プラットフォームとシステムの力を活用する方法を理解することは、第4次産業革命に伴う課題に取り組み、社会にもたらす恩恵を最大化するうえで不可欠です。デロイトのCenter for the Edge共同議長であり、プラットフォームとシステムに関するグローバル・フューチャー・カウンシルの共同議長でもあるジョン・ヘイゲル3世は、システムを制御することはできなくても、その方向性や時間とともに進む変化を形づくり、プラットフォームを使ってシステム内の学習を加速できると述べています。
プラットフォームとシステムとは何を指すのか、また、なぜそれほど重要なのか、説明していただけますか?
システムという概念は、世界経済フォーラムの活動の中心になっています。狭い専門領域に目を向けるだけでは、最も効果的な解決策やアイデアにたどり着けないことが多いという認識が高まっているためです。私たちの生活のあらゆる場面で、人々や組織など、互いに関わり合う他者のシステムに参加しているという考え方です。真に影響をもたらすには、システムの振る舞いや結果を左右する力学を理解する必要があります。
私たちは、プラットフォームとはガバナンスの枠組みを定めるものだと考えています。誰が参加できるのか、どのような条件で参加者がシステムから排除されるのか、紛争が起きたときにどう解決するのかを決めることです。さらに、システム内のやり取りを円滑にする一連の基準やプロトコルも含まれます。誰かが発言したとき、その人が言ったことを誰もが同じように理解できるでしょうか。標準的なコミュニケーションの方法は何でしょうか。
適切に設計され、導入されたプラットフォームは、システムの影響力を大幅に高められると考えています。そこで、この2つの交差点や相互作用を探っています。システムに最も大きな影響を与えうるプラットフォームとは何でしょうか。また、システムはプラットフォームの可能性をどのように活用し、さらなる影響力を発揮できるでしょうか。
プラットフォームとシステムに関するグローバル・フューチャー・カウンシルでは、どのようなテーマが中心になると思いますか?
一方では、第4次産業革命が大きな機会を生み出すという認識が高まっています。しかし、気候変動や貧困から、関連するシステムにすべての人を包摂することまで、依然として取り組むべき重要な課題もあります。こうした課題と機会の双方に、プラットフォームとシステムを活用してより効果的に取り組む方法が焦点です。
システム・リーダーシップとプラットフォーム経済の概念は、第4次産業革命の恩恵を最大化し、それに伴うリスクを最小限に抑えるうえで、どのように役立つでしょうか?
私たちは皆、視野を狭め、システムの複雑さや、独立した当事者同士がどのように関わり合うかを考えるよりも、自分個人や自分の所属機関に焦点を当てがちです。
また、システムには多様なステークホルダーが参加する必要があるという考えも、その一部です。企業を集めるだけではありません。民間企業、政府機関、NGOなど、特定の課題や機会への対応に変化をもたらしうる関係者をすべて特定し、システムとして結集させて取り組むのです。プラットフォームを活動の調整や問題解決の加速に役立てます。
こうしたシステムとシステム間の相互作用をうまく管理するために、ほかに何が必要でしょうか?
その多くは、複雑さを理解し、認識することです。システムの複雑さや相互依存関係を考えると、トップダウンの解決策を押しつける傾向があっても、それが効果を発揮することはほとんどありません。予想外、想定外の結果がさまざまに生じ、ときには良い結果に、ときには悪い結果になります。
ここでの考え方は、システムを制御することはできなくても、その方向性や時間とともに進む変化を形づくり、システム内の学習を加速できるということです。そうすれば、課題や機会に取り組むうえでシステムの有効性を高めていけます。プラットフォームは、リアルタイムのフィードバック・ループを提供するなどして、学習の加速に大きな役割を果たせます。システムの参加者は、現在の行動がどのような結果を生んでいるかを確認し、リアルタイムのフィードバックに基づいて振り返り、調整し、改善できます。
新興技術は、こうしたすべてにおいてどのような役割を果たすでしょうか?
大きな役割を果たします。基本的な通信ネットワークやインターネットといった既存技術によって、システム内でのやり取りの規模は大きく拡大しました。こうした技術が登場する前は、交流できる相手は地域の人々に限られていました。今では、世界規模で即時に通信でき、参加者の数も増え続けています。これは、システムを次の段階へ発展させる基盤となります。
さらに、データを収集する能力も高まっています。以前は見えなかった私たちの生活や世界の側面について、データを収集して可視化できるようになりました。その結果、どのような活動が行われ、どのような影響をもたらしているのか、そのパターンが見えてきます。
さらに、分析に関わる技術もあります。ある段階を超えると、データが増えるほど扱いきれず、分析が非常に難しくなります。データを調査して知見を引き出し、参加者がより広く利用できるようにする強力な分析ツールが必要です。
第4次産業革命の主要テーマは、システムの規模と潜在的な影響力を劇的に高める、指数関数的に進化するデジタル技術群が登場したことだと、私たちは考えています。
2030年には、どのような状況になっているでしょうか。システム・リーダーシップとプラットフォーム経済の面で、何が実現しているでしょうか?
可能性に限界はありません。世界経済フォーラムは、システムには「収益逓増のダイナミクス」と呼ばれる性質があると考えています。適切に機能するシステムでは、参加者が増えるほど、その価値と影響力がより速く高まります。つまり、影響力は直線的ではなく、指数関数的に増大するのです。
2030年までに、システムを効果的に機能させるために何が必要か、また、それを支えるプラットフォームはどのようなものかについて、理解が深まっていることを期待しています。そうすれば、今なお直面している世界的課題への対応に大きな進展をもたらすとともに、システムとプラットフォームを通じて社会に価値を生み出す新たな大きな機会にも取り組めるでしょう。


