不安症の薬が飲料水に混入している。食い止める方法とは

Pharmaceutical tablets and capsules in foil strips are arranged on a table in this picture illustration taken in Ljubljana September 18, 2013. Picture taken September 18. REUTERS/Srdjan Zivulovic (SLOVENIA - Tags: HEALTH)
New research shows that pharmaceutical drugs are not being filtered out of our water systems.Image: REUTERS/Srdjan Zivulovic
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処方薬による水質汚染

下水処理施設は、水を再利用する前に、下水や農業排水に混じる多くの有害物質を取り除く。しかし、排水に流れ込んだ医薬品の除去は見落とされがちだ。その一つがジアゼパムで、当初はバリウムの商品名で販売された。これは不安症や発作の治療に使われる鎮静薬だ。広く使用されている向精神薬で、依存性を生じる可能性があり、患者の思考や感情に影響を及ぼす。

ジアゼパムは世界で500種類の異なるブランド名で販売され、乱用も広く見られる。そのため、排水に流れ込むうえ、適切に除去されないことは、公衆衛生関係者にとって懸念材料となっている。2017年、リオデジャネイロ州立大学が発表した研究では、処理済みの排水と未処理の排水で、向精神薬の濃度が同じだったことが分かった。従来の処理方法では、十分な効果が得られていない。

現在、研究者らは低コストでジアゼパムを除去する方法を開発した。この新手法では、二酸化チタンのナノファイバーを使い、排水のろ過中にジアゼパムと、不安症の治療に使われるほかの2種類の向精神薬を標的にする。

南アフリカのヨハネスブルグ大学で応用化学を教える教授で、研究の筆頭著者でもあるヴィノド・クマール・グプタ氏は、プレスリリースで「排水からジアゼパムなどの薬物を大規模に除去できる既存の処理法は、費用がかかり、時間もかかり、効率が悪い。あるいは、そのすべてに当てはまる。複数の工程で多くのエネルギーを消費するものや、環境に有害な有毒・危険化合物を使用するものもある」と述べた。

グプタ氏によると、有害で環境を損なう化合物を使わずに、こうした薬物を低コストで除去するには、処理施設にナノ材料が必要だ。同氏のチームによる新たな研究は、『Journal of Molecular Liquids』に掲載され、新しい処理工程は既存の処理施設に容易に導入できると述べている。

水をめぐる懸念

処方薬が公共の水道水に混入することは、今に始まった問題ではない。科学者らは長年、水から医薬品を除去する方法に取り組んできた。米国地質調査所が2008年に発表した報告書によると、医薬品を含む約85種類の人工化学物質が、ろ過・処理システムをすり抜けている。血圧を下げるベータ遮断薬から抗けいれん薬、避妊薬まで、さまざまな薬が水道水に流れ込んでいる(さらに、鉛などの汚染物質もある。研究者らがミシガン州フリントの水道水から発見したものだ)。研究者らは、内分泌かく乱作用のある薬が魚などの動物の生殖行動を変化させたことも確認している。

世界の水消費量Image: ウィキペディア

排水による汚染は今後も問題であり続けるが、グプタ氏らの研究は正しい方向への一歩だ。ナノ材料を使い水道水に含まれる医薬品を特定して除去することは、汚染された排水に対処する、より費用対効果の高い方法となる。

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