グローバル化と米国大統領選挙:不満を抱える人々の声をもっと真剣に受け止める必要がある

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世界経済フォーラム年次総会2017のセッション「保護主義:未来から過去へ?」はこちらからご覧ください。

世界の統合に警鐘が鳴るとすれば、それは2016年の米国大統領選挙のような音だろう。自由市場の擁護者であり、世界最大かつ最も統合された経済の中心である米国は、ポピュリストで自国民優先主義、保護主義寄りの大統領を選んだ。

ドナルド・トランプは、自由貿易に反対するメッセージを掲げ、劣勢を覆して勝利を収めた。その主張は米国のラストベルト全域で増幅された。リアリティー番組の司会者で実業家でもある彼は、英国の選挙運動を 手本にし、英国のEU離脱にならって、反移民感情と国家主義的な経済論を結び付けた。

2016年の米国大統領選挙(そして英国版の出来事)をひもとくと、トム・フリードマンの著書『レクサスとオリーブの木』を思い出す。1999年刊のこの本は、冷戦後の国際システムとしてのグローバル化を、経済統合、テクノロジー、自由貿易の象徴であるレクサス車になぞらえて説明している。しかしフリードマンのモデルでは、レクサスが絶対的な地位を占めるわけではない。人間のアイデンティティー、国家主義、安全保障という古くからの力を体現するオリーブの木と、常に相互作用している。時には協調し、時には対立する。世界経済で成功するには、各国は「より優れたレクサスを築く」努力をしなければならない、とフリードマンは述べた。しかし、その過程で「人々がこのグローバルなシステムによって、自分たちのオリーブの木の根を踏みにじられていると感じる」なら、「立ち上がって、そのプロセスを阻止する」かもしれない。

では、2016年の政治的出来事を踏まえ、フリードマンの論旨をどう捉え直せるだろうか。私はこの年を、オリーブの木がレクサスの上に倒れ込んだ年と呼びたい。米国大統領選挙と英国のEU離脱はいずれも、1999年のシアトルでの世界貿易機関(WTO)抗議デモ以降、グローバル化の力に対する最大の政治的反発を示している。世界第1位と第5位の経済大国では、合わせて約8,000万人(米国で6,200万人、英国で1,700万人)が、自由貿易、開かれた国境、地域経済統合を拒む候補者に投票し、国民投票でその立場を選んだ。

トランプの勝利の事実を示せば、その勝利を過大評価したり過小評価したりする傾向を正すことができる。彼の勝利はやや異例だった。過大評価の側面を見れば、支持者が主張するような圧勝ではなかった。米国の選挙人団制度のもとで、彼は一般投票では敗れた。大統領選の勝者としては、米国史上最大の得票差で一般投票に敗れた。選挙人団での勝利は、58回の選挙中46位に位置する。勝利を決定づけたミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州では、トランプの得票は合計77,774票、投票者の0.06%の差だった。

一方、ほぼすべての専門家による世論調査がトランプの敗北を予測しており、彼の勝利は米国大統領選挙史上でも大きな番狂わせの一つとなった。対立候補のヒラリー・クリントンに選挙資金で約2対1と大きく差をつけられた。僅差で勝利したものの、ロナルド・レーガン以来、ラストベルトのミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州のすべてを制した初の共和党候補となった。

選挙人団で過半数を得るには、トランプにとってこの3州すべての勝利が必要だった。彼がこれらの州で勝てた大きな理由の一つは、自由貿易を長年支持してきた共和党の立場に逆らったことだ。NAFTAからの離脱、環太平洋パートナーシップ(TPP)からの撤退、輸入関税の賦課、雇用を海外に移転する米企業への制裁を掲げて選挙戦を展開した。

その結果、ヒラリー・クリントンを労働者階級の有権者の支持で上回った。バーニー・サンダースの予備選での挑戦を受け、彼女はTPPについて左寄りの立場を取ったが、皮肉にも、夫が1990年代に民主党を自由貿易政策へと転換させたことが原因で、クリントンは依然として弱みを抱えていた。

それから20年後、自由貿易への反対が、両党のポピュリスト系有権者を結び付ける意外な共通点となった。2016年のブルームバーグの世論調査によると、政治的立場を問わず、米国民の大多数が貿易協定に否定的な見方を持ち、保護主義的な経済政策を支持している。選挙後の複数の経済学者による分析も、ミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州の各郡で、中国とメキシコからの輸入品との競争が激しくなるほど、トランプへの支持が高まるという直接的な相関関係を示唆している。

最近のCNNのインタビューで、労働組合のリーダーでミシガン州の自動車工場労働者でもあるクリス・ヴィターレは、2008年と2012年にオバマに投票したが、貿易について「真実を語る意思」を初めて示した候補者だったためトランプを支持したと述べた。NAFTAや中国での生産が地元の雇用や製造業にもたらす不利益に言及した。

2016年にドナルド・トランプが代弁した経済的不安は、米国経済全体の実績を踏まえると、やや不可解だ。ポピュリスト的、保護主義的な政策課題は通常、低水準でさらに低下する失業率や、株価指数が過去最高に迫る国では根付かない。

次期米大統領ドナルド・トランプ。Image: REUTERS/Brendan McDermid

2016年の米国大統領選挙は、グローバル化の勝者と敗者をめぐる議論の新たな章を示している。所得格差の拡大とテクノロジー企業のビジネスモデルが、状況をさらに複雑にしている。米国では、先行指標が好調でも、特定の人口層や地域では深刻な経済的困難が続いている。アウトソーシングや自由貿易によって雇用と稼得力が失われていると確信する地域では、実際の原因を突き止め、解決策を見いだすことが難しくなっている。例えば、技術による自動化(しばしば雇用を奪う)は、必ずしもグローバル化と同義ではない。

ドナルド・トランプ政権が世界経済秩序をどう再構築するかは、予測しにくい。ポピュリズムや保護主義の歴史的事例は数多くあるが、グローバル化時代に米国大統領の際立った特徴となった前例はほとんどない。当選後の政権移行も、選挙戦と同じく、具体策に乏しく言葉が先行している。次期大統領の上級顧問に就任予定のスティーブ・バノンは、中間層を支持基盤とする反グローバリズム的な経済ナショナリズムの政策課題について語っている。これが具体的にどのような政策綱領になるのかは、まだ明らかになっていない。

当面、2016年の米国大統領選挙(および英国のEU離脱)は、フリードマンがグローバル化の象徴的な力として描いたレクサスとオリーブの木の均衡が崩れていることを示している。国際経済協力を支持する人々の大半は、どちらの出来事にもまったく不意を突かれた。

世界経済フォーラムのような組織は、自由貿易や世界的な統合によって疎外されたと感じている人々を含め、より幅広い視点を取り入れるべきだ。一流企業のCEOとミシガン州の労働組合リーダーとの対話を増やせば、見落としを減らし、グローバル化の弊害がブラックスワンとなる政治的出来事を形作る前に、解決策を促すことができる。

2016年のダボス会議では、ドナルド・トランプのポピュリスト的な政策課題や当選の可能性をめぐって冗談が飛び交い、疑問の声が上がった。2017年のダボス会議最終日には、彼はアメリカ合衆国大統領に就任する。

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