貿易障壁がプラスチック汚染対策を妨げている。解決に向けた方法

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  • 国境を越える摩擦が、プラスチック汚染対策における規模の経済を妨げている。

  • 貿易円滑化は、「3R」—リデュース(ごみの発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)—の推進に役立つ。

  • 循環型経済を世界規模で拡大するには、政府と企業の協力が欠かせない。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、プラスチック汚染対策は大きく停滞した。しかし、より環境に配慮した循環型社会への移行に向けて、機運を取り戻す助けとなり得る新たな視点が浮上している。世界貿易機関(WTO)加盟国の政府も、関心を高めている。プラスチック汚染への取り組みに対する関心だ。

グローバル・バリューチェーンと統合された市場が広がる世界では、プラスチック対策を強化するうえで、現在も将来も国境を越える要素が重要となる。近年まで、限られたプラスチックのリサイクルの多くは輸出を伴い、その圧倒的多数が中国に流れていた。こうした流れは、廃棄物の投棄や適切な処分に必要なインフラの不備をめぐり、論争の的となっている。

2018年、中国は一部のプラスチック廃棄物の輸入を禁止し、その後、ほかの複数の国も同様の措置を講じた。続いて2019年5月、有害廃棄物その他の廃棄物の越境移動と処分に関する条約であるバーゼル条約の締約国187カ国は、ほとんどの種類のプラスチック廃棄物を規制対象廃棄物のリストに加えた。2021年以降、分別され、清潔で汚染がなく、リサイクルを効果的に考慮して設計されたプラスチック廃棄物は自由に取引できる一方、それ以外の種類には輸入国と通過国の同意が必要となる。

こうした変更は、プラスチック廃棄物の管理を改善し、環境への流出を減らす可能性がある。しかし、追加の実施努力がなければ、貿易摩擦が強まり、世界のプラスチック・リサイクル市場の発展を妨げるおそれがある。これまでそうした摩擦は生じていないが、削減と再使用を後押しする貿易円滑化策にも十分な焦点が当てられてこなかった。

世界経済フォーラムは最近、消費財ブランド、産業界、政府、市民社会の専門家を集め、プラスチック汚染対策の前進に貿易が果たし得る役割について話し合った。最初の分野横断的な議論と、その後に続いた数多くの議論を経て、プラスチック汚染対策の加速を妨げる貿易障壁をまとめた新たなコミュニティ・ペーパーが作成された。

3R(リデュース、リユース、リサイクル)を後押しする新たな取り組み

貿易政策の立案者にも環境分野の実務者にも、このペーパーが議論を促し、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を後押しする新たな取り組みを推進するための有用な資料となることを願っている。

国内の禁止措置と承認の遅れが再生プラスチックの利用を抑制

市場に持ち込める品目は、各国の規制によって決まる。プラスチック廃棄物の輸入禁止に加え、複数の国が高品質な再生プラスチックの輸入に関する、より複雑な規則を導入しており、再生プラスチック包装の利用を制限している。また、国内市場で同等品質の再生プラスチックを調達できず、一部の消費財メーカーがバージンプラスチック原料への切り替えを余儀なくされたケースもある。市場によっては、再生プラスチック製品の利用に関する規制承認手続きに時間がかかる。

多様な基準と限られたデータが循環型サプライチェーンを複雑に

バリューチェーンが広がる世界では、再生プラスチックの生産、利用、表示のいずれにおいても、基準の違いが課題を生む。生産者ごとにプラスチックの等級が異なるため、リサイクル事業者は異なる等級の再生プラスチックを作る必要があり、コストが増加する。素材の特性に関する情報が不足すると、リサイクル工程が複雑になる。機械的リサイクルの過程で、一部の添加剤が人の健康や生態系の健全性にリスクをもたらす可能性があるためだ。

さらに、トレーサビリティの欠如とデータ不足により、とりわけ再生材の含有量について、市場のどこにどの素材があるのか不確実になっている。

世界で循環型プラスチックへの投資を促す取り組みの強化が必要

循環型プラスチック経済の構築における課題の一つは、新興国と先進国の双方で、上流と下流の投資が不十分なことにある。新素材の設計や新たなビジネスモデルを含むイノベーションや新事業を育成・拡大するとともに、都市レベルの廃棄物収集・リサイクルシステムにおける運営資金の不足を埋め、循環型の選択肢や廃棄物管理全般に資本投資を呼び込む必要がある。

循環型プラスチックへの投資は、規制環境、地域のインフラや技能、インセンティブ、政府調達政策、投資支援全般など、さまざまな要因によって停滞も加速もする。持続可能なプラスチック・ソリューションの提供者と官民の資金調達機会を結び付け、投資を促進し呼び込むことも、この不足を補う助けとなる。

手続き

2021年以降、プラスチック廃棄物の取引の大半は、規制対象廃棄物としてバーゼル条約の事前通報・同意(PIC)手続きの対象となる。企業への聞き取りでは、現在も一部の国にPIC通報を効率的に審査・処理する能力が不足していることが明らかになった。多くの場合、書類はいまだ紙のままで、輸送に大幅な遅れが生じている。

世界経済フォーラムは貿易円滑化にどう取り組んでいるのか?

