インパクト・ファイナンスはインドのメンタルヘルス危機の解決に役立つか?

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  • インドはメンタルヘルスの流行に苦しんでいる。

  • さらに、メンタルヘルスケアサービスに対する政府支出の水準が低いことが、この状況を複雑にしている。

  • インパクト・ファイナンスは、革新的なメンタルヘルスケアモデルの拡大に貢献できる。その方法を以下に示す。

インドでは約人口の15%がメンタルヘルスの不調を抱えており、その数は着実に増加している。患者数は1990年の1億2,500万人から、2017年には1億9,700万人に増えた。自殺は、労働適齢期のインド人成人の死因として第2位となっている。大きな負担であるにもかかわらず、また近年では政策および法制面での関心が高まっているにもかかわらず、インドは2017年にメンタルヘルスへの支出として医療予算全体の1%未満しか充てていなかった。

メンタルヘルスへの支出水準が低いことは、資金の活用不足、各州によるメンタルヘルスの優先度の低さ、そして精神・神経・物質使用(MNS)障害に対する医療保険の補償範囲の狭さによって、さらに悪化している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、優先的なニーズに対応するため、資金の動員と効果的な配分を重視しつつ、メンタルヘルスサービスへの追加的な資金供給の必要性をいっそう浮き彫りにした。

メンタルヘルスにおける患者の歩みに沿った複数の課題

インドにおけるメンタルヘルスの患者ケアの過程には、以下の図に示すとおり、いくつかの課題がある。

インドにおけるメンタルヘルスの患者の歩みに沿った課題と障壁Image: 著者

革新的なメンタルヘルスケアモデル

効果的で革新的なメンタルヘルス介入策は、インドにおけるメンタルヘルスケアの提供を改善するため、迅速に拡大することができる。これには以下が含まれうる。

● 地域レベルの第一線の従事者を通じて、メンタルヘルス問題の認識と発見、カウンセリング、紹介を、明確に定義されたケアの経路に組み込むこと。

● 患者と介護者の双方に対し、メンタルヘルス問題への偏見をなくし、ケアの選択肢を提示するための行動変容コミュニケーション・キャンペーンを実施すること。

● ヘルpラインやアプリなど、匿名で支援を求められる方法を提供すること。

● デジタルツールや技術を活用してアクセシビリティを向上させ、一次医療および二次医療レベルでのメンタルヘルスサービス提供を強化すること。

● 第一線の従事者が要注意の個人を選別、診断、管理できるよう、またプライマリケア医がメンタルヘルスの患者を治療できるよう、デジタルツールを用いて研修を行うこと。

● モバイルベース(デジタル)の意思決定支援システムを用いて患者管理を改善すること。これにより、第一線の従事者が患者情報にアクセスし、メンタルヘルスサービスを効果的に提供できるようにする。

● 心理社会的教育、フォローアップの仕組みの構築、または治療計画の変更を通じてケアへの順守を改善し、順守率を高めること。

メンタルヘルスケアモデルの拡大におけるインパクト・ファイナンスの役割

ここ数年、インパクト・ファイナンスは、財務的リターンとともに、測定可能な社会経済的・健康への効果を目指す投資へ資本を動員する重要な手法として台頭してきた。メンタルヘルス資金供給に内在する2つの問題、すなわち支出の少なさと利用可能な財源の活用不足に対処するためには、インドにおけるアクセスを拡大し、メンタルヘルス資金の効率を高めるよう、インパクト・ファイナンスを取り入れる必要がある。これが役立つ仕組みは以下のとおり。

1. 資金へのアクセスを拡大する

革新的なインパクト・ファイナンスの手段は、初期段階のリスクを低減または外部化することで、従来は資金を提供してこなかったメンタルヘルスなどの分野へ民間資本を呼び込むことができる。慈善団体は、メンタルヘルスケアの全領域にわたる革新的なモデルに資金を供給するため、転換社債や競争的助成金の形でシード資金を提供できる。これは、従来型のベンチャーキャピタルや民間セクターの主体によって拡大されうる、概念実証の開発に役立ちうる。グランド・チャレンジズ・カナダの「グローバル・メンタルヘルス」プログラムは、例えば、特に精神障害を抱える、またはそのリスクにある若者を中心に、治療を改善する、またはケアへのアクセスを拡大する、影響力の大きい革新的取り組みへの資金提供に注力している。

2. 資金の効率を改善する

革新的ファイナンスは、インセンティブが成果の最大化に向けて整合されるようにすることで、ドルあたりの成果を高める有効な仕組みにもなりうる。サービス提供者は、大規模で複数年にわたるプログラムの資金確保に苦慮することが多い。成果連動型の仕組み(インパクトボンドを含む)や条件付き資金供給の手段(マイルストーン型の支払いなど)は、ドナーが成功した成果に対してのみ支払うことを可能にすることで、長期的なコミットメントの確保に役立つ。ドナーは測定可能な結果に対してのみ支払い、プログラムの実施者は最善のプログラム運営に対して説明責任を負うため、これらのモデルは特に有利になりうる。例えばオーストラリアのレゾルブ社会的便益債券は、長期間にわたり精神保健の入院施設に入院する人々、または頻繁に再治療を必要とする人々を支援することを目的とした、回復志向の地域支援プログラムに資金を提供している。このプログラムは、参加者による保健その他のサービスの利用が減少することを通じて、ニューサウスウェールズ州政府に節約をもたらしている。

インドは、公的資金を補完するため、また民間セクターや慈善活動から資源を動員するため、そして革新的なメンタルヘルスケアの提供モデルを大規模に展開するために、メンタルヘルスケアへのインパクト・ファイナンスを必要としている。

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