この記事は、世界経済フォーラムの地政学戦略プラットフォーム
一部の西側メディアは、最近のEU戦略である「欧州とアジアをつなぐ―EU戦略の基盤」を中国の「一帯一路」構想(BRI)と比較している。この比較は中国と欧州の関係に広く注目を集め、続いているBRIをめぐる活発な議論を活用できるからだ。
EUがアジアのパートナーを誠実に、平等かつ互恵的に扱う限り、中国や他のアジア諸国は、EUがこの地域で積極的な役割を果たすことを歓迎するだろう。
EUはアジアの経済的な将来性と、連結性の発展の可能性を認識している。これが同戦略を打ち出した主な理由だ。
EUは、長期的には世界の経済成長の90%超が欧州以外の地域、とりわけアジアから生まれると認識している。アジア市場はEUにとって非常に重要であり、EUに大きな経済的利益をもたらすだろう。
成長の可能性
今後、アジア経済には大きな成長の可能性があり、欧州とアジアの経済的な相互依存は深まるだろう。EUはアジア市場を開拓し、基盤を固めるため、連結性を強化する必要がある。
近年のEUの目標は、インフラに重点を置き、欧州域内の連結性を通じて経済回復を目指すことだった。欧州とアジアを結ぶEUの戦略は、その目標を拡張するものだ。
2014年11月に発表された欧州委員会の「欧州投資計画」(通称「ユンケル・プラン」)で、EUはエネルギー、通信、デジタル、運輸などの分野を優先すると述べた。
インフラ需要
汎欧州運輸ネットワーク(TEN-T)の整備も促進された。EUは同戦略で、「アジアでは年間1兆3,000億ユーロを超えるインフラ投資が必要になると推計する向きもある」と述べ、運輸分野のTEN-Tへの投資については「2021~2030年に1兆5,000億ユーロが必要と推計される」としている。
欧州とアジアを結ぶことで、EUは経済回復を後押しする貿易・投資の可能性を探るとともに、米国の一国主義や保護主義による悪影響を抑えようとしている。これもEUが同戦略を打ち出した重要な理由だ。
EU側の妥協によって欧州と米国の貿易摩擦は一時的に和らいだものの、対立は解決していない。米国の政策は不確実で、ドナルド・トランプ米大統領も依然として気まぐれなため、対立はいつ再燃してもおかしくない。そのため、欧州とアジアを結び、安定した協力関係を築くことは、EUの長期的な利益にかなう。
欧州とアジアを結ぶ欧州流の方法を強調する際、EUは慎重かつ客観的である必要がある。EUはアジアと欧州の連結性を促進する政策を優先課題としている。かつて欧州はアジア欧州会合(ASEM)で連結性の促進を図ったが、その焦点は一方向の連結性にあり、西側の価値観や社会制度をアジアに輸出する一方、インフラの連結性を軽視していた。
価値観や制度を一方的に輸出するのではなく、ユーラシアのニーズを理解し、それに応えることこそが、アジアと欧州の連結性を正当化する唯一の方法だ。
undefined
近年、中国などのアジア諸国は、連結性をASEMの優先課題とするよう働きかけ、EUにインフラへの注目を促してきた。
EUはこうした政策転換から教訓を得るべきだ。価値観や制度を一方的に輸出するのではなく、ユーラシアのニーズを理解し、それに応えることこそが、アジアと欧州の連結性を正当化する唯一の方法である。欧州流の方法によってEUが戦略を円滑に推進できるかどうかは、多様なユーラシアに適応できるかにかかっている。
EUの戦略を真の協力につなげるのは、欧州流の方法を推進することだけではなく、欧州とアジアの共通点を探ることだ。最新のEU戦略は、欧州流の方法を「持続可能で、包括的かつルールに基づく連結性」と表現している。しかしEUは、協力の基盤を探る必要性についてパートナーと話し合う必要がある。
EUの戦略が中国のBRIへの対抗を狙うものかどうかにかかわらず、中国と欧州が現在の共通認識を維持し、アジアと欧州の連結性に向けて足並みをそろえて取り組めば、協力は拡大し、相違やリスクを管理する能力も高まる。
5年間の発展を経て、BRIは持続可能な発展の新たな段階に入った。政策、貿易、金融、文化の各分野でパートナーとの包括的な連結性をさらに促進し、相互尊重に基づく調整を目指す。
欧州とアジアを結ぶ戦略を提案することで、EUはアジアへの関心を示そうとしているのかもしれない。しかし、その取り組みが建設的であり、対話と協働を通じて共に成長するという原則に沿う限り、中国と欧州は既存のEU・中国連結性プラットフォームやASEMで協力を深め、連結性の実現に向けて連携できる。
連結性を追求するにあたり、欧州はアジアと「共通の道」を探るべきだ、中国国際問題研究院欧州研究部長、崔洪建氏





