世界的な保護主義の高まり、その背景にある理由

Aerial view of containers at a loading terminal in the port of Hamburg, Germany August 1, 2018. REUTERS/Fabian Bimmer - RC11BCABCCF0
Economists have traditionally emphasised the benefits of openness to trade, but populists resist it. How generalised is the demand for trade protection?Image: REUTERS/Fabiane Bimmr
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2019年、ドナルド・トランプ米大統領は選挙公約を実行に移し、世界各国からの数十億ドル相当の輸入品に関税を課した。主な標的は中国だった。同年5月までに、同氏は中国製品3250億ドル相当に25%の関税を課すと発表した。1 批判する人々は、こうした貿易戦争のコストを指摘した。互恵的な貿易がもたらす多くの利点を強調する一方で、中国との貿易が労働市場に混乱をもたらしたことも認めた。実際、Autorら(2013)などの経済学者は、以前から「チャイナ・ショック」を記録していた。すなわち、中国からの輸入増加によって、多くの地域労働市場で失業率が上昇し、労働参加率が低下し、賃金が下がったことだ。しかし経済学者は、こうした問題に対するより低コストの解決策は、失業保険など影響を受けた人々への金銭給付や、再訓練プログラムへのアクセスを提供することだと説明した。経済モデルでは、貿易保護は敗者を補償する方法として大きな歪みをもたらす。狭い範囲の商品(輸入品)に過剰な課税を行い、非効率な国内生産を促すからだ。

経済学者はまた、ポピュリストが保護主義を支持するのは不可解だと説明した。中国との貿易は、労働市場に影響を与える数多くのショックの一つにすぎないからだ。技術革新、消費者の嗜好の変化、さらには経営上の失敗も、こうした市場の需要と供給の状況に影響を及ぼすことが知られていた。貿易ショックと同様に、これらの要因も企業に生産の縮小や拡大、あるいは別の場所への移転を促してきた。

中国の役割を超えて見ても、国際貿易と海外移転が米国の労働市場の混乱に占める割合は小さいという推計が大半だった。景気循環に伴う労働市場の変動と、製造業の雇用が長期的・構造的に失われる現象(脱工業化)の主な原因は、技術変化、すなわち自動化と、国内需要の変化だった。Acemogluら(2016)は、2000年代の製造業の雇用喪失のうち、チャイナ・ショックによるものは10%(間接的な影響を考慮しても最大でほぼ20%)と推計した。それにもかかわらず、技術導入や国内需要パターンの変化への政治的な反発は、貿易に関連した雇用喪失に対する政治的反応に比べれば小さかった。経済学者は、自らの業界の保護を求める企業団体の影響力をしばしば強調したが、保護主義はより広く有権者の支持を集めているように見えた。

反貿易感情はどこから来たのだろうか。有権者は、他の労働市場の混乱と比べて、貿易ショックの相対的重要性を誇張したのだろうか。それとも、排外的な感情を利用し、外国を標的にする扇動家に、より容易に動かされたのだろうか。あるいは、失業に至るプロセスについて、有権者自身に好みがあったのだろうか。言い換えれば、この時期の貿易ショックを他の種類のショックとは異なるものと見なし、政府により強い対応を求めていたのだろうか。

私たちの研究は、最後の仮説を支持する証拠を示している(例:Di Tella and Rodrik 2019)。人々は貿易ショックを、他の種類のショックとは本質的に異なるものと見なしている。つまり、雇用の喪失だけでなく、その喪失がどのように生じたかも気にかけている。私たちの推計では、人々は国際貿易による雇用喪失にとりわけ敏感であり、貿易の中でも、豊かな国ではなく貧しい国への海外移転に特に反応する。こうした傾向は、上記の他の仮説とは整合しない。例えば、米国の排外的な感情によって、より裕福で価値ある「ライバル」国ではなく、貧しい国との貿易で「負ける」ことへの反応が強まるとは考えにくい。重要なのは、政策に対する選好は固定されておらず、変わりやすく、操作も容易だということだ。適切な物語の枠組みを提示すれば、保護主義的な傾向を強めることができる。

