あらゆる産業革命は、混乱をもたらしながらも、最終的には雇用と機会、進歩を生み出し、人々を周囲の世界といっそう深く結びつける。
蒸気機関の発明によって、人力や運河網、馬、そして馬の世話をする鍛冶職人の必要性は低下した。しかしそれは、現代のグローバル経済の動脈を築いた製造業、鉄道、海運の新時代を切り開いた。
ディーゼルエンジン、内燃機関、電気の登場により、労働者が農村から都市へ移るなど、社会に変化が生じた。しかし、こうした革新はフォードのT型車、冷蔵技術、機械化農業、そして新たな世界の中間層を生み出した大量生産の時代をもたらした。
オートメーション、パーソナルコンピューティング、情報技術の台頭によって、電話交換手やタイピストなどの仕事がなくなり、製造業の労働者、秘書、旅行代理店の従業員、テレマーケターの必要数も減った。一方で、世界経済を変革したインターネット時代も幕を開けた。
今日、第4次産業革命において、テクノロジーと社会の進歩の関係が再び試されている。
ソーシャル、モバイル、データサイエンス、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)の融合により、変化の速度はかつてないほど加速している。この新時代がもたらす無限の可能性に期待を寄せるべきだが、こうした革命が個人として、また社会として、私たち全員にどのような影響を及ぼすのかに備える必要もある。
一方で、今日のテクノロジーは、クラウドソーシング、自動運転車、シェアリングエコノミーなどの新興分野を含め、新たな雇用を生み出す。これは労働力の変革という傾向の延長線上にある。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートによると、過去25年間に米国で生まれた雇用の3分の1は、IT開発やシステム管理など、25年前には存在しなかったか、ほとんど存在していなかったものだ。今後数年間で、AIやIoTなどのテクノロジーを活用して新たなビジネスソリューションを生み出すセールスフォースのような企業は、数百万件の雇用を創出するだろう。
他方で、オートメーションの進展により、製造、運輸、小売、医療、行政の仕事がなくなる可能性もある。今後を見据え、世界経済フォーラムは、2020年までに、あらゆる業界の仕事で求められるスキルの約35%が変化すると予測している。今日、小学校に入学する子どもたちの多くは、まだ存在していない職業に就くことになる。
ビジネスリーダーには、こうしたテクノロジーによって現在そして将来生み出される仕事や機会を、すべての人が得られるようにする責任がある。
何よりもまず、将来の仕事に必要な教育やスキル訓練を、より多くの人が受けられるようにする必要がある。セールスフォースでの経験、とりわけ無料の研修プログラム「Trailhead」や、軍人向けの就職支援プログラム「Vetforce」などのパートナーやプログラムとの取り組みから、多くを学んだ。進歩は誰も取り残さずに実現できることが示されている。
個々の組織の取り組みは重要だが、私たちが目指す社会の進歩を実現するには、政府、非営利団体、学術機関に至るまで、各分野が連携して行動する必要がある。
公正で平等な社会として前進するには、テクノロジーの進歩だけでは不十分だ。イノベーションがもたらし得る、良い面と悪い面の両方の影響を理解し、それに備える必要がある。
カーネギーメロン大学は、この取り組みにおいて重要な役割を果たしている。同大学は、新たな「テクノロジーと社会センター」を設立し、新興技術が、あらゆる技能水準の労働者が21世紀に生計を立てる能力にどのような影響を及ぼすかを研究している。また、テクノロジーの変化が経済や社会にもたらす影響を研究するため、世界を代表する研究者やリーダーをさらに招く中で、社会として、こうした恩恵が現在そして将来にわたって広く共有されるよう、革新的な政策介入策を策定できることを願っている。
今日のテクノロジーは驚異的だが、第4次産業革命はまだ始まったばかりだ。今後数十年、企業、政府、学界、社会が真に協力する意思を持てば、世界中のできるだけ多くの人々に恩恵を届ける機会がある。現世代と次世代に、この革命によって取り残されるのではなく、自ら主導できるという希望を与えられる。



