世界が急速に変化するなか、新たに生じる課題の解決にはイノベーションが欠かせません。変化を生かす適切な環境を整えることも必要です。
世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーズ・フォーラムは、ネットワーキングが個人や組織のイノベーション戦略に不可欠だと考えています。
多様な背景や業界の人々とつながることで、新たな視点や知見、イノベーションを促すアイデアに触れることができます。
イノベーションは常に、進歩と成長を促す重要な原動力でした。しかし、変化の激しい今日の世界では、イノベーションの緊急性がかつてなく高まっています。技術の進歩、地政学的な変化、予測しにくい消費者の嗜好が競争環境を形作るなか、組織は絶えず変化するビジネス環境で繁栄するために、イノベーションを受け入れなければなりません。
変化する世界でイノベーションを加速させるには、さまざまな戦略やアプローチを組み合わせる必要があります。重要な戦略の一つは、リスクを取ることや実験、現状への挑戦を促す文化を育むことです。そのためには、イノベーションを支える安全で協力的な環境をつくり、従業員が新しいアイデアを生み出すために必要な資源やインセンティブを提供し、成果を称えることが求められます。ネットワーキングは、こうした取り組みを促進する強力な手段となります。
変化の速い相互につながった世界では、ネットワーキングの重要性がかつてなく高まっています。ソーシャルメディアやオンラインコミュニティ、デジタルプラットフォームの普及により、ネットワーキングはより簡単かつ迅速になり、誰もが利用しやすくなりました。こうした技術の進歩によって、人々は国境や業界を越えて、容易につながり協働できるようになっています。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、オンラインで人とつながる方法が大きく変化したかもしれませんが、私たちは次のものがもたらす影響を否定できません。それは、人と人との真のつながり、対面でのネットワーキング、そして交流の自発性です。ネットワーキングを重視する考え方は、組織が外部の情報源とつながり、知識交換を促進することを奨励するオープンイノベーションの概念にも見られます。
視野を広げる
世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーズ・フォーラムは、ネットワーキングが個人や組織のイノベーション戦略に不可欠だと考えています。多様な背景や業界の人々とつながることで、新たな視点や知見、イノベーションを促すアイデアに触れることができます。こうした気づきは、問題解決力を高め、新しいアイデアを生み出し、確かな評判と信頼の構築につながります。
ロックフェラー財団ベラージオ・センターと協力し、世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーズ・フォーラムは、志を同じくする17人のヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)を集めた会合を開催しました。参加者は、健康とジェンダー平等、気候変動、インパクト投資、透明性とガバナンス向上のための技術開発など、幅広い課題に取り組んでいました。この会合を通じてYGLは、志を同じくする人々とつながり、知識を共有し、協働し、アイデアを交換するとともに、未来を形作るプロジェクトやアイデアについて意見を得ることができました。
その結果、参加者はアイデアを磨き、新たな機会を見いだし、取り組もうとしている課題への理解を深め、イノベーションのプロセスを加速させることができました。イタリアのベラージオ・センターは、個人で内省できる静かな雰囲気と、建設的なグループ交流を促す活気ある環境を備え、会合に理想的な場所でした。
私たちの取り組みが、官僚主義の縮小や安全性の向上、政府の能力構築につながると同時に、デジタル経済の可能性を解き放つことができると知り、心を動かされました。
ヘスス・「チュイ」・セペダ、OS City創業者兼CEO ― メキシコ
仲間意識と支え合い