私たちの証拠は米国で実施した大規模なオンライン調査に基づく。被験者には、衣料品工場の閉鎖が迫っていることを伝える新聞記事形式のニュースを読んでもらった。被験者は無作為に、ニュース記事で説明された6つの異なるシナリオに対応する処置群に分けられた。(1)工場が生産する商品の需要減少(「需要ショック」)、(2)新たな省力化技術による生産の混乱(「技術ショック」)、(3)経営陣の誤り(「経営不振」)、(4)先進国への海外生産移転、(5)発展途上国への海外生産移転、(6)劣悪な労働基準を強調した、発展途上国への海外生産移転。

この6つの処置と比較するため、対照シナリオでは、雇用喪失に触れず工場の変化を伝えるニュース記事を用意した。その後、被験者にさまざまな政府の対応への支持を尋ねた。何もしない、失業保険や再訓練という形で職を失った労働者に政府給付を行う、または貿易保護を課す、という選択肢を提示した。基準となる結果は、経済学的なアプローチにおおむね好意的なものだった。回答者の圧倒的多数(70%)が給付を支持し、保護主義を支持したのは少数(9%)だった。

図1労働市場の混乱をもたらすショックに対する望ましい対応

注:この図は、「政府は職を失った労働者に金銭的支援を提供すべきだ」および「政府は輸入を制限すべきだ」という意見に賛同した回答者の限界効果を示す。Image: 出典:Di Tella and Rodrik(2019)

基本的な結果として、人々は雇用喪失に強く反応することが分かった。労働市場のショックに関するニュースに触れると、すべての処置群で政府の対応への支持が急増した。しかし、望ましい政府対応は金銭的支援よりも貿易保護に大きく偏っていた。政府給付への需要はわずかに増えた一方、貿易保護への需要は20%から200%の幅で増加した。

技術ショックや需要ショックなど貿易以外のショックも保護への需要を高めたが、貿易ショックははるかに保護主義的な反応を引き起こした(図1参照)。貿易ショックの中では、回答者は先進国との貿易よりも発展途上国との貿易に強く反応した。生産移転先の国名を「フランス」から「カンボジア」に変えただけで、輸入保護への需要は6ポイント上昇した(これは貿易保護への基準時の需要の半分を超える増加だった)。

対照群におけるサンプルの基準時の選好は、失業補償や職業訓練支援を強く支持するという点で経済学者のアプローチと一致していた。それでも、処置によって貿易保護への支持は、望ましい給付への支持よりもはるかに大きく高まった。労働市場のショックへの対応として、貿易保護はほぼ常に支持された。雇用喪失の原因が技術や需要のショックなど、貿易以外の要因である場合も同様だった。意外なことに、貿易と無関係なショックは、給付への需要をほとんど変化させなかった。

興味深い例外は、経営上の失敗による雇用喪失だった。補償給付への需要が大幅に増えたのはこの場合だけであり、保護への需要が大きく増加しなかったのもこの場合だけだった。給付とは異なり、貿易保護は雇用主にも従業員にも利益をもたらす。雇用喪失が経営上の失敗による場合、回答者は輸入保護によって経営陣に報いることを望まないようだった。そのため、このシナリオでは労働者への直接給付が好まれた。

政治的なイデオロギーが異なるグループ間でも、興味深い反応の違いが見られた。2016年の大統領選挙における立場に応じて、被験者をクリントン支持、(クリントン寄りの)中道、(トランプ寄りの)中道、トランプ支持に分類した。予想どおり、トランプ支持者は平均してクリントン支持者より保護主義的であり、貿易ショックを想起させられると、保護主義をより強く支持した。つまり、政治的にトランプに近い回答者は、クリントンに近い回答者よりも、貿易保護への需要の変化が大きかった。しかし、貿易ショックを想起させられたクリントン支持者の反応も大きかった。貿易ショックを想起させられたクリントン支持者は、基準時のトランプ支持者と同程度に保護主義的だった。

貧しい国の劣悪な労働基準を明示した処置でも、別のイデオロギー上の違いが見られた。回答者を政治的立場を反映するグループに分けると、労働者虐待に言及することで、「リベラル」(クリントン支持者)の貿易保護への需要は高まる一方、トランプ支持者の間では低下した。ただし、こうした違いは統計的に有意と言えるかどうかの境界線上にとどまった。2つのグループで逆方向に生じた影響は、全体では相殺された。

私たちの研究結果は、比較的単純なシナリオ提示であっても、公共政策への選好を形作る力があることを示している。また、適切な物語の枠組みを提示することで、政治キャンペーンが政策に対する意識をいかに容易に操作できるかを示唆している。

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