緑豊かな公園や森を歩いていると、気持ちが落ち着き、さらには幸せを感じることに気づいたことがあるかもしれません。これは偶然ではありません。自然の中で過ごす時間は、ストレスの軽減や幸福感の向上など、心の健康にさまざまな利点をもたらすことが分かっています。スタンフォード大学の研究者は、森の中を90分歩くことで、うつ病のリスクが低下する可能性があると考えています。
今回、新たな研究により、都市部の放置された空き地を「緑化」することで、都市住民の心の健康が改善する可能性が示されました。
この研究は最近、JAMA Open Networkに掲載されました。フィラデルフィアの複数の地域で実施され、いずれも空き地の近くに位置していました。研究開始時、これらの空き地にはごみが散乱し、草が伸び放題になっていました。しかし、すべての空き地がそのままだったわけではありません。

ペンシルベニア園芸協会のLandCareプログラムの協力を得て、研究者たちは一部の空き地に「緑化介入」を行いました。作業員を雇い、ごみを撤去し、新たに芝生や樹木を植え、毎月維持管理を行いました。他の空き地では、ごみの清掃だけを実施しました。また、まったく手を加えない空き地もありました。
緑化や清掃を始める前に、医師や健康専門家からなる研究チームは、空き地の近くに住む人々に聞き取り調査を行いました。神経質になったり、落ち込んだり、落ち着かなかったり、希望を失ったり、自分に価値がないと感じたりする頻度を尋ね、心の健康状態の悪化を示す兆候を調べました。その後、「介入」――緑化、ごみの清掃、または何もしないこと――の実施後に再び聞き取りを行い、地域の空き地が住民の幸福感に影響を与えたかを確かめました。
その結果、影響があったことが分かりました。新たに「緑化」された空き地の近くに住む人々は、変化のなかった空き地の近くに住む人々と比べ、うつ気分が41.5%減少し、自己申告による心の健康状態の悪化も全体で62.8%減少しました。
「今回の新たなデータが示しているのは、空き地の緑化のような構造的な変化が、こうした地域に暮らす人々の健康に良い影響を与えるということです」と、筆頭著者でペンシルベニア大学の助教であるユージニア・C・サウス氏は、声明で述べています。「そして、費用対効果が高く、規模を拡大できる方法で実現できます。フィラデルフィアだけでなく、同じように有害な環境に囲まれた他の都市でも可能です。」
この変化は、貧困線を下回る地域で特に顕著でした。こうした地域で「緑化介入」を受けた住民は、うつ気分が68.7%減少したと報告しました。

一方、興味深いことに、ごみ清掃の介入を受けたグループと介入を受けなかったグループの間では、自己申告による心の健康状態にほとんど差がないことが分かりました。
「こうしたグループに変化がなかったのは、ごみを清掃した空き地に新たな緑地が作られなかったためでしょう」と、共著者でペンシルベニア大学の教授であるジョン・マクドナルド氏は声明で説明しています。「今回の調査結果は、自然環境に触れる機会を増やすことが心の健康の回復につながり得ること、特にストレスが多く混乱した都市環境に暮らす人々にとってそうであることを裏付けています。」
同じ研究チームは以前、犯罪と都市の緑地の関連も調査し、新たに整備された空き地の近くで銃を使った暴力が29%減少したことを明らかにしています。
さらにこの研究によると、放置された空き地は、わずか1,597ドルで緑地に転換でき、維持費も年間180ドルで済みます。そのため研究者たちは、政府の政策担当者が調査結果を行動に移し、フィラデルフィアにある推定4万か所の空き地や、他の都市の放置された土地を緑化することを期待しています。



