世界各地で、人々の心配や悲しみが増しています。ストレスの水準はわずかに低下した一方、怒りの水準は同じ程度上昇しました。これは、2019年の新たな世界感情調査でギャラップが明らかにした結果です。
142カ国の回答者に、前日にどのような経験をしたかを尋ねました。35%が強いストレスを感じたと回答しました。前年より2ポイント低下したものの、依然として高い水準です。一方、22%が怒りを感じたと回答し、2ポイント上昇して過去最高となりました。ギャラップによると、「すでに過去最高水準にあった心配と悲しみは、それぞれ前年から1ポイント上昇した」といいます。
米国では、ストレス、心配、怒りのいずれも増加しており、55%が一日の大半にストレスを感じていたと回答しました。
こうしたネガティブな感情は、何十億もの人々の日常生活だけでなく、経済にも打撃を与えています。心配事は生産性を低下させ、働く人の気を散らし、集中できない状態を招くことがあります。世界経済フォーラムが報告したデータによると、仕事に関連するストレスによって、米国企業は欠勤だけで年間300億ドルの損失を被っています。
企業には、この傾向を反転させる大きな力があります。組織は職場でのこうしたネガティブな感情を和らげるため、建設的な対策を講じることができます。
世界各地のさまざまな職場環境で働く人々を指導する瞑想コーチとして、簡単な取り組みでも心配やストレスを大幅に減らし、人々がよりリラックスして仕事に関わり、目の前の業務に集中できるようになると実感してきました。その効果は職場の外にも及びます。
1. 瞑想を勧める
瞑想と聞いて多くの人が思い浮かべる姿とは異なり、ヨガのポーズで座り、目を閉じ、マントラを唱える必要はありません。実は、この記事を読みながら、今すぐ瞑想することもできます。
指導者も必要ありません。数分あれば基本を学べます。呼吸に意識を向け、一呼吸ずつ感じ、深く十分に息をします。たとえば、もっと穏やかに、落ち着いて、あるいは頭をすっきりさせたいと意図を定め、この瞬間に何かを得ようと心に決めましょう。
研究では、深呼吸をしたり、たとえ数分でも前向きな結果に意識を向けたりすることで、身体面・心理面にさまざまな効果が得られることが分かっています。
身体を動かすことも気分の改善につながります。オフィス内を歩く、会議に階段を使う、昼休みに速足で散歩するなど、一日の中で体を動かす時間を作りましょう。呼吸と前向きな意図に意識を向ければ、動きながら瞑想することもできます。
2. 率先して実践する
従業員は、上司が瞑想やその他のリラックス法を実践しているのを見ると、自分も取り組む可能性が高まります。だからこそ、ビジネスリーダーがこうした習慣を取り入れるようになっているのは、とても心強いことです。
ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者、レイ・ダリオは、従業員に勧め、超越瞑想を定期的に実践するよう促しました。その習慣はウォール街全体に広がりました。ほかにも、リンクトインCEOのジェフ・ワイナー、フォードのエグゼクティブ・チェアマンであるビル・フォード、ラッシュ・コミュニケーションズCEOのラッセル・シモンズに加え、オプラ・ウィンフリーやスライブ・グローバルCEOのアリアナ・ハフィントンも、先頭に立つ経営幹部です。
3. VRで別世界へ
シリコンバレーで育ち、レイキャビクでテック系スタートアップを立ち上げた私は、この分野でテクノロジーがどのように作用するかを長年注視してきました。今日の働く人々が「常時接続」状態にあり、仕事に追われ、仕事から離れられないことについて、テクノロジーは大きな責任を問われています。
その指摘の多くは正しいでしょう。たとえばスイスの研究者たちは、「テクノストレス」を研究し、今日のテクノロジー、特にソーシャルメディアが、過負荷や侵入、そして不確実性をもたらすことを明らかにしました。
しかし、テクノロジーは解決策の重要な一部にもなり得ます。ビジネスリーダーはテクノロジーの使い方を見直し、従業員の効率を最大化するだけでなく、心の健康を保てるよう支援する必要があります。
私がTEDxReykjavikで行った講演では、バーチャルリアリティで自然の風景の中へと誘うことで、リラックスできる時間を大幅に充実させ、瞑想の効果を高められることを紹介しました。(これがきっかけとなり、私はスタートアップのFlowVRを創業しました。)学術研究でも同様の結果が示されており、VRツールは特に瞑想を始めたばかりの人に役立ちます。
変化の速い今日のビジネス界では、こうした取り組みを行う時間はないと感じることも多いでしょう。しかし実際には、ストレスや心配事への対処は、最終的に時間の節約につながります。医療保険会社エトナは、従業員が瞑想やヨガを学んだところ、個人的に良い効果を得ただけでなく、仕事の効率も上がり、「一人当たり週平均62分の生産性向上につながった」と、ニューヨーク・タイムズ紙は報じました。
職場が心身ともに健康な従業員を大切にすればするほど、私たち全員が得られるものも大きくなります。


