自然と生物多様性

写真で見る、野生生物の最も美しく脆弱な姿

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花の上で獲物を待つ、ガの一種の幼虫の写真。野生生物の写真展は、自然の驚異と脆弱性を浮き彫りにします。

野生生物の写真展は、自然の驚異と脆弱性を浮き彫りにします。 Image: Joseph Ferraro, Wildlife Photographer of the Year

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Writer, World Economic Forum
  • 「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」コンテストの写真は、自然界への注目を促します。
  • 1970年以降、野生生物の個体数は約4分の3減少しており、人々の意識向上が極めて重要です。
  • 資金調達も同様に重要であり、世界経済フォーラムは、自然損失を食い止め、逆転させるために、企業は年間1.2兆ドルの投資を必要とすると見込んでいます。

生物多様性や自然喪失に関する統計は抽象的であり、具体的なイメージを重ねるのが難しい場合があります。

生物多様性や自然喪失に関する統計は抽象的であり、具体的なイメージを重ねるのが難しい場合があります。

例えば、世界自然保護基金(WWF)の『生きている地球レポート』2024年版によると、野生生物の個体群の平均サイズは1970年以降、約4分の3減少。衝撃的な数字ではありますが、その重要性を真に理解するのは困難です。

大小さまざまな野生生物の写真こそが、自然損失が現在のペースで続いた場合に失われる可能性のあるものを最も強く思い起こさせるでしょう。現在、9つのプラネタリー・バウンダリー(地球の限界)のうち、7つをすでに超えています。世界経済フォーラムは、自然消失を食い止め、回復させるには企業だけで年間1.2兆ドルの投資が必要と推定しています。こうした警告はまさに時宜を得たものです。

毎年、「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」アワードには6万点以上の応募が寄せられます。審査員団が選出する上位100作品は英国ロンドンの自然史博物館で展示され、各部門から16の受賞作品が選ばれます。また、一般投票対象となる24作品も選定され、受賞作品は同賞の展示会で公開されます。以下は、2026年の「ヌビーン・ピープルズ・チョイス」賞にノミネートされた作品の一部です。

海中の大渦巻

Image: Cecile Gabillon / Wildlife Photographer of the Year

コスタリカ沖で撮影されたこの写真では、ハシナガイルカの一群がランタンフィッシュの群れを水面へと追い立てています。

グローバル経済において海は重要な役割を担っており、世界の貿易量の約80%が海上輸送です。また、海洋関連産業の年間価値は、今世紀末までに3兆ドルに達すると見込まれています。また、30億人以上の人々が重要なタンパク源として魚介類に依存。国際通信には、海底光ファイバーケーブルが不可欠です。

一方、海面上昇から水温上昇に至るまで、海は気候危機の影響に直面しています。

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ホッキョクグマの休息

Image: Christopher Paetkau / Wildlife Photographer of the Year

こちらは、夏の暖かさの中で2頭の子グマと一緒に休息をとるホッキョクグマの母親です。海氷の縮小に伴い、ホッキョクグマが餌を見つけるのはますます困難になっています。

2023年の北極海氷を示す地図。
2023年9月19日時点の北極海氷面積は、夏季最小値として観測史上6番目に小さいものでした。 Image: NOAA

2023年9月19日時点の北極海氷面積は、夏季最小値として観測史上6番目に小さいものでした。

米国海洋大気庁(NOAA)の画像(上)が示すように、北極の夏の海氷は従来と比較して減少傾向にあります。WWFは、この海氷の減少がホッキョクグマの個体数に深刻な影響を及ぼす可能性があると警告しています。世界におけるホッキョクグマの個体数は、今世紀半ばまでに30%減少すると予測されています。

密猟の実態

Image: Adam Oswell / Wildlife Photographer of the Year

これらのわなは、ウガンダのマーチソンフォールズ国立公園でわずか1年間に押収されたものです。写真家のアダム・オズウェル氏は、地元のレンジャーや地域ボランティアと協力し、このように積み上げる作業に1週間を費やしました。

わなは、収入や食糧を必要とする一部地域住民による野生動物捕獲手段であると同時に、大規模な密猟組織にも利用されています。

2024年の国連報告書は、数千種に影響を及ぼす野生生物密輸が続いていると警告。国際刑事警察機構(INTERPOL)は、野生生物の違法取引が年間200億ドル規模と推定しています。

国際動物福祉基金(IFAW)によると、昨年世界で最も密猟された動物はカモシカ、バッファロー、サイでした。

「ちょうっとまってて」

Image: Mogens Trolle / Wildlife Photographer of the Year

タイの国立公園で、雨を避けて使われていない焼却炉の中で休むマレーグマ。その鼻先に蝶が止まっています。

マレーグマが、手軽な餌を求めてキャンプ場を訪れることが増えています。しかし、野生動物が人間の領域に迷い込めば、必然的に問題が起こります。人間と野生動物が出会うことは、人間の死亡事故にとどまらず、報復や防衛のための殺害、動物種の個体数減少にもつながります。

クモと目が合う

Image: Thomas Hunt / Wildlife Photographer of the Year

ワイン蔵に住むこのクモ(別名:「あしながおじさん」)は、卵の塊を口に入れて運んでいます。保護活動の象徴となるのは往々にして大型動物ですが、小型動物も同様に生息地の喪失や気候変動に直面しています。

例えば、昆虫です(ご存知のように、クモ類は昆虫ではありません)。米国国立公園局によると、昆虫は地球上の全生物種の約90%を占め、100万種以上が確認されています。一方で、昆虫種の40%以上が減少傾向にあり、3分の1が絶滅の危機に瀕していると推定されます。

昆虫が果たす役割は代替不可能です。世界の農作物の75%以上は昆虫による受粉に依存しており、その年間価値は5,770億ドルと推計されているのです。動物のフンを食べる糞虫類でさえ、米国の畜産業だけで年間3億8,000万ドルの価値をもたらしています。

行動を起こす

これらの写真は、野生動物の最も美しく、最も脆弱な姿を示しています。そして、保護と保全への強い意欲を喚起することを願って撮影されています。

世界経済フォーラムは、パブリックセクターと企業のステークホルダーを結集し、自然や気候危機に関連する課題に取り組む以下のようなイニシアチブを通じて、理念を実践に移す取り組みを継続的に行っています。

「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の一般投票部門受賞作品は3月25日に発表。選出された作品は、7月12日まで英国ロンドンの自然史博物館で開催される入選作品展に展示されます。

ライセンスと転載

世界経済フォーラムの記事は、Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International Public Licenseに基づき、利用規約に従って転載することができます。

この記事は著者の意見を反映したものであり、世界経済フォーラムの主張によるものではありません。

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海中の大渦巻ホッキョクグマの休息密猟の実態「ちょうっとまってて」クモと目が合う行動を起こす
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