さらなる検討

では、貿易政策と能力構築は、こうした課題への取り組みにどのような役割を果たせるだろうか。私たちのコミュニティは、規制協力と組み合わせ、さらに検討すべき3つの分野でアイデアを提示した。

1. 国境措置

国際的な貿易品目分類である統一システム(HS)の分類を見直す取り組みが考えられる。現行の分類では、リサイクルが難しいプラスチック廃棄物と容易なもの、またバージンプラスチックと再生プラスチックを区別できていない。分類を見直せば、循環型経済の目的に沿って取引される廃棄物を特定しやすくなり、政策の調整にも役立つ可能性がある。バーゼル条約事務局は、この分野で改正案の起草を進めている。[KB1]

例えば、リサイクルしやすい種類のプラスチックに低い関税を適用すれば、その貿易を促進できる。国内で規制されている種類のプラスチックの輸出を禁止し、品質の低い素材が外国市場に投棄されるのを防ぐこともできる。

世界貿易機関(WTO)の貿易円滑化協定(TFA)に関する能力構築と、PIC手続きのデジタル化を連携させることが考えられる。各国はPIC要件に関する通報を電子化・自動化することに一定の意欲を示しているが、電子システムと紙のシステムを同時に運用する事態は避ける必要がある。

プラスチック廃棄物の不法投棄を目的とする違法取引を招いている制度上の弱点を特定するため、各国と企業が協力することもできる。グローバル・プラスチック・アクション・パートナーシップ(GPAP)は、主要な業界リーダーや意思決定者のためのプラットフォームとして、こうした連携をどう促進できるかを詳しく検討する。

規制協力についてさらに検討すべき3つのアイデア

2. 国内措置

国境から離れた場所で実施される政策も、貿易の流れや投資判断に影響を及ぼす。貿易上の約束を活用すれば、外国のサービス提供者が市場内でリサイクルサービスを提供できるようにし、国内事業者と同等の待遇を認めて競争を促せる。再生プラスチックの生産と消費に対する財政的・規制上のインセンティブを含め、投資を促進する取り組みも可能だ。

関連分野の国際基準の合意を貿易政策を通じて促し、国内の規制措置の指針とすることで、恣意的な差別を避け、基準の収れんを促進できる。

3. 透明性

企業が貿易に参加し、国境を越える市場を育てるには、国内措置の透明性が不可欠だ。各国は、WTOを通じた世界規模の枠組みなどで、プラスチックの生産、廃棄物、リサイクルに関わる貿易関連措置や持続可能性基準の情報共有に合意できる。

データ収集とモニタリングによる透明性の向上が鍵となる。これはGPAPが重点を置く分野だ。

リサイクル率に関するデータの共有に加え、世界の再生プラスチック生産の動向をモニタリング・分析することが有用だ。同様に、プラスチックとプラスチック廃棄物の貿易や越境移動について、十分に細分化されたデータの改善も必要となる(HS分類の見直しがこれを後押しする)。

さらに、透明性と一貫性を高め、リスクを低減する規制環境は、新興国と先進国の双方で投資を促し、より堅牢な国内廃棄物管理施設に必要な資源の調達を支える。

プラスチックの越境移動に関するデジタルシステムを一般公開すれば、政府は違法行為により効果的に対処でき、プラスチックの回収率とリサイクル率について、より正確な統計を提供できる。

政府は、こうしたアイデアを前進させるために、さまざまな貿易手段を活用できる。世界規模では、一部のWTO加盟国が新たな取り組みの開始に関心を示しており、自由貿易協定(FTA)も選択肢となる。基準、素材の処理規則、化学物質の管理のいずれに関する規制協力も、重要な役割を果たす。貿易政策は、上流と下流の双方でプラスチックの循環型経済の拡大を後押しできる。持続可能な開発に向けて世界経済を立て直すため、こうした機会を生かすべきだ。

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