効果的な目標の立て方については、誰もが聞いたことがあるでしょう。現実的な目標にすること、と生産性の専門家は言います。目標は具体的で、測定可能で、達成可能であるべきです。
新年を前に抱負を立てるとき、多くの人はこうした経験則に従います。残念ながら、私たちの心は未来を想像する際の抜け穴も利用します。今日ある制約が、明日も来週も、その先も同じように存在することを認識するのが苦手なのです。将来も、ヨガやクロスフィットの妨げになる仕事の締め切りに直面するでしょう。友人たちは今後も、コールドプレスジュースではなくお酒を飲みながら一緒に過ごそうと誘ってくるでしょう。そして、あなたの性格も変わらないでしょう。
さらに悪いことに、心理学の研究によると、今日の厄介な現実に目を向けられなくなる度合いは、将来の目標がどれほど遠いかに応じて高まります。つまり、デザートを食べるのをやめると誓った日が遠いほど、その大切な日が来れば甘いものを断つ準備ができていると、私たちは自信を深めるのです。
この種の魔法のような思考を調べた新たな研究は、心がどのように自分自身を欺き、最善の意図を信じ込ませるのかについて、さらなる知見をもたらします。新しい週や月、年の始まりといった、暦で区切られた新たなサイクルに意識を向けると、どの日付も実際より先のことのように感じられます。そのため、過度に楽観的になり、将来の障害に目が向きにくくなるのです。
最近、サイエンティフィック・アメリカン誌に寄稿した研究の著者、チューリッヒ大学の心理学者・研究者マリー・ヘネッケと、バージニア大学の公共政策学教授ベンジャミン・コンバースは、最新の研究について概説しています。この研究は近く、学術誌『Social Psychological and Personality Science』に掲載される予定です。
2人は、暦を操作して人々のさまざまな反応を調べる一連の研究を行ったと説明しています。最初の研究は7月31日に実施されました。心理学者たちは、ダイエットを始める予定の18~67歳の成人110人に、目標に関するアンケートに回答してもらい、食べ方を変えることを考えたときに思い浮かんだことを自由に書いてもらいました。その後、研究者たちは回答を分類し、「もっと元気になる」などの結果を示す考えと、「ミキサーを洗うのが嫌いだ」などの障害になりうる考えを探しました。
参加者の半数には、未来を曜日で示し、「明日」を今週の一部とするアンケートが渡されました。予測どおり、このグループの回答では、生活上の複雑な事情が想像の中で大きな位置を占めていました。明るい見通し2つに対し、制約を3つ挙げていました。
残る半数に渡されたアンケートでは、「明日」にあたる8月1日を翌月の一部として示しました。この場合、制約と肯定的な結果の比率は1.2対2でした。
「翌日を別の期間の一部と捉えたことで、ダイエットをする人たちの懸念が消えたかのようでした」と研究の著者たちは記しています。「懸念を否定していたわけではありません。そもそも懸念が思い浮かばなかったのです。」
ほかの2つの実験でも、新たなダイエットを木曜日ではなく月曜日に、また2月27日ではなく3月1日に始める予定だと、ダイエットを始めようとする人たちは計画を妨げる要因を意識しにくいことが分かりました。この結果は、健康や運動関連のトピックをGoogleで検索する回数が月曜日や元日に急増するという報告とも一致すると、研究者たちは指摘しています。
暦の上で節目となる日に新たな始まりを期待する、私たちの子どものような信念は根強いようです。それは愛らしく、もちろん良い面もあります。将来の節目の日に希望を持てなければ、人生は暗いものになるかもしれません。しかし、健康を左右する習慣について目標を立てるとき、新しいサイクルの力に心を惑わされると、判断を誤り、かえって害を招く可能性があります。コンバースとヘネッケは、この人間の行動の癖を私たちの利益につなげる方法を研究者たちが見いだすきっかけに、自分たちの研究がなることを願っています。


