• 国際労働機関(ILO)の統計によると、新型コロナウイルスが感染拡大してから、全世界で3億500万人分のフルタイムの雇用が失われています。
  • 一方、採用増加の兆しが見られるマーケットもあります。
  • リンクトインは数百万件もの求人広告を分析し、雇用主が今求めているものを検証。
  • その結果、コミュニケーションや問題解決など、いわゆる「ソフトスキル」が上位を占めていることが明らかになりました。

キャリアの第一歩を踏み出すこと、一度離れてから再びキャリアを築くことは、これまでになくきびしく感じられるようになりました。

ILOによれば、新型コロナウイルス感染拡大以降、3億500万人分のフルタイムの雇用が全世界で失われています。製造業、航空会社、小売業では、数千人規模の人員整理を発表。特に大きな打撃を受けているのは、若者たちです。

一方、明るい兆しも見え始めています。アメリカでは、ペースはゆっくりではあるものの、7月に企業が新たに180万人の雇用を増加。中国でも雇用は伸びています。ユーロ圏でも、小売販売の伸びにより雇用は増えると見られています

‘Soft skills’ lead the list of qualities employers are looking for.
雇用者が求める資質の上位に「ソフトスキル」がランクイン
イメージ: LinkedIn

誰が、何を求めて雇用している?

ブルームバーグによると、アメリカでは、衣料品、インテリア、家電販売といった小売業者が採用活動を行っています。ソーシャルネットワークサービス(SNS)のリンクトインは、大きな打撃を受けた新卒生に向けた雇用の枠が、アメリカだけで150万件以上、インターンシップは6万5千件以上あるとしています。

リンクトインは、人々が仕事探しに役立てることができるよう、データ分析を行い、雇用者が求めるスキルを検証。最も高く評価されたのは、対人関係に必要な「ソフト」スキルでした。これは、プログラミングのように時間をかけて身に付ける能力である「ハード」スキルと対比した概念です。このことは、デロイトなどの様々な組織の調査や、第四次産業革命で求められるスキルを調べた世界経済フォーラムの「仕事の未来レポート」など、これまでの研究でも裏付けられています。

それでは、需要の高い5つのスキルを詳しく見てみましょう。

1. コミュニケーション

多くの雇用者が求めるスキルのトップに挙げているのが、コミュニケーションスキルです。プログラミングができるのも素晴らしいことですが、自分を表現することはできますか?

就職支援サービスのキャリア・コンテッサはこう問いかけています。「相手の話を聞かない上司の下で働いたことはありますか?社交的になるべき時と、静かに仕事に注力するべき時の判断がつかない、空気の読めない人と仕事をしたことはありますか?難しい専門用語を並べて中身のない話をするような人と仕事をした経験はありますか?」

新型コロナウイルスの感染拡大により、リモートワーク用ソフトを導入する企業が増える中、伝わる話し方を身に着ける必要性は高まっています。これは、従業員だけでなく、雇用者側にも言えることです

リンクトインは、採用担当者が求めているのは言葉による伝え方だけではなく、「デジタル・ボディランゲージ」だといいます。あなたは、メールやチャットでも適切な印象を与える伝え方ができているでしょうか。

Certain skills could open up employment opportunities post COVID-19.
ポストコロナ時代の雇用に求められるスキル
イメージ: Skills Panorama

2. 問題解決

紙コップ2つと1本の紐を使って橋を作るような、よくあるチームビルディングの演習のことは忘れましょう。問題解決は、そのような単純なものではありません。

イングランド・ウェールズ勅許会計士協会によると、問題解決とは、タスクを特定、それを構成する要素に分解し、対処すること。タスクに集中し、しっかりと調査をするなど、問題解決のためにはスキルが必要です。そして、明瞭なコミュニケーションと同様に、その重要性はこれまでにも増して高まっているのです。

新型コロナウイルス感染拡大の危機により、マネジメントからビジネスモデルにおいて、すべてが変化を余儀なくされる中、問題解決についての考え方を変えた企業も多く見られます。

Jobs remain far below pre-pandemic levels.
雇用はパンデミック前のレベルをはるかに下回る
イメージ: NY Times

3. 分析スキル

経営者向けのコーチングを行っているジョシュア・ミラー氏は、「今はクリティカルシンキングが重要となる時です」と述べています。「行動は、自分自身や他者への日常的な問いかけに伴います」。問いかけの内容によって、答えはどのように変わるのでしょうか?

企業は、予算編成から人員整理に至るまで、難しい選択を迫られています。証拠に基づき、論点を絞った思考が、組織のあらゆる立場の人にとって役に立つということは、明らかです。

4. 顧客サービス

ターゲットとする業界や役職に関わらず、最終的には、お金を支払ってくれる顧客にポジティブな体験を提供することが求められます。

ロックダウン措置が講じられた期間、小売業者はこのニーズに応える上で難しい立場に立たされましたが、自宅に閉じ込められた顧客のため、オンラインへのサービス拡大や転換を行いました。そこから革新的な成果が得られた例も多くあります。

プロフェッショナル・サービスを提供するKPMGは、新型コロナウイルスの感染拡大を通じて、顧客サービスの質がいかに差別化を生むかという教訓を得たと述べています。例えば、中国を例にとると、パンデミック(世界的大流行)の中、電子商取引で成功を収めた企業の秘訣は、スピードだけではなく安全性にありました。「不確実性と危機の時代に人々が求めているのは、信頼できる情報です」。

5. リーダーシップ

リーダーシップは経営幹部だけに必要とされるものなのでしょうか?エグゼクティブ向けのアドバイザリー企業であるガートナーは、リーダーシップに関する教えはあらゆる役職の人に有益だと言います。そのひとつに、「物事の優先順位を明確にしてリスト化し、二者択一で考えないこと」が挙げられます。どんなに厳しい状況でも、選択肢が2つしかないようなことはほとんどないのです。

ハーバード・ビジネス・スクールのビル・ジョージ教授が大切にしているのは、いつでも「自分らしさを貫く」ことです。リーダーとは、「共通の目的のもと、情熱をもって、世界をより良い場所にするために、人々をまとめる存在なのです」。