心に響く8枚の作品「マングローブ写真賞2024」から
一連の写真が、マングローブ林に依存する地域社会が直面する課題を浮き彫りにしています。 Image: Erfan Samanfar/Mangrove Photography Awards 2024
- マングローブ林の破壊により、沿岸地域社会は気候変動の影響を受けやすくなり、深刻な脅威にさらされます。
- マングローブ写真賞を受賞したこれらの写真は、マングローブ生態系に依存する人々が直面する課題を浮き彫りにし、それを保護するための取り組みを示しています。
- 世界経済フォーラムと世界資源研究所(WRI)により設立された「フレンズ・オブ・オーシャン・アクション」は、「1t.org」イニシアチブと協力し、マングローブ林の保全と回復に向けた進展を加速させるため、マングローブ・ワーキンググループを設立しました。
世界中で、マングローブ林は毎年、400万台の自動車を道路から排除するのと同じ量の二酸化炭素を吸収しています。
この「ブルーカーボン」のエコシステムは、高潮から沿岸のコミュニティを守り、海洋生物に重要な生育環境を提供し、海岸の浸食を防いでいます。
しかし、その重要性が明白であるにもかかわらず、現在世界で残っているマングローブ林は、元来あった面積の半分以下。
今年で10回目を迎えるコンテストは、マングローブ林の保護と回復を促進することを目的としています。
マングローブ・アクション・プロジェクト(MAP)が主催するマングローブ写真賞(Mangrove Photography Awards)は、「マングローブ林に依存する人々や野生生物、それらが直面する脅威、そしてマングローブ林を保護するために緊急の行動が必要な理由に対する認識を高める」ことを目指しています。
「写真には、言語の違いに関係なく、物語を託し、身近に感じさせてくれる力があります。このような写真を見るたびに私は、まだ希望はあると思うのです」。
”ここでは、世界各地のマングローブ生態系の美しさと、そのグローバルな重要性を紹介する今年の受賞作品の中から、私たちのお気に入りの写真をいくつかご紹介します。
「自然のリボン(Nature's ribbon)」
「水とマングローブの繊細なダンスによって形作られた風景の、時を超えた美しさと静けさを捉えた」ランドスケープ部門の受賞作品。
「蜂蜜採り(Honey heist)」
マングローブ蜂蜜採取ミッションである「ゴールデン・ハニー作戦(Operation Golden Honey)」をインドのスンダルバンスで撮影。この採取活動は森林局によって許可されています。
マウリ族は、蜂蜜採取への危険な旅で直面する多くの脅威のひとつであるトラの襲撃を防ぐため、後頭部にマスクを着用します。
彼らのサステナブルな慣習により、蜂蜜の収穫が環境に悪影響を及ぼすことなく、マングローブ林とそこに生息する生物が繁栄し続けることができるのです。
「泥の輪漁(Mud-ring feeding)」
この野生生物部門の受賞作品は、フロリダ湾のマングローブが生い茂る浅瀬や、カリブ海の数カ所に生息するバンドウイルカだけに見られる、珍しいユニークな捕食行動を捉えた一枚。一群の魚を取り囲んだイルカの群れの一頭が、尾で泥を蹴り上げて泥の輪を作ります。この輪の中に閉じ込められた魚は、「安全を求めて」飛び出し、イルカの口の中に入ってしまうのです。
「このような狩りの戦略や調整能力、そして平等に分け合う能力は、この動物が驚くほど賢いことを証明しています」。
”度重なる熱帯低気圧、海面上昇、マングローブの伐採などはすべて洪水の原因となり、インドのベンガル湾にある家屋や農場に影響を及ぼしています。
この課題はベンガル湾だけのものではありません。世界中で、低地にある沿岸地域の何百万人もの人々が、異常気象やその他の人為的な気候変動による影響に対して脆弱な状態にあります。
「湾の守護者(Guardians of the Gulf)」
このカメは環境に大きな影響を与える「キーストーン種」であり、マングローブ林の健全性を高める上で極めて重要です。カタツムリ、カニ、貝、小魚を食べることで、こうした生物が増えすぎて生態系を乱すことがないようにしているのです。
「カカバンのマングローブ(Kakaban mangrove)」
インドネシアで撮影されたこの写真は、水中からマングローブ生息地の鮮やかな色彩を捉えています。
「脅かされるマングローブの未来(The threatened future of mangroves)」
インドで魚の養殖池を作るために伐採されたマングローブ林の写真です。これらの生態系の回復、管理、保全に向けた多大な努力がなされなければ、マングローブ林の面積は減少の一途をたどるでしょう。
気候変動やマングローブの劣化の影響を直接的に感じている地域社会の人々が、協力してこれらの生態系の復活に取り組んでいます。
生態系の復元に取り組む民間企業であるボンディは、マダガスカルのマジュンガにあるこの農村共同体のような地域社会と協力して、マングローブの復元に取り組んでいます。
保護活動の力
世界経済フォーラムと世界資源研究所(WRI)により設立された「フレンズ・オブ・オーシャン・アクション」は、「1t.org」イニシアチブと協力し、マングローブ林の保全と回復に向けた進展を加速させるため、マングローブ・ワーキンググループを設立しました。