ゲーム障害
世界保健機関(WHO)は2018年に、持続的または反復的なゲーム行動のパターンを特徴とする「ゲーム障害」を、精神疾患のリストに追加する計画だ。
ベータ版の草案サイトによると、WHOの第11回国際疾病分類(ICD)はさまざまな疾病、障害、けが、その他関連する健康状態を定義し、包括的かつ階層的に分類している。各国間で健康情報を共有できるようにし、「根拠に基づく意思決定のための健康情報」の分析を促進する。ICDの前版は1990年、第43回世界保健総会で承認された。「ゲーム障害」を掲載した現行の草案は最終版ではなく、予防や治療の選択肢も示していない。毎日更新されるベータ版草案サイトも、WHOの承認を受けたものではない。

WHOが次期ICDに向けて公表を予定しているベータ版草案では、ゲーム障害は、頻度、強度、継続時間、やめる能力に関して「ゲームを制御する力が損なわれている」行動パターンとして分類されている。この障害は「嗜癖行動による障害」という上位分類に含まれ、他の日常活動よりゲームを優先するようになることを特徴とする。
オンライン、オフライン双方のビデオゲームに当てはまり、この状態は「否定的な結果が生じているにもかかわらず、ゲームを続けたり、さらにのめり込んだりすること」とも定義されている。草案によると、診断にはこうした行動が少なくとも12か月にわたって認められる必要がある。
議論を呼ぶ問題
コネチカット大学ヘルスセンターの医学教授ナンシー・ペトリー氏はFuturismに対し、「WHOの分類は、米国精神医学会の『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版(DSM-5)におけるインターネットゲーム障害(IGD)の説明と、現在おおむね一致している」と語った。ただし、ペトリー氏によれば大きな違いは、DSM-5がIGDを独立した精神疾患として分類するにはデータが不十分だと判断した点にある。むしろ「今後の研究が必要な状態」に分類されている。
WHOの決定は心理学者の間の意見の隔たりを浮き彫りにしている。この新たな分類を歓迎する人がいる一方、正当化するには証拠が足りないと考える人もいる。
オーストラリアのシドニー大学で臨床心理学を教えるアレクサンダー・ブワシンスキー氏はFuturismに対し、「ゲーム障害を構成するものを定める明確な診断基準がないこと、そして既存の依存症基準をある行動に適用することの妥当性が懸念される」と語った。サルサダンスからスマートフォン、体外受精まで、さまざまな行動が依存症とみなされるようになっていると指摘する。「ある活動は、どの時点で娯楽から障害へと変わるのだろうか」と同氏は述べた。
この論争は、長年にわたって医学の多くの分野を悩ませてきた、より深い哲学的議論を反映していると、タフツ大学医学部の臨床精神医学教授ロナルド・パイズ氏はFuturismに語った。「何を『疾病』や『障害』とみなすべきなのか。そうでないのは何か。ある病気とされるものを実証するには、生理学的、生化学的、神経学的な『指標』が必要なのか。それとも、WHOの基準が重視するように、日常生活の活動や責任などに著しい支障や機能不全があると記録できれば十分なのか。」
フロリダ州ステットソン大学の心理学教授クリス・ファーガソン氏はFuturismに対し、WHOの分類を支持しないと語った。「基本的に、これを診断として裏付ける研究はまだ十分ではないと思います。『根拠の乏しい診断』によって害が生じる相当なリスクがあります」と同氏は述べた。
同氏によると、研究からは、私たちが「ゲーム障害」と呼んでいるものは、実際には単独の診断ではないことが示唆されている。ファーガソン氏は、ゲームをやりすぎる人は確かにいるが、買い物、運動、性行為など、ほかの多くの活動を「やりすぎ」たり、依存したりする人もいると述べた。「しかし、手元にあるデータによれば、たいていの場合、まずうつ病や不安症などの精神疾患があり、その後、こうした活動を対処手段として使うのです。」
