トランスジェンダーの人々が性別適合手術を受けると、精神的健康への有益な効果は何年も後まで認められ、さらに高まっていくことが、スウェーデンの研究で示唆された。
全体として、研究対象のうち性別不合のある人々、つまり生物学的な性別が自認する性別と一致しない人々は、一般人口と比べて、気分障害や不安障害の診療を受ける可能性が6倍高かった。また、抗うつ薬を処方される可能性は3倍、自殺未遂後に入院する可能性は6倍高かったと研究者らは明らかにした。
しかし、性別適合手術を受けたトランスジェンダーの人々では、手術からの経過期間が長いほど、研究期間中に不安やうつ、自殺行動に悩まされる可能性が低かったと、研究者らは『The American Journal of Psychiatry』で報告した。
世界トランスジェンダー・ヘルス専門家協会によると、人の性別特性を変える手術は「性別違和の治療過程において、しばしば最後に行われる、最も慎重に検討される段階」だという。
同協会によると、多くの性転換者、トランスジェンダー、ジェンダー規範に当てはまらない人々は「手術を受けなくても、自らのジェンダー・アイデンティティや役割、表現に安らぎを見いだす」が、一方で「性別違和を和らげるために、手術が不可欠であり、医学的に必要な人もいる」という。(bit.ly/2WEn9Lg)
新たな研究は、トランスジェンダーの人々が精神医療を利用する可能性が高いことを確認するとともに、ジェンダー・アファーミング治療によってそのリスクが低下する可能性も示していると、共著者でストックホルムのカロリンスカ研究所に所属するリチャード・ブランストロム氏は、ロイター・ヘルスにメールで語った。
ブランストロム氏と、コネチカット州ニューヘイブンにあるイェール大学公衆衛生大学院の同僚ジョン・パチャンキス氏は、2015年時点で、総人口970万人のスウェーデンにおいて、2,679人が性別不合と診断されていたことを明らかにした。
その年、性別不合のある人々の9.3%が気分障害で、7.4%が不安障害で医師の診察を受け、29%が抗うつ薬を服用していた。一般人口では、それぞれ1%、0.6%、9.4%だった。
性別不合のある人々の70%強が、乳房、体脂肪の分布、顔の毛など外見上の性別特性を変えるため、女性化または男性化ホルモンの投与を受けており、48%が性別適合手術を受けていた。手術を受けた人のほぼ全員がホルモン療法も受けていた。
ホルモン治療の効果は時間の経過とともに高まらなかった。しかし著者らは、「最後の性別適合手術からの経過期間が長いほど、精神医療を受ける回数が少ないことと関連していた」と報告している。
実際、著者らは、「最後の性別適合手術から1年経過するごとに、気分障害または不安障害の治療を受ける可能性は8%低下した」と指摘している。この傾向は最長10年間続いた。
トランスジェンダーの人々による精神医療の利用は、依然としてスウェーデンの一般人口を上回っていた。研究チームは、その少なくとも一部は、スティグマ、経済的不平等、被害経験によるものと考えている。
「ジェンダーやアイデンティティの規範を破るなかで人々が直面する課題について、可視性を高め、知識を広げる必要があります」とブランストロム氏は述べた。
ニューヨーク市のマウントサイナイ・トランスジェンダー医療・外科センターのエグゼクティブディレクター、ジョシュア・セーファー医師は、ロイター・ヘルスにメールで、「この研究は、トランスジェンダーの人々に対する医療および外科的ケアの精神的健康への効果を、過小評価している可能性が高い」と語った。
研究に参加していないセーファー氏は、手術後も何年にもわたって精神的健康が改善し続けたという事実は、「性自認に沿って生活する患者に、手術が長期的かつ継続的な恩恵をもたらすことを示唆している」と述べた。


