参加者の脳活動を測定した研究によると、自分の感情を書き出すだけで、ストレスの多いことにもより効率的に取り組める。
この研究は、表現的筆記の利点を示す初の神経科学的証拠を提示していると、筆頭著者のハンス・シュローダー氏は述べる。同氏はミシガン州立大学で心理学の博士課程に在籍し、ハーバード大学医学大学院のマクリーン病院で臨床研修を受けている。
「心配事は認知資源を消費します。心配に悩む人は、常に複数のことを同時にこなしているようなものです。ひとつの課題に取り組みながら、同時に心配事を監視して抑えようとしているのです」とシュローダー氏は言う。
「この方法は脳の緊張を和らげ、より冷静に課題に取り組めるようにします。」
「今回の調査結果は、表現的筆記によって心配事を頭の外に書き出せば、その認知資源を取り組み中の課題に振り向けられるようになり、効率が上がることを示しています。」
妥当性が確認されたスクリーニング尺度で慢性的な不安があると判定された大学生が、反応の正確さと反応時間を測るコンピューター上の「フランカー課題」に取り組んだ。課題の前に、参加者の約半数はこれから取り組む課題について、最も深い考えや感情を8分間書き出した。対照条件の残りの半数は、前日にしたことを書いた。
2つのグループは速度と正確さではほぼ同じ成績だったが、表現的筆記を行ったグループは、フランカー課題により効率的に取り組んだ。つまり、その過程で使った脳の資源が少なかった。脳の資源の使用量は脳波計測(EEG)で測定した。
共著者でミシガン州立大学の心理学准教授であるジェイソン・モーザー氏は、その効果を車にたとえて説明する。「心配事を書き出した心配性の大学生は、それを頭から切り離し、新車のプリウスのように走ることができました。一方、心配事を書き出さなかった学生は、同じ課題の成果を得るために脳の燃料を大量に消費する1974年型インパラのようでした」と同氏は言う。
これまでの多くの研究は、表現的筆記が過去のトラウマやストレスの多い出来事を処理する助けになることを示してきた。今回の研究は、同じ方法が、特に心配性の人が将来のストレスの多い課題に備えるうえでも役立つ可能性を示している。
「表現的筆記をすると、これから直面するストレスの多い課題に対して、心がそれほど力を使わずに済みます。心配性の人は、心配で頭が過熱し、より多くの力を使うことで、しばしば燃え尽きてしまいます」と、臨床精神生理学研究室の所長を務めるモーザー氏は言う。
「この方法は脳の緊張を和らげ、より冷静に課題に取り組めるようにします。」
この研究は全米科学財団と米国国立衛生研究所の助成を受け、学術誌Psychophysiologyに掲載された。ミシガン州立大学卒業生で、エモリー大学の研究者であるティム・モラン氏も共著者だ。