パイズ氏はファーガソン氏の懸念の多くを共有し、この分類には「懐疑的な見方のほうが強い」と述べた。「最近の神経生理学的研究の中には、IGDが独立した障害である可能性を示唆するものもありますが、この点について科学的な合意はまだありません。IGDが本当に『単独で成立する』状態なのか、不安障害やうつ病など他の根本的な状態でおおむね説明できるのか、それとも、科学的論争の対象でもある、いわゆる『行動嗜癖』の一亜型にすぎないのかは明らかではありません」とパイズ氏は述べた。
一方、アイオワ州立大学の心理学教授ダグラス・ジェンタイル氏のように、これを正しい方向への大きな一歩と捉える人もいる。ジェンタイル氏は、ゲーム「依存症」をめぐる現在の状況は「1960年代のアルコール依存症をめぐる状況に似ている」と比較した。当時、アルコール依存症は道徳的な欠陥とみなされ、「全部自分のせいだ」と人々は考えていた、と同氏はFuturismに語った。「アルコール依存症に医療モデルを適用するのが妥当だと人々が認めるまで、さらに30年かかりました。そして今では、必要な支援を受けられるようになっています。」
ジェンタイル氏は、私たちの文化はビデオゲームに医療モデルを適用することを受け入れる準備ができておらず、今もそれを道徳的な欠陥とみなしていると考えている。主に子どもの親の責任だとされている。「支援を受けられるのに受けられていない人が大勢います。医師や精神科医の診察室に行っても、治療を受けられないか、自費で払わなければなりません。」
ファーガソン氏は、「幅広い行動がやりすぎになり得るのに、なぜWHOがゲームにこれほど執着しているのか」が分からないという。食べ物や性行為など、ほかにも依存の対象となり得るものについて、ゲームと同程度の研究があることを踏まえると、WHOの性急な反応は、ビデオゲームやテクノロジーをめぐる、より広範な道徳的パニックに由来する可能性が高いと同氏は述べた。
しかしジェンタイル氏は、ビデオゲームが問題になり得るというWHOの認識は「真実を再び議論の場に戻す」と反論した。「私たちはゲームをもっと尊重する必要があります。影響を受けたいからゲームをするのに、その一方でゲームには何の影響もないと言うのです。」
依存症を予測する要因としてのアクセス
バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)によってビデオゲームの体験が広がるにつれ、議論はいっそう複雑になる。「依存症全般について分かっていることの一つは、依存症になるかどうかを予測する最大の要因は、アクセスのしやすさだということです」とジェンタイル氏は述べた。「薬物を手に入れられなければ、依存症にはなれません。今ではゲームが、携帯電話や家庭内のゲーム機器、VR機器を通じてどこにでもあるものになり、誰もがアクセスできるようになっています。」
ジェンタイル氏は、VRゲームが従来のゲームより依存性が高いかどうかは分からないと述べた。「没入感が高まるとゲームの依存性も高まるのか、私たちには分かりません。VRのほうが依存性が高いと言うのは、二次元で見るより三次元で見るほうが依存性が高いと主張するようなものです。」ただし、それを裏付ける科学的証拠はないとも付け加えた。
一つの点では、科学者の意見はおおむね一致している。すなわち、この分類によって研究者が過度なゲーム行動から生じ得る問題に、より注意を払うようになるということだ。「この状態にある人々が支援を受けること、そして他の精神疾患に適用されている最先端の科学に沿って研究が進むことが重要です」と、コネチカット大学のナンシー・ペトリー氏は述べた。
さらにWHOの分類は、ビデオゲーム障害と診断された人々を別の形でも助ける可能性がある。治療を受けられれば、保険が適用されるかもしれない。しかしロナルド・パイズ氏は、この種の「社会的利益」は疾病カテゴリーの科学的な正当化にはならず、診断を支持する人々の間でも、どのような「治療」が有効なのかについて合意がないと警告した。


