職場のメンタルヘルスとウェルビーイングには新たなアプローチが必要だと、主要企業のCEOたちはダボスで主張した。
家庭と仕事の境界が曖昧になる24時間型の文化を認識し、企業のリーダーたちは、より健全な未来に向けた解決策を探った。
「職場で過ごす一日の生活とはどのようなものでしょうか。今は本当に違います……。問題は家に置いてきて、仕事に集中できると教えられてきました。ところが今では、問題は毎日、毎分、毎時間、あなたについて回ります。その大きな理由はテクノロジーとつながりにあります」と、医療企業カイザー・パーマネンテのCEO、バーナード・タイソン氏は語った。この影響は逆方向にも及ぶ。ある調査によると、米国の労働者は週末に平均5時間、仕事のメールを確認していた。
タイソン氏はこう述べた。
「一人ひとりが心から息をつき、全体性を感じ、自分の人生を自分で掌握できるようにするには、人事に関する方針をどう見直せばよいでしょうか」
HSBCのCEO、ジョン・フリント氏は、銀行を「最も健全な人間のシステム」にするという目標を掲げ、この課題に取り組んでいる。彼はこれを曖昧な理想論や気休めの取り組みではなく、業績に関わる問題だと説明した。
「これは当社の事業戦略を実現するうえで、最も重要な要素となります。これが、銀行業の厳しく競争的で、テストステロンに突き動かされた性質と何らかの形で競合するという見方には、まったく同意できません」
より良い企業文化への転換には、偏見を取り除くことも含まれると、リーダーたちは意見を同じくした。フリント氏は「メンタルヘルスのスペクトラム」について語り、誰もが変化しうる状態にあると述べた。
「自分が最高の状態にあるときと、そうでないときの大きな違いを、私は身をもって知っています。意思決定において、恐れが非常に重要な意味を持つことは分かっています」
精神疾患を経験した人々は、異なる視点をもたらすと同氏は主張した。
「私たちの23万人の組織には、苦難を乗り越えた人たちがいます……回復した人は多くの場合、回復力や問題解決力に加え、人間の本質への関心、共感力、そして私たちの大半が持ち合わせていないEQを備えていると学びました。私は、そうした経験を乗り越えた人たちを、かけがえのない財産だと考えています」
世界では4人に1人が生涯のある時点でメンタルヘルスの問題を経験し、うつ病は世界で最も大きな障害の原因となっている。2030年までに、あらゆるメンタルヘルスの問題が世界経済にもたらす損失は、16兆ドルに達する可能性がある。
働く世界は、まだ追いつくべき課題を抱えている。「Mental Health at Work」プロジェクトを立ち上げたケンブリッジ公爵は、英国を拠点とする調査によると、メンタルヘルスの問題について人事部に相談する人はわずか2%だと述べた。



