米国の大学はいかに学生の起業家精神を育んでいるか

Students and visitors sit in front of a fountain at Harvard University in Cambridge, Massachusetts September 21, 2009. REUTERS/Brian Snyder (UNITED STATES)
As students increasingly pursue entrepreneurship, more universities are creating accelerator and incubator programs to support them.Image: REUTERS/Brian Snyder
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10年前、デヴィン・ジェイムソンは大学を中退し、高齢者コミュニティ向けのワイヤレスヘッドセットのスタートアップ、Eversoundの事業に専念する道を選んでいたかもしれない。

その代わり、ジェイムソンはコーネル大学のeLabプログラムを通じて、共同創業した会社と学業を両立させることができた。彼は2015年に、アクセラレーターのカリキュラムである同プログラムを修了した。

eLabプログラムは1学年度を通して実施される。学生は講義や授業、メンターによる指導に参加し、5,000ドルの投資を受けながら事業を立ち上げていく。プログラムの最後には、潜在的な投資家を含む数百人の聴衆の前で、学生が自分の事業を発表する。

「インキュベーター・プログラムに参加して、大学の正式な単位を取得できたことは本当に重要でした」とジェイムソンは語った。「何かを諦める必要がありませんでした」

学生が起業を目指す傾向が強まるなか、それを支援するアクセラレーターやインキュベーターのプログラムを設ける大学が増えている。大学はまた、柔軟性や革新性、デジタル分野の専門性など、次世代の働き手がギグエコノミーで活躍するのに役立つ職業スキルも育んでいる。

国際ビジネス・イノベーション協会の「2016 IMPACT Index」によると、大学に関連するインキュベーター・プログラムの割合は過去最高の42%に達した。2012年の約3分の1、2006年の約5分の1から上昇している。

PitchBook-NVCA Venture Monitorによると、この傾向は、米国のベンチャーキャピタル業界が昨年、起業家に840億ドルを投じた時期と重なる。これは、2000年代初頭のドットコムブーム以降で年間最高額だった。

革新的で多才な人材が世界で切実に求められていると、ペンシルベニア州立大学の研究担当副学長ニール・シャーキーは語る。同大学は2015年、「Invent Penn State」イニシアチブを立ち上げ、起業家精神を促す大規模な取り組みを開始した。

「キャリアを通じて一つの企業に勤め続ける時代ではない今、起業家精神を持つことは大きな強みになります」とシャーキーは語った。

起業家精神は学生の利益になるだけでなく、雇用を創出し、経済成長を促すことで社会に貢献するためにも重要だと、ペンシルベニア州立大学のエリック・バロン学長は述べた。

取り組みの開始以来、ペンシルベニア州立大学の21のキャンパスに「イノベーション・ハブ」が設けられた。学生、教職員、地域住民に、共同作業スペースやアクセラレーターなど、さまざまなリソースを提供している。

同大学はまた、ほとんどの学部に起業家精神を学ぶ副専攻課程を設置した。卒業生が創設した「Summer Founders」プログラムでは、1万ドルの奨学金を支給し、学生が学期の合間に正式なアクセラレーター環境で事業を拡大できるようにしている。

頭脳流出

ピッツバーグのカーネギーメロン大学では、あるコンピューターサイエンス教授の素朴な問いをきっかけに、大学のインキュベーター・プログラムが生まれた。卒業後も、より多くの学生にこの街に残ってもらうにはどうすればよいのか、という問いだった。

学生たちは、希望する仕事が別の場所にあり、新たな仕事を生み出す方法も知らなかったため、街を離れるのだと教授に話した。教授のレノア・ブルームは、学生が望む仕事を自ら生み出せるよう教えるため、「Project Olympus」を創設した。

このプログラムは、10年前に起業を目指す20組を支援していたところから、今年は140組にまで拡大した。プログラム責任者のキット・ニーダムによると、同市で400人を超えるフルタイム雇用を生み出している。

インキュベーターやアクセラレーターのプログラムは、運営体制や大学との結びつきがそれぞれ異なる。Project Olympusは競争のない課外プログラムで、学生、教員、職員なら誰でも、無料で助言を受け、リソースを利用できる。

大学の支援を受けずに、学生が自力でプログラムを立ち上げる場合もある。カリフォルニア大学バークレー校の「LAUNCH」は4年前に設立され、同校にある5つのアクセラレーターの一つだと、Berkeley Gateway for Innovationは伝えている。LAUNCHは、学生が運営していた前身の組織から発展した。

LAUNCHは大学の単位認定を目指したものの、学生と教員のボランティアが大学から独立して運営していると、LAUNCHの教員の一人でBerkeley-Haas Entrepreneurship Programのディレクターを務めるロンダ・シュレイダーは語った。成功を収めた卒業生のうち、6社のスタートアップが、最も名声の高いアクセラレーターの一つであるY Combinatorに採択された。

シュレイダーは、キャンパスで起業が広がる背景には、試作品の製作費が下がったことや、同じ道を目指す仲間との交流が増えたことなど、いくつもの要因があると考えている。

「ギグを基盤とする経済へと移行するなかで、これは一種の中間段階です」とシュレイダーは語った。「起業家になることは、単発の仕事をするだけの状態から一歩進んだものですが、大企業で働くよりも形式ばらない仕組みです。これは間違いなく時代の兆しだと思います」

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