述べた。
最も劇的な政治的激変が起きている西ヨーロッパや米国だけでなく、今週、地域の未来について話し合うために世界経済フォーラムがブエノスアイレスに集うラテンアメリカにも、この警告は当てはまる。
国連の報告書によると、2002年から2013年にかけて、ラテンアメリカでは6,000万人が貧困から抜け出した。しかし、資源ブームが終わって以降、貧困率は2012年の28.2%から2015年には29.2%へと再び上昇した。さらに、多くの人々が過去10年間に拡大した社会プログラムの恩恵を受けていない。
今世紀初頭に見られた社会・経済面での目覚ましい進歩を維持するために、ラテンアメリカは市民の利益となるよう、グローバル化のナラティブをどう組み替えられるだろうか。
一つの方法は、持続可能な開発目標の実施を主導することだ。17の目標と、それに伴う169のターゲットは手ごわく見えるかもしれないが、既存の政策枠組みに組み込めば、はるかに達成しやすくなる。
例えば、コロンビア政府はすでにSDGsのターゲットのうち92項目を国家開発計画に組み込んでいる。メキシコとベネズエラも同様の取り組みを行い、政策枠組みに目標を盛り込み、進捗を測る国家指標を設定している。
もう一つの方法は、近年の幅広い進歩の恩恵を受けていない人々、とりわけ女性や若者に焦点を当てることだ。
ラテンアメリカでは若年層の失業率が高く、さらに上昇している。若者の5人に1人を超える人が、就業も就学もしていない。ラテンアメリカ開発銀行によると、地域で経済活動に参加している女性はわずか50.3%にとどまる。
より多くの女性や若者が労働力に加われば、持続的な成長と強靱な経済の実現は、はるかに現実的になる。
その労働力の受け皿となるのは主に中小企業(SME)であり、ラテンアメリカの企業の90%超を占め、雇用創出と経済成長の主要な源となる。
しかし、とりわけ失業者にとって、高成長を目指す起業には、構造的、社会的、心理的な複数の障壁が立ちはだかっている。
ラテンアメリカにおけるこうした障壁には、資金調達や起業教育へのアクセスの制約、事業コストの高さ、市場参入や新規事業の立ち上げに伴う規制上のハードルがある。
多くの人々が新たな事業を始めたいと強く望んでいても、こうしたハードルに意欲をそがれているようだ。
OECDが指摘するように、自営業の起業家は一部の社会保障給付を失う可能性がある。また、ラテンアメリカ・カリブ海地域では、起業家が高く評価されていると考える成人の割合が、世界で最も低いと世界起業家精神モニター(GEM)が報告している。
起業は将来の成長と繁栄に欠かせないが、その潜在力を引き出すのは容易ではない。
ラテンアメリカは「能力認識」の水準が最も高く、63%が起業に必要な技能を持っていると考えている一方、中程度から高い成長を遂げる起業家の割合はわずか17%で、最も低い。
では、なぜ高い自己評価が、賢明なリスクテイクや高成長企業につながらないのだろうか。能力認識の過大評価が、自信の危機を覆い隠しているのだろうか。
データをもう少し詳しく見ると、ラテンアメリカの女性は、とりわけ経済発展の初期段階にある国々で、機会を求めるより必要に迫られて起業する傾向が強いことが分かる。エクアドル、ブラジル、チリなど、女性の起業率が比較的高い国でも、女性が金融機関より家族や友人から融資を受ける可能性ははるかに高かった。

国の政策立案レベルで、機会、ジェンダー、年齢をめぐる格差にどう対処できるだろうか。
規制上の煩雑な手続きを減らすことは明白な政策的解決策の一つであり、チリ、コロンビア、パナマなどが採用し、良好な成果を上げている。
しかし、起業に対する認識も、起業を妨げる構造的障壁のいくつかと同じくらい重要だ。GEMの報告書によると、ラテンアメリカで聞き取り調査を受けた女性は、「自分の能力への自信が低い一方で、失敗を恐れる割合が高い」傾向にあった。
既存の資本を活用する経営スキルの提供は、資金調達へのアクセス改善と同じくらい優先されるべきだ。
ラテンアメリカが、市場主導のグローバル化に対する大きな批判の一つ、すなわち非人間的で市民から遠い統治機構という問題に応えるには、新進の起業家が事業を始め、成長させられるよう、地域レベルの説明責任が中心的な役割を果たさなければならない。
エクアドルのマイクロクレジット事業の一つでは、エスメラルダス県でグループ融資方式を用い、持続可能な起業の成長を目指している。借り手は信用グループを組織し、互いの融資を相互保証する。融資担当者が地域で活動することで、主な受益者である貧困層の女性や若者は、事業を始める自信を深め、融資を返済する可能性も高まる。また、ロータリー、FUDECE、グラミン協同組合などのNGOや、政府の訓練機関SECAPから、職業、事業、自己啓発に関する研修を受けている。
これと同様のマイクロクレジット制度をコロンビアで実施したところ、プロジェクト第2段階では融資の100%が返済された。
こうした成功事例をラテンアメリカ全域で大規模に再現するには、二つの知見を認識する必要がある。第一に、新規事業の正式登録がより安く、容易になるまでは、インフォーマル経済が雇用創出の主要な源となる。第二に、女性や若者は、起業家として成功するために必要な技能と支援を自分たちが備えていると信じなければならない。
政策と持続可能な地域の取り組みを通じて、私たちは彼らに自信を与えるだけでなく、成功に向けた具体的な手段も示せる。さらに、世界で最も革新的なエコシステムから教訓を共有できる。再挑戦の機会があるなら、早い段階での失敗はそれほど悪いことではない。


