多くの人にとって、結婚は、二人の人生が結びつき、ときには複雑にもつれ合う関係の始まりを意味する。配偶者はしばしば、友人、共同で子育てをする相手、介護者、経済的なパートナー、そして大切な相手を支える心の拠り所となる。夫婦が一緒に過ごす時間の長さを考えれば、夫婦関係の質が身体の健康と関連するのも不思議ではない。
最近、ある研究がJournal of Epidemiology and Community Health誌に掲載された。この研究では、英国の既婚の父親620人を追跡調査し、結婚生活が時とともに充実していったと回答した人は、そうでない人に比べ、コレステロール値やBMI(体格指数)など、複数の心血管疾患リスク因子が改善していたことが分かった。比較対象は、結婚生活が一貫して幸福、または不幸だと回答した人たちだった。関係が時とともに悪化した人では、血圧を含む同じリスク因子の一部が悪化していた。
夫婦関係の健全さが心血管系の指標に及ぼす影響を長期間にわたって調べた研究はこれが初めてだが、結婚生活と心臓の健康(あるいは健康全般)の関係を調べた研究はこれが初めてではない。2011年には、学術誌Demographyが、1980年代半ばから1990年代末まで、25歳以上の男女を追跡した研究を掲載した。研究者らは、既婚者は、特に男性において、未婚者より長生きする傾向があることを見いだした。2014年には、Psychological Bulletinに掲載された研究が、結婚生活の質と身体の健康との関連を調べた過去50年間の研究論文126本を分析した。対象者は7万2,000人以上だった。研究者らによると、より幸福な結婚生活は、入院の減少、重い病気の減少、身体の痛みの軽減など、より良好な健康状態と関連していた。「社会的支援が心臓の問題にどう役立つかを示す豊富な研究があることを考えれば、新しい研究の結果は驚くべきものではありません」と話すのは、マシュー・バーグ博士、イェール大学医学部の臨床心理学者で、心血管医学の教授を務める。ストレスや感情的要因が心血管疾患に及ぼす影響を研究している。
実際、幸福な結婚生活を送るカップルは、パートナーが新たな健康習慣を始め、それを続けるのを支援する可能性が高いことが研究で示されている。一方、親しい相手から望まれていない、あるいは疎遠になったと感じる「社会的拒絶」を経験した人では、炎症促進性サイトカインの値も高かった。サイトカインは、免疫反応の一環として体内の炎症を引き起こすタンパク質である。炎症が長期間にわたり高い状態が続くと、関節炎、糖尿病、心血管疾患につながる可能性がある。
もちろん、社会的支援の科学は複雑であり、有意義な結論を導くには、研究者が収集したデータを精査する作業がまだ多く残っているとバーグ博士は言う。「必要とする支援や実際に受けている支援の種類は、人生のどの段階にいるか、年齢、社会経済的な立場によって変わるでしょう」と同博士は話す。「心の支えが最も重要なのはいつでしょうか。具体的な支援が最も重要なのはいつでしょうか。」
バーグ博士は10年以上にわたり、米国国立心肺血液研究所が資金を提供する多施設共同試験の一環として行われた複数の研究のうち一つを主導し、心筋梗塞患者を対象に、必要なときに気にかけてくれ、頼れる人がいるという感覚と大まかに定義される「社会的支援」の程度が、回復の速さにどう影響するかを調べた。同博士と同僚らは、社会的支援が乏しい人や、うつ状態にある人は、心筋梗塞からの回復が最も困難であることを見いだした。こうしたケースでは、集団療法が大きな違いをもたらすことも分かった。
現在、バーグ博士と同僚らは、患者が社会的支援、対立、そして高血圧の指標に関するリアルタイムデータを記録できる技術を活用し、個々の患者に何が役立つのかを正確に把握する方法を探っている。同博士によれば、具体的な健康上の利益につながる明確な結論を得ることが目標だ。
その間、もし二人の関係に少し手をかける必要があるなら、関係を育むことは、いろいろな意味で心臓にもよいかもしれないと覚えておこう。