会合の後、プロジェクトの加速に取り組むなかで、対面での会合がどのような機会をもたらしたのか、4人のYGLに尋ねました。
イアン・ソロモン、バッテン・リーダーシップ・公共政策大学院学長 ― 米国
YGLベラージオ会合は、個人で内省するにも、建設的なグループ交流を行うにも最適な環境で、同じYGLの仲間と意見を交わす素晴らしい機会でした。約15カ国から集まった、多様で活力ある約18人のリーダーが、それぞれ人生にとって重要な個人プロジェクトを持ち寄り、議論しました。
私の場合、現在および将来の平和構築に取り組むリーダーたちに向けた、世界規模のリソースを開発するプロジェクトです。その目的は次のとおりです。
紛争解決のスキルを学ぶ。
対立するグループが協力して取り組める場を設ける。
紛争や平和構築に伴うトラウマからの回復を可能にする。
主な学びは、資金提供の候補者やその他の関係者に向けて、他との違いが明確な価値提案を練り上げ、はっきりと伝えることの重要性でした。プロジェクトの回復支援とメンタルヘルスの側面が重要だという具体的なフィードバックを受けました。また、さらに多くの人にアイデアを伝えると、一人ひとりが質問を投げかけてくれ、それによって自分の考えを問い直し、練り直すことができました。資金提供者やパートナー候補についてのアイデアも得られ、対面、遠隔、ネットワーク型など、さまざまな提供モデルを検討するきっかけにもなりました。
長嶺慶信、シニアマネージャー、Gaviワクチンアライアンス ― スイス
まず、自分は一人ではないと気づくことで、心が安らぎます。仕事でも私生活でも困難に直面することはよくありますが、リーダーという立場では、とりわけ孤立しがちです。同じような課題にほかの人も向き合ってきたと知ることは、前に進むために必要な強さと勇気を与えてくれます。
次に、大きな夢を抱き、現状に甘んじないための意欲が湧いてきます。ベラージオでの出会いは、限りある人生を最大限に生かすよう促す、変革的な経験でした。ベラージオでの合宿は、YGLとして経験したなかで間違いなく最も素晴らしいものでした。参加者は約1週間にわたり、生地の材料のように集められ、何度もこねられ混ぜ合わされました。同僚たちは率直に自分の体験を語り、助言や知見を分かち合いました。その間、皆が「仲間のYGLをどうすれば助けられるだろうか」という問いを心に留めていました。私たちの間に魔法のような感覚と仲間意識を生み出す、まさに理想的なレシピでした。
ラヤ・ユスフ=スビタニー、最高経営責任者、Derma Beauty Lab ― パレスチナ自治区
プログラムに参加したほかのフェローとの会話も、非常に有意義でした。彼らは私の業界や地域と直接関係していませんでしたが、こうした会話から、それまで考えもしなかった新たな知見や視点、アイデアを得ることができました。また、滞在プログラム中に築いた関係は、事業を成長・拡大させていくなかで、継続的な支援や助言、ネットワーキングの機会をもたらしてくれるかもしれません。
YGLネットワークは、さまざまな形で活用できます。壁打ち相手になってもらう、コンテンツに貢献する分野の専門家を迎える、事業の立ち上げや拡大に関するさまざまな分野で支援を求める、といった方法があります。
ヘスス・「チュイ」・セペダ、OS City創業者兼CEO ― メキシコ
私たちの仕事がもたらす影響と、関係者と有意義なつながりを築く重要性について、貴重な知見を得ることができました。私たちの取り組みが、官僚主義の縮小や安全性の向上、政府の能力構築につながると同時に、デジタル経済の可能性を解き放つことができると知り、心を動かされました。さらに、政府向けの事業は投資家にとって不確実性が高い場合がある一方で、OS CityのようなGovTech企業にロビイストが資金を提供する強い動機は依然としてあると気づきました。
個人的には、YGLコミュニティで素晴らしい女性たちとつながれたことに、深く感謝しています。彼女たちの物語や視点に触発され、娘たちに刺激を与えるため、彼女たちにインタビューするポッドキャスト「Papá de Niñas」を始めることにしました。このポッドキャストを通じて、ほかの父親や家族も、こうした力強く、さまざまな分野で活躍する女性たちから学び、娘たちが夢を追うことを支えられるよう願っています。

