北朝鮮は水爆実験を実施したとみられている。地下実験による地震波は中国でも感じられ、韓国と日本でもすぐに検知された。両国はそれぞれ独自に、核実験だったことを確認した。では、地震学はこのような実験について何を明らかにできるのだろうか。
核実験の監視に地震学的手法が使われるようになった経緯は?
核実験の検知と識別に「地震鑑識学」と呼ばれる手法が使われるようになったのは、核兵器誕生のほぼ直後にさかのぼる。1946年、米国は太平洋のビキニ環礁で、核爆弾の初の水中実験を実施した。この大規模な爆発で生じた衝撃波は世界各地の地震計で捉えられ、科学者たちは地震学をこうした実験の監視に利用できると気づいた。
冷戦の最中の1963年、核実験は地下で行われるようになった。地下実験による地震波は検知がより難しい。遠く離れた場所で感じられる揺れが非常に小さく、わずか約100万分の1センチメートルだからだ。
地下実験による波を測定するため、科学者たちはより高感度の地震計を開発し、地震計アレイの設置を始めた。地震計アレイでは、複数の地震計を数キロメートル以内の範囲に配置する。単独の地震計よりも、特定の発生源からの小さな振動を捉えやすく、波がもともとどこから来たのかをより正確に突き止めるのにも役立つ。
1996年、包括的核実験禁止条約(CTBT)が署名のために開放され、すべての核爆発を禁止することを目指した。この条約を履行するため、ウィーンに本部を置くCTBT機関は、地球上のあらゆる場所で核実験を検知するため、50を超える地震監視所を備えた国際監視制度を構築している。
この制度が使うのは地震計だけではない。微気圧振動観測装置は、人間の耳には聞こえない非常に低周波の音波を捉え、大気中で核爆発が起きた可能性を探る。水中音響観測装置は、水中爆発によって生じ、海洋を長距離伝わる音波を捉える。また、放射性核種検出器は、核実験場から放出された放射性ガスを「嗅ぎ分ける」。
地震監視装置は何を探知するのか?
自然現象か人為的なものかを問わず、あらゆる地震や爆発は、地球内部を伝わるさまざまな衝撃波を生み出す。微小な地面の動きを測定できる地震計は、これらの波を検知する。最初に到達する最速の波はP波(初期微動)で、続いて、地球内部深くを伝わるS波(主要動)が到達する。その後に遅い表面波が来る。表面波は地表近くしか伝わらないため、地表で感じる揺れを最も大きく引き起こす。
地震計は、波の種類ごとの到達時刻の差を使って、地震や爆発がどれほど遠くで起きたのか、また発生源が地下のどれほど深い場所にあったのかを推定する。地震の規模(マグニチュード)も測定できる。
地震学者は爆発と地震をどのように見分けるのか?
その方法はいくつかある。一つは、地震が発生した深さを測定することだ。現代の掘削技術を使っても、核装置を設置できるのは地下数キロメートルまでだ。地震が深さ10kmを超える場所で発生した場合、核爆発ではないと断定できる。
冷戦期に行われた数多くの核実験の研究から、地震と比べ、爆発ではS波に対してP波がより大きくなることが分かっている。また爆発では、P波に比べて表面波が相対的に小さくなる。そのため地震学者は、異なる種類の波の大きさを比較し、爆発による波か自然地震による波かを見極めようとする。
2006年以降、一連の核実験を実施してきた北朝鮮のようなケースでは、各実験で記録された波形を直接比較できる。実験はすべて互いに数キロメートル以内の場所で行われたため、波形は似ており、違いは規模だけだ。
直近の核実験について、地震学から何が分かるのか?
地震学のデータから爆発があったかどうかは分かるが、それが核弾頭によるものか、通常の爆薬によるものかは分からない。核爆発だったと最終確認するには、放射性核種の監視か、実験場そのものでの調査に頼る必要がある。
同様に、核分裂爆弾と熱核水素爆弾を明確に区別することもできない。また、北朝鮮政府が主張するように、ミサイルに搭載できるほど小型の爆弾かどうかも分からない。
データから分かるのは、爆発の規模の目安だ。地震波の規模と爆弾の爆発力との関係は、実験が行われた正確な場所や地下の深さに大きく左右されるため、単純には分からない。しかし今回の実験については、過去の北朝鮮の実験と規模を直接比較できる。
今回の爆発は、北朝鮮が前回実施した実験(2016年9月)を大幅に上回る威力だった。ノルウェーの地震監視センターNORSARは、爆発の規模をTNT火薬換算で120キロトンと推定している。比較すると、1945年に広島と長崎に投下された爆弾の威力は、それぞれ15キロトンと20キロトンだった。
この技術の信頼性はどれほどか?
上述の留意点はあるものの、利用可能な観測機器の感度向上と監視所の増加により、現在では地球上のどこで行われた核実験も検知できる、非常に信頼性の高いネットワークが整っている。
包括的核実験禁止条約は発効していないが、こうした事象を調査する科学者の専門性は常に高まっている。日本と韓国の監視機関が今回の実験を数時間以内に確認したことは、その能力の高さをよく示している。



