時間を曲げることについて考えてみましょう。この概念は 『スター・トレック』の世界のように聞こえるかもしれませんが、実際、サプライチェーン管理に携わる人なら誰もが、すでに時間の圧縮を目の当たりにしています。
考えてみてください。100年前、注文した商品が届くまでどれくらいかかったでしょうか。数週間でしょうか。数か月でしょうか。そのプロセスを支えるのに、いくつのシステムが必要だったでしょうか。注文は電報や郵便で届いたかもしれません。商品は船や鉄道、あるいは馬車で運ばれたかもしれません。事務員、労働者、甲板員、列車の機関士、そして配達用の荷馬車を引く馬の厩舎を掃除する人まで、そうしたすべてのシステムを支える人々が必要でした。
今では、注文を満たすのにどれくらいかかるでしょうか。きわめて特殊な商品を除けば、顧客が数日以上待つとは考えにくいでしょう。そして、かつて注文の履行に携わっていた人々の多くが、テクノロジーに置き換えられたのも事実です。
テクノロジーの進歩が加速するなか、いずれ注文がほぼリアルタイムで処理され、配送されることも、可能性の範囲外ではありません。自動車修理工場に3Dプリンターがあり、あなたが待っている間に車の新しい部品をすぐに製造できると想像してみてください。そう遠くない将来に実現するかもしれず、サプライチェーンの運営に大きな影響をもたらし得ると、 ハーバード・ビジネス・レビューは述べています。
私たちは事実上、時間を圧縮する方法を身につけました。
サプライチェーンは、より顧客中心になる必要があります
時間を操作すれば影響が生じます。そして、その多くはすでに顕在化しつつあり、とりわけサプライチェーン管理において顕著です。
バックエンドでは、サプライチェーンを支えてきた機能の一部がほぼ時代遅れとなりました。専用の印刷帳票や製品カタログを支えていた業界もその一例です。さらに変化が続くことは間違いありません。
フロントエンドでは、 顧客の期待が高まっています 。消費者は、より個人に合わせた製品やサービスを、より迅速に、慣れ親しんだ手軽さで注文し、受け取ることを求めています。
ビジネスパーソンは、すでに私生活でこの水準のサービスを享受しており、今やサプライヤーにも同じものを期待するようになっています。さらに顧客中心になることへの圧力が高まっています。
構造化されていないサプライチェーンデータを最大限に活用する
実のところ、企業には、以前のように対応する時間がありません。 スピードが競争優位につながる状況では、迅速化が組織の成功または失敗を左右する重要な要素となり得ます。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの研究者たちは最近、「顧客主導型経済の台頭」と題する報告書を発表しました。そこでは、「どのアプローチがうまくいくか」を待って見極めるのではなく、今テクノロジーソリューションに投資している企業のほうが、顧客中心のパラダイムで成功する可能性が高いと結論づけています。
サプライチェーン管理で時間を消費し、注文を遅らせるワークフローの多くは、情報の処理、理解、意思決定に時間がかかることだけを理由に存在しています。そして情報は膨大です。サプライチェーンを加速させてきた技術の進歩は、ほぼすべての取引について、デジタル記録、つまり仮想のライブラリーもひそかに作り出してきました。
データを使って過去を現在に生かす
ビッグデータによって、過去のすべての取引を分析できるだけでなく、その根拠や前提もほぼリアルタイムで取り出して再検討し、より良い意思決定に役立てられるようになりました。
こう考えてみてください。かつて先祖について知るには、不完全でばらばらな歴史記録を何日も何週間もかけて調べる必要があり、実際に得られる情報はごくわずかなことが少なくありませんでした。これからは、後世の人々(たとえば、私たちの孫の孫)が、私たち全員がオンラインに投稿するデジタル情報を掘り起こすことで、私たちの職業人生を実質的に再現できるようになります。
サプライチェーンも同じです。今日下された計画上の決定は、将来にわたって精査され、意思決定に活用できます。つまり、ある意味で私たちは過去を現在に持ち込むことで「時間を曲げて」いるのです。
よりスマートなサプライチェーン技術=人間のより良い意思決定
この論理は未来にも当てはめられます。人工知能の登場によって人間の知能を超え、ひょっとすると人間の思考を支配するのではないかと恐れる人もいますが、 ワイアード 誌は最近、人間の知能は人工知能と交流し、ひょっとすると競い合うことで、実際に拡張しているという証拠があると報じました。
同様に、将来のシナリオをモデル化する高度な予測技術をサプライチェーンのリーダーや運用担当者に活用すれば、人々はサプライチェーンをより効果的に運営できるようになると同時に、
サプライチェーンのパフォーマンスに影響するさまざまな要因の相互作用について、より深く理解できるようになります。
テクノロジーが過去だけでなく未来についても深い理解を助けてくれるなら、時間を曲げることは本当に手の届くところにあります。
この記事は、 SAPコミュニティネットワークとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。
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著者:マーティン・バークマンは、SAPコミュニティネットワークの寄稿者です。
画像:英国からのごみを満載したコンテナ船の乗組員が、2009年8月5日、サントス港からの出港を待っている。REUTERS/Paulo Whitaker。





