社会不安のある人は、社会的な意思決定中に扁桃体の活動が高まり、社会的フィードバック中には側坐核の活動が低下する。
孤独を感じている人には、社会不安のある人と同じ変化は見られず、孤独感が独自の状態であることが示唆された。
孤独感は、社会的な回避よりも、否定的な出来事に対する偏った感情反応と関連している。
症状は似ていても、孤独感と社会不安は異なる脳状態によって引き起こされることが、新たな研究で明らかになった。この研究は、Journal of Neuroscience誌に掲載された。
孤独感は身体的・精神的健康に有害な影響を及ぼす可能性がある。しかし、他の状態に対するものとは異なり、孤独感への行動的介入は現在ほとんどない。
Lieberzらは、社会不安のある人と、孤独感が高い人および低い人が、社会的な賭け課題でどのように行動するかを比較し、これら2つの状態の基盤を調べた。
参加者はコンピューターゲームを行い、少額の賞金を得られる安全な賭けか、より大きな賞金を狙うリスクの高い賭けを選んだ。リスクの高い賭けを選ぶと、承認または不承認を示す仮想人物の動画を見た。
社会不安のある人は、動画からの社会的フィードバックを避けるため、安全な賭けを選ぶことが多かった。一方、孤独感の高い人には、このような社会的回避は見られなかった。
課題中の参加者の脳活動をfMRIで測定したところ、社会不安のある人では、意思決定段階に扁桃体の活動の高まり(不安の増大を示す兆候)が見られ、フィードバック段階には側坐核の活動の低下(社会的報酬の減少を示す兆候)が見られた。
孤独感の高い人には、どちらの活動パターンも見られなかった。このことから、孤独感は独自の介入を必要とする固有の状態であることが示された。
要旨
社会不安と孤独感における行動面と神経面の乖離
孤独感は、身体的・精神的な健康に有害な影響を及ぼす公衆衛生上の課題である。孤独感と社会不安(SA)には表現型の重なりがあるため、SAを対象とする認知行動的介入を孤独感の軽減に応用できる可能性がある。しかし、SAと孤独感が同じ神経認知メカニズムを基盤としているかどうかは、依然として明らかになっていない。
本研究は、SAにおける社会的回避の既知の行動的・神経的相関が、孤独感にもどの程度認められるかを調べることを目的とした。
事前層別化アプローチを用い、孤独感の高い(HL)参加者42人(女性21人)と、孤独感の低い(LL)参加者40人(女性20人)を対象とした。参加者は機能的磁気共鳴画像法の撮影中に社会的な賭け課題を行い、社会的状況に関わる主観的価値と社会的フィードバックへの反応を測定した。行動データと神経データの単変量および多変量解析により、課題で知られている効果が再現された。
しかし、HL参加者ではSAの高まりが見られたものの、孤独感はSAとは明らかに異なる反応パターンと関連していた。具体的には、SAの群間差から予想される結果とは異なり、ベイズ解析では、両群で社会的状況に関わる主観的価値が等しく、社会的な意思決定に対する扁桃体の反応と、肯定的な社会的フィードバックに対する線条体の反応も同程度であることを示す中程度の証拠が得られた。
さらに探索的解析では、HL参加者が否定的なコンピューター上のフィードバックを受けた際に、快さの評価の低下、線条体活動の増加、線条体と海馬の結合性の低下が認められた一方、否定的な社会的フィードバックに対するこれらの効果は弱まっていた。
本研究の結果から、SAとは異なり、孤独感は社会的交流からの撤退とは関連しないことが示唆された。したがって、孤独感を対象とする場合は、SAに対する既存の介入法を調整する必要がある。
重要性に関する声明
孤独感は深刻な健康問題を引き起こす可能性がある。社会不安を対象とする、確立された認知行動療法を応用すれば、両者に密接な関連があることから、慢性的な孤独感の軽減につながる可能性がある。しかし、孤独感に関連する行動的・神経生物学的要因をより深く理解し、孤独を感じる人々にも共通する社会不安の具体的なメカニズムを特定する必要がある。
孤独を感じる人々は、社会的な意思決定や社会的フィードバックに対する行動面および神経面の反応において、社会不安に関する先行研究とは一貫して異なるパターンを示すことが分かった。結果から、孤独感は社会的回避ではなく、否定的な出来事に対する偏った感情反応と関連することが示された。
以上の結果は、孤独感が社会不安とは異なること、そして心理療法の手順を調整する必要があることを強調している。



