天津で開催された当フォーラムのニュー・チャンピオンズ年次総会では、世界最大の経済大国である米国と中国の報復合戦となっている貿易戦争がさらに激化したとのニュースが伝わり、貿易が議題の中心となりました。
世界経済に波紋を広げている対立について、政治家、ビジネスリーダー、学者がそれぞれの見解を述べました。
主な発言をいくつか紹介します。
「ルールに基づく多国間貿易体制は、経済のグローバル化と自由貿易の礎であり、双方に利益をもたらす成果を実現するための重要な安全策となっています。この体制の権威と有効性は尊重され、守られるべきです。WTOのルールには改善が必要なものもあります。誰もが対等な立場で話し合い、解決策を見いだすことが正しいアプローチです。
「自由貿易の基本原則を守り、すべての当事者の利益と懸念に配慮し、改革について可能な限り幅広い合意を築くべきです。一方的なアプローチでは、何の問題も解決できません。」 - 中国の李克強首相

「米中貿易摩擦を喜ばしく思ってはいませんが……今後20年を見据えて計画する必要があります。米国が何をしようとも、私たちは自らの原則に基づく解決策を用意します。何を言おうと、どれほど怒っていようと、トランプ大統領はそのことを分かっていません。
「変えられるのは、自分が計画し、実行すると決めたことです。もちろん、見通しはひどいものですが、それは競合他社にとっても同じです。資金調達に問題を抱えているなら、競合他社も同じです。何百万ものことをする必要はありませんが、正しいことを一つ実行する必要があります。」 - アリババグループ執行会長、ジャック・マー
「口先だけなら何とでも言えます。大切なのは行動です…… 双方が交渉の席に着き、言葉に行動が伴うことを願っています。」 - 米国下院議員、トッド・ロキータ
「WTO[世界貿易機関]について考えてみてください。いわゆる大規模な多国間貿易交渉でルールが本格的に改定されたのは、25年以上前です。当時、インターネットはまだほとんど普及していませんでした……中国もまだWTOに加盟していませんでした。その結果、今日のWTOは、進行中の事柄の傍らにますます追いやられているように見えます。率直に言えば、ルールを本当に更新する必要性に対処し、存在意義を取り戻す方法を見つけなければ、さらに影が薄くなるかもしれません。それは危険なことです。
「非常に憂慮すべき状況であり、相互につながる世界のほかの地域にも影響が広がり始めています。報復し合う国々だけの問題ではありません……双方が柔軟な姿勢を示す必要があります。米国は中国に産業政策の撤廃を一方的に求めることはできませんが、中国も、こうした政策が貿易相手国に損害を与えていることを否定できません。」 - アジア・ソサエティ政策研究所副会長、ウェンディ・カトラー
「私が使うたとえはフットボールです。フィールドの片側に一方のチームが現れます。ワールドカップのチャンピオンです。そして反対側にはスーパーボウルのチャンピオンがいます。どちらもフットボールをするために集まっていますが、考え方は大きく異なります……両チームとも非常に優れたプレーをしますが、それぞれが採用するルールは異なる技能を際立たせるようにできています。
「ワールドカップのサッカーチームは非常に機敏で、素早く動き、迅速に対応します。アメリカンフットボールのチームはより慎重です。すべてのプレーが計画され、フィールド上の各選手には連携した役割があり、防具を身に着けています。基本的に、米国と中国の経済は、同じフィールドでプレーするこの二つのチームのようなものです。」 - コビントン&バーリング共同代表、ティモシー・P・ストラットフォード
「中国との貿易戦争は中国と米国だけでなく、すべての人々に影響を及ぼしています……こうした決定は世界全体に影響を与えており、一人の人間が決めてよいことではありません。」 - キューバ外国貿易・外国投資大臣、ロドリゴ・マルミエルカ・ディアス
「ご存じのとおり、トランプ大統領は実業家です……政治の場で彼が使っているこの種の交渉戦術は、たいていうまくいきます。最終的には相手側が譲歩するからです。そしてトランプ大統領は、時間が限られており、長期戦にはできないと分かっています。
「ある段階で、スタッフに中国の専門家と交渉させ、何らかの合意に至ることで、この状況からどう抜け出すかを考えなければならないでしょう……双方が大きな意見の相違に陥り、非常に深刻な事態になるまで、彼がそのまま突き進むとは思いません。」 - 慶應義塾大学法学部教授、田村次朗

