深層地理学

連絡橋とコネクティビティ―中東が地域統合を再構築する方法

バーレーン、マナマのワールド・トレード・センターの夜景。中東のGCC地域は、地域統合により外国投資に市場を開放しています。

中東の湾岸協力会議(GCC)地域は、地域統合により外国投資に市場を開放しています。 Image: Charles-Adrien Fournier/Unsplash

Abdulla bin Ahmed Al Khalifa
Minister of Transportation and Telecommunications of Bahrain, Ministry of Transportation and Telecommunications of Bahrain
  • 一部の国々が貿易障壁を設ける中、湾岸協力会議(GCC)地域は外国投資に対して市場を開放し続けています。
  • 湾岸諸国の巨大インフラプロジェクトは、この地域の接続性と経済的可能性を変革するものです。
  • このアプローチは、ますます分断が進む世界において、戦略的なインフラ開発がどのようにコネクティビティを支えることができるかについて、新たな可能性と深い洞察を提供します。

グローバル貿易を取り巻く状況は、厳しさを増しています。

地政学的な分断、コネクティビティの混乱、世界的な緊張により、国境を越えた商品やデータの移動はより困難になり、多くの場合、より高価になっています。

多くの国々が内向きになる中、湾岸協力会議(GCC)は、経済の多様化を追求すると同時に、外国投資に対して市場を開放し続けています。このアプローチの中心となるのは、この地域の野心的なコネクティビティ整備方針であり、道路、鉄道、航空、海上、ケーブルを通じて、各経済圏を結びつけるために多額の投資を行っています。これらの取り組みは、異なる経済圏からなるこの地域を、統一された、レジリエンスの高い経済回廊へと変革し、世界中に幅広い貿易の道を提供することを目的としています。

すべての道は貿易に通ず

何世紀にもわたって、テクノロジーは貿易を変革してきましたが、道路や輸送インフラは依然としてそのバックボーンであり続けています。他の地域が、既存のインフラに制約されたレガシーシステムの近代化を目指している一方で、GCC は、最先端のコネクティビティをゼロから構築することが可能でした。旧来のシステムを回避し、21 世紀の貿易に向けて輸送ネットワークを将来にわたって効果的に確保することができたのです。

私が運輸通信大臣を務める島国、バーレーンは、GDP合計2兆3,700億ドルのGCC地域への玄関口として機能し、空路、海路、陸路を通じて同地域最大の市場であるサウジアラビアへ、シームレスなアクセスを提供しています。

計画中の連絡橋、キング・ハマド・コーズウェイ(バーレーンとサウジアラビアを結ぶ第二の連絡路)は、道路貨物輸送と鉄道を単一の回廊に統合します。この連絡橋は、2,117キロメートルに及ぶ鉄道網でGCC加盟国を結ぶ、GCC鉄道構想の一部。地域で最も変革的なインフラプロジェクトの一つと評される同構想は、域内貿易を促進する触媒となることが期待されており、2045年までに9,500万トンの貨物輸送が見込まれています。

運輸と物流は、バーレーンとサウジアラビア双方の長期開発戦略において重要な位置を占めています。最近開業したリヤドの地下鉄を含むリヤドの「キング・アブドゥルアズィーズ公共交通計画」や、バーレーンで計画中の「メトロ・ネットワーク・プロジェクト」は、都市内移動を都市間移動と同様にシームレスにすることを目指しています。

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空路の活用

グローバル貿易の拡大に伴い、空路もまた重要な貿易ルートとなりました。今日、湾岸地域はその戦略的な立地により、旅客、貨物双方にとって、グローバルな航空ハブとしての地位を確立しています。

2022年に実施されたバーレーンの空港近代化計画は、受賞歴のある新旅客ターミナル、エクスプレス・カーゴ・ビレッジ、多層駐車場の追加、最新技術による空港設備のアップグレードにより、地域航空交通に大きな推進力をもたらしました。バーレーン国際空港は、持続可能な設計と運営が評価され、LEEDゴールド認証を取得。さらに2025年には、スカイトラックス・ワールド・エアポート・アワードの3部門で受賞を果たしています。一方、国営航空会社であるガルフエアは、ニューヨークへの直行便を就航させ、ネットワークを拡大。バーレーンと北米の空の架け橋を結び直しています。

