新型コロナウイルス感染症はメンタルヘルスに長期的な影響を及ぼす。この専門家が影響を抑える方法を解説

sad girl looking out of window showing how COVID-19 pandemic affects mental health
Image: Photo by Joshua Rawson-Harris on Unsplash
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  • 人為的災害と自然災害の双方を含む大規模災害が社会にもたらす影響についての研究は、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、物質使用、家庭内暴力、その他幅広い問題が増加すると予想できることを示している。

  • 新型コロナウイルス感染症によって、メンタルヘルスに問題を抱える人々に向けた柔軟なサービス提供やトリアージの仕組みが強化された。この勢いを保つべきだ。

多くの病気では、自分と同じような経験をしている人がいるという、ささやかな慰めがある。新型コロナウイルス感染症では、そうとは限らない。SARS-CoV-2ウイルスの症状は実にさまざまで、ある人には軽い風邪や嗅覚の鈍化として現れることがある。別の人は吐き気や悪寒を感じるかもしれない。さらに別の人は胸の圧迫感を覚え、それが時間とともに悪化し、人工呼吸器を装着され、恐怖におびえ、深い孤独の中に置かれることもある。

新型コロナウイルス感染症の症状が人によって異なることは、世界が今感じている不気味な孤立感をいっそう強めている。感染した人の多くは幸いにも身体症状が治まるだろうが、ソーシャルディスタンスがもたらす社会に共通する心理的ダメージは、すぐには癒えないかもしれない。

人間は深く社会的な生き物だ。混乱が収束した後も、新型コロナウイルス感染症の影は、歴史が示すように、はるかに長く私たちのもとに残るだろう。これが新型コロナウイルス感染症の長い余波であり、世界中で感じられるメンタルヘルス上の負担の増大である。この危機をより強く、しなやかに、そして互いにつながりを深めて乗り越えるには、ウイルスそのものへの対応と並行して、この負担にも取り組まなければならない。

過去のパンデミックに関する文献は限られているものの、人為的災害と自然災害の双方を含む大規模災害が社会にもたらす影響についての研究は、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、物質使用、家庭内暴力、その他幅広い問題が増加すると予想できることを示している。

しかし、こうした出来事から重要な教訓を学んだ私たちは今、最悪の事態の多くを和らげるための知識と技術を備えている。

迅速さと決意、共感をもって行動すれば、新型コロナウイルス感染症への対応は、将来のメンタルヘルス対策を見直す機会となり得る。

私たちは、目標に向けてどのように進むべきか、サンドロ・ガレア博士(ボストン大学公衆衛生学部長)に話を聞いた。同博士は、次の3つのステップから始めることを提案した。詳しくはこちら。

困難なこの時期は、予防を重視した地域・人口レベル、さらには国家レベルでの心理的応急処置とメンタルヘルスケアの提供方法について理解を深め、そうした支援の新たな方法を携えてパンデミックを乗り越える機会でもある。世界的な新型コロナウイルス感染症のパンデミックとその封じ込め策は、特有の脅威となっている。私たちは、その後すぐに続くパンデミック、すなわち精神疾患や行動障害の広がりを認識し、その影響を和らげるために必要な措置を講じなければならない。

サンドロ・ガレア博士、ボストン大学公衆衛生学部長

1. デジタルソリューションを早期に活用し、孤独や孤立に対処する

身体的距離を保つことが必ずしも孤立を意味しない時代に生きているのは幸いだ。職場の内外で、日常的な交流に代わる革新的な解決策が数多く生まれている。

こうした優れた取り組みを発展させるべきだ。高齢者、在留資格のない移民、デジタルツールを容易に利用できないホームレスの人々などの脆弱な立場にある人々に加え、パンデミック以前から精神疾患やうつ、孤独を経験していた人々にも、特に力を入れて支援を届ける必要がある。さらに、子どもや学生が対面で交流せずに学ぶ場合など、デジタルに切り替えたとしても、日課を確立し維持することが不可欠だ。

2. 観察、報告、介入の仕組みを構築する

悲しいことに、外出制限の要件によって生じることが十分に記録されている影響の一つに、家庭内暴力や児童虐待の増加がある。家庭内暴力の世界的な増加はしばしば「影のパンデミック」と呼ばれる。新型コロナウイルス感染症に伴う加害者との外出制限に加え、経済的・健康面の安全をめぐる緊張が高まり、被害者が利用できる安全な場所も減っていることが背景にある。

これを受け、国際機関、各国政府、市民社会は、啓発キャンペーンを開始し、家庭内暴力の予防への資金を増やすとともに、必須業務に従事する人々に虐待の兆候を見つけ、被害者を助けるよう呼びかけている。

身体的距離の確保によって、安全な場所や、人目につかずに通報できる仕組みが損なわれてはならない。現在の状況から逃れる支援を必要とする脆弱な立場にある人々のため、それらを確保しなければならない。こうしたサービスは、パンデミック終息後も長く、家庭内暴力に直面する人々を支えるうえで必要となる。

3. 「段階的ケア」を活用してメンタルヘルス支援の体制を強化する

世界各地のメンタルヘルス支援体制は、新型コロナウイルス感染症の流行前からすでに逼迫していた。今後数カ月、ケアを振り分ける新たな方法を検討することが欠かせない。「段階的ケア」とは、「支援を必要とする患者に最も効果的で、必要な資源が最も少ない治療を提供し、患者のニーズに応じて、より多くの資源を要する治療へ段階的に移行する」実践である。

この方法には、さまざまな革新的な実践が含まれる。従来、メンタルヘルス支援の仕組みに関わってこなかった地域社会や個人に心理的応急処置の研修を行えば、過重な負担を抱える専門職の肩の荷を軽くできる可能性がある。遠隔医療やオンラインでの心理・精神科診療は、対面診療の必要性を減らし、可能な限り迅速なケアの提供を確実にできる。必要とする人々が薬を継続して入手できるよう、柔軟な供給体制を整えることもできる。

2020年上半期には、医療体制がわずか数カ月で新たな日常に適応したことが示された。乗り越えられないと見なされていた規制上の障壁を取り払い、患者に働きかけ、新しく革新的な方法でケアを提供してきた。

孤独を共に経験したことで、私たちは一人ではないこと、そして誰もが深く、避けがたくつながっていることが明らかになった。この気づきを徹底した共感と革新によって発展させれば、メンタルヘルス上の問題の予防と治療の効率的な提供を通じて、被害を最小限に抑えるだけでなく、治療成果を向上させる機会が得られる。

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