テクノロジーなしにイノベーションが起こることはほとんどなく、まったくないと言ってもよいでしょう。ICT(情報通信技術)業界は、政府や企業向けの部屋ほどの大きさのコンピューターから始まり、わずか40年で消費者向けの小型ガジェットを生み出すまでに進化しました。巨大なコンピューターは、どのようにして私たちのポケットに収まるようになったのでしょうか。この発展を要約する技術進化のパターンを予測したのがムーアの法則です。チップ上のトランジスタは小型化しながら数を増やし、コンピューターの処理能力を毎年倍増させる一方、機器のサイズは実際に小さくなっていきました。
他の業界では、イノベーションが劇的な変化を経た後に停滞するのに対し、ICTは急速なペースで進歩を続け、変化の速度を加速させています。テクノロジーは性能の向上を加速させるとともに、私たちの生活のあらゆる側面にイノベーションをもたらします。そしてそれは、破壊的イノベーションです。最新テクノロジーの能力によって、次のより優れたテクノロジーの開発が急速に可能になり、そのテクノロジーが今度は従来の技術製品に取って代わるか、これを変化させます。
技術の進歩が加速するにつれ、最新の新しい機器についていくことに疲れを感じる人もいるかもしれません。しかし、若い世代は違います。若者たちの生活のあらゆるものは、何らかの形でテクノロジーと結びついており、テクノロジーがどのようにビジネスや生活を可能にし、影響を与えるのかを、彼らはよく理解しているようです。彼らはテクノロジーについていくだけでなく、それを糧とし、推進し、支持しています。実際、従来の考え方、製品、プロセスに取って代わり、それらを置き換える破壊的イノベーションは、指数関数的な速度で進化しています。そして、その役割を若い世代が担っていること抜きには、もはや語れません。彼らこそが、破壊的変革をもたらす世代なのです。
技術変化の速度と破壊的イノベーションの波は、市場に大きな機会を生み出します。パン屋から銀行まで、あらゆる事業者がこのイノベーションとテクノロジーの波に乗ることができます。事業者がそうしないことを選べば、他者がその座を占めることになります。
ただし、破壊的イノベーションはゼロから開発する必要はありません。協働型イノベーションは、業界全体を変え、進化させるうえで大きな役割を果たします。たとえば、Microsoftでモーションセンサー技術のKinectを開発した後、私たちはゲーム用にその技術を非公開のまま固定していました。さらなるイノベーションのために技術を公開するよう、ステークホルダーから繰り返し要望を受けた後、そうすることで業界を横断するイノベーションの波が生まれると分かりました。
実際、Kinectのオープンなソフトウェアキットを活用し、教育や医療などの業界で、ゲーム技術をさまざまな製品に利用するスタートアップ企業が次々と生まれました。たとえば開発者たちは、Microsoft Kinectのコンピューターによるジェスチャー認識の力を、理学療法から手術支援、自閉症のスクリーニングから聴覚障害者のコミュニケーション支援まで、さまざまな医療用途に応用しました。
次の「ゲームを一変させる」イノベーションが何に取って代わり、何を改善するのか、私たちにはまだ本当のところ分からないかもしれません。しかし、若者たちがこの種の破壊的イノベーションを推進する術を身につけつつあることは分かっています。破壊的変革をもたらす世代はデジタルネイティブであり、イノベーションを起こす準備ができています。
著者: Jan Muehlfeit はMicrosoft Europeの会長です
画像:2013年8月21日、Sneekのスティーブ・ジョブズ・スクールでiPadを使う生徒たち。REUTERS/Michael Kooren