また、エアアジアの親会社であるキャピタルAバハッドとバーレーン政府との間で締結された最近の意向表明書(LOI)は、バーレーンをエアアジアの中東ハブとして確立する可能性を探るパートナーシップの始まりを示しています。この意向表明書には、将来の航空運航、貨物・物流、整備能力、人材育成における協力関係の概要が記されています。

一方、バーレーン国内におけるテセルエアの成長に伴い、同国の航空インフラも拡大を続けています。同社はバーレーン国際空港に航空機整備施設を運営し、包括的な貨物運用および整備サービスを提供。2025年6月にはバーレーン空港会社との間で覚書(MOU)を締結し、事業拡大をさらに推進しています。また、新たに7,000平方メートルのコードC航空機格納庫を建設するとともに、10,000平方メートルの追加エプロン、移動区域、誘導路エリアを開発する予定です。

ドバイは世界有数の航空交通の要衝であると同時に、エミレーツ航空の国内ハブ空港でもあります。この交通拠点は350億ドル規模の投資により、さらなる拡張が計画中。拡張後の空港は年間2億6,000万人の旅客と1,200万トンの貨物を受け入れ可能であり、取扱量で世界最大のハブ空港となる見込みです。

一方サウジアラビアでは、自国のメガ空港となるキング・サルマン国際空港の建設が開始されました。2030年の完成を予定する同空港は6本の滑走路を備え、最大1億人の旅客を処理可能。2034年のFIFAワールドカップ開催を控え、観光、貿易、輸送のハブとしての地域的地位を強化します。

海と空の統合

バーレーンのハリファ・ビン・サルマン港は、同国の歴史的な海運遺産と先進的な現代技術を融合させています。APMターミナルズ社が運営する同港は、地域初の完全太陽光発電による海港となりました。バーレーン国際空港およびキング・ファハド・コーズウェイへの戦略的な近接性に加え、技術的進歩と運営効率の高さが評価され、世界で最も効率的な小型港湾として認知されています。

また、貨物船・客船用施設である「グローバル・シー・トゥ・エア・ハブ」を通じたバーレーン国際空港との連携は、現代の物流が世界および地域の貿易全体でいかに効率性を高めることができるかを示しています。ここでは、合理化された通関手続きにより、港湾と空港間の保税リードタイムは2時間に短縮され、他のルートと比較して配送時間を半減、コストを40%削減することに成功しています。

デジタルのコネクティビティ

トラックや船舶で輸送される物品の数以上に、光ファイバーケーブルを通じて高速で送られるデータが存在します。インテリジェンス時代において、デジタル接続性は物理的インフラと同様に、GCCが目指す未来対応型経済のビジョンにとって不可欠な要素となっています。

ベイオンの投資による、バーレーンと14カ国を結ぶ21,700キロの海底通信ケーブルシステム「Fibre in Gulf(FIG)」ケーブル、GCC7カ国を結ぶ「2Africa Pearls」ケーブルなど、バーレーンを経由するプロジェクトは、湾岸地域全体のデータ容量拡大、遅延削減、デジタルインフラの耐障害性強化に極めて重要です。

これらのケーブルが加わることで、バーレーンのデジタル分野は、安定したアクセス、より迅速な取引と処理という基盤を得て、繁栄するビジネスの構築と運営が可能となります。バーレーンのデジタルインフラはすでに世界最高水準にあり、これらのプロジェクトはデジタルファーストの世界で同国が主導的役割を果たす能力をさらに強化することができるでしょう。

架け橋の構築

湾岸諸国の巨大インフラプロジェクトは、この地域の接続性と経済的可能性を変革するものです。強化された航空・海上・陸上ネットワークにより、国際的な訪問者にとってのアクセスが向上すると同時に、GCC域内観光の流動性も強化されます。商品の貿易フローはより円滑になり、企業のデジタル業務は高速化され、雇用創出、収益成長、貿易拡大を通じて地域経済が恩恵を受けるでしょう。

こうした大規模な投資を通じて、湾岸諸国は、世界的な分断の時代に地域統合がいかにレジリエンスを生み出すかを示そうとしています。物理、デジタル両面の架け橋を構築することで、GCC地域は経済成長と安定性の強固な基盤を築いています。世界の投資家や政策立案者にとってこのアプローチは、ますます分断が進む世界において、戦略的なインフラ開発がどのようにコネクティビティを支えることができるかについて、新たな可能性と深い洞察を提供するでしょう。

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