最新の世界経済フォーラム「 グローバルリスク報告書」では、「人口高齢化への対応」が2012年に世界が直面する上位50のリスクの一つとして特定されています。74歳で現役として働き、週70時間を超えて働くことも珍しくない私にとって、このテーマは身近な問題です。しかし、地球の未来にとっても極めて重要です。
現代における最大の成果の一つである、ほぼ世界全体で持続してきた平均寿命の延伸が、市民社会にとってのリスクにもなっていることは、現代世界の複雑さを象徴しています。この逆説は、大規模な政治的、経済的、社会的な悪影響を避けるには、すべての利害関係者が確固たる行動を取る必要があることを示しています。
このテーマは以前、グローバル・アジェンダ評議会の報告書「 世界の人口高齢化:危機か、それとも好機か?」で取り上げました。同報告書は 2012年のダボス会議で発表されました。さらに、マルチステークホルダーの参加を促す「 健康的な暮らしのための憲章 」や、2011年9月に発表した非感染性疾患の経済的負担に関する報告書など、ほかの取り組みも実施してきました。
フォーラムは、前向きな高齢化に向けた3つの基本目標、すなわち健康で、活動的で、自立した状態を保つため、5つの主要な提言をまとめました。
高齢化の新たな現実を受け入れる: 高齢化の新たな意味と、それに伴う高齢者のニーズや能力の変化を反映するため、行動様式、制度、公共政策を見直す必要があります。高齢者が学び続け、社会に貢献できるよう投資すること、高齢者の就労参加を促すために企業慣行を再考すること、高齢者のニーズによりよく応えるために年金制度や医療制度を改革することが求められます。
最高レベルでの取り組み: 歴史が示すように、根本的な改革には、上層部で推進役となる人々が必要です。高齢化に関して、高齢者にやさしい社会への取り組みを実現するには、意思決定機構の最上層から政策対応を行う必要があります。
早期かつ迅速な行動: 危機が顕在化するまで待つことはできません。多くの政策対応は、策定と実施に非常に長い準備期間を要し、現政権や最高経営責任者の任期をはるかに超えることがあります。
あらゆるレベルにおける社会的、政治的、経済的な変化:これをマルチステークホルダー・アプローチと呼びます。高齢化に関しては、「私たちは皆、共にこの課題に取り組んでいる」という言葉がこれほど当てはまることはありません。たとえば、高齢者に配慮した都市設計や法定退職年齢の設定は、国レベルの課題です。高齢者の人権という概念は国際的な課題です。同様に、移住は二国間および多国間の課題です。
既存資源のより有効な活用と新技術の導入。高齢者に配慮した都市や、さまざまな見守り・支援機器を備えた「スマートホーム」を整備することで、人々が活動的で健康で自立した状態を保ち、高齢者がより効果的に生活を営めるよう支援できます。医療制度を再設計し、高額な治療よりも疾病予防と早期検診に重点を置くこともできます。こうした取り組みを通じて、高齢者の生活の質を高め、包摂的で持続可能な暮らしの実現に貢献します。
写真:アラブ首長国連邦、アブダビ、2011年10月9日 – 世界経済フォーラムの創設者兼会長であるクラウス・シュワブが、2011年10月10~11日にアブダビで開催された世界経済フォーラム「グローバル・アジェンダ・サミット」に先立つフォーラム説明会で登壇。。



