がん呼気検査
アルコール検知器のハイテク版ともいえる機器が、がん検出の未来を担うかもしれません。南カリフォルニア大学(USC)では、簡便ながん検出用呼気検査の臨床試験が進められています。参加者は、「BreathLink」アプリとその連携機器「Breathscanner」でがんを検出できるかを確かめるため、自発的に試験に参加しています。

「アルコール検知器のようなものですが、感度は10億倍です」と、プロジェクトを主導するMenssana Researchのマイケル・フィリップス博士は、CBSのスーザン・スペンサーに語りました。
Breathscannerは人の呼気を採取します。次にBreathLinkというクラウドアプリケーション機器が、呼気中の揮発性有機化合物(VOC)を濃縮分析します。ガスクロマトグラフィーを用いて肺胞呼気のVOCサンプルを分離し、表面弾性波検出(GC-SAW)または水素炎イオン化検出(GC-FID)によって、それぞれの特定の標的物質を検出します。感度はピコモル(1兆分の1)に達します。
BreathLinkはすでに、活動性肺結核の患者を高い精度で特定しており、今回の臨床試験はその取り組みの次の段階です。現在の臨床研究では、肺がんと乳がんの検出に加え、心臓移植後の拒絶反応の検出も行われています。機器の開発者らは、試験が成功すれば、FDAの承認取得への道が開かれると期待しています。
より速く、簡単で、正確な検出
別の呼気検査も臨床試験中です。インペリアル・カレッジ・ロンドンで開発されたこの検査は、選択イオンフロー管型質量分析法に基づいています。これまでに300人の患者を対象に、食道がんと胃がんを85%の精度で検出しています。主任研究者のシェラズ・マーカル博士は1月に開催された欧州癌学会議2017で、次のように述べました。
「現在、食道がんや胃がんを診断する方法は内視鏡検査しかありません。この方法は費用がかかり、侵襲的で、合併症のリスクもあります。呼気検査を非侵襲的な第一段階の検査として用いれば、不要な内視鏡検査の数を減らせる可能性があります。長期的には、診断と治療の早期化、さらには生存率の向上にもつながるでしょう。」
同様に、Breathscannerは合併症が少なく、結果が早く得られ、早期診断が可能だとしています。モバイル型の診療現場用システムであるため、インターネット接続があれば、現場でも診療所でも使用できます。病気や酸化ストレスのマーカーを特定する独自のアルゴリズムを備えたBreathLinkクラウドアプリケーション機器と連携して動作します。その後、データは中央検査室のサーバーに送られ、すべてのデータ交換は国防機関レベルの暗号化で保護されます。患者にとって手順は簡単です。機器に2分間息を吹き込むだけです。10分も経たないうちに、結果がわかります。
がん患者の呼気は本当に異なるのかと尋ねられたフィリップス博士は、「乳がんと肺がんについては、間違いなくそうです」と答えました。
マーカル博士はその理由を次のように説明しています。「がん細胞は健康な細胞とは異なるため、異なる化学物質の混合物を生み出します。」
この2つの臨床試験は、がん検出の未来を示しています。両研究チームは、呼気からさらに多くの種類のがんを検出する方法の開発に取り組んでいます。


