研究によると、2050年までに世界人口の半数が近視になる可能性がある。これは現在の人数より3分の1以上の増加にあたる。なぜなのか。研究者によれば、スマートフォンやタブレットへの依存が大きな要因となっている。
米国の研究者らは、1995年から2015年までの20年間にわたる世界の近視発生状況を調べ、そのデータを用いて今後数十年間の近視の有病率を予測した。
2050年までに、48億人、つまり世界人口の49.8%が眼鏡を必要とすると予測されている。
この研究は、『Ophthalmology』誌に掲載され、先進国・地域で近視がより広く見られる可能性が高いと指摘した。
東アジア、東南アジア、アジア太平洋地域で問題が最も深刻で、2050年までにこれらの地域の人口のおよそ3分の2が近視になるとみられる。
これに続くのは北米の58.4%、西欧の56.2%、オーストラレーシアの55.1%だった。
スクリーンを見る時間
この研究は近視になりやすい遺伝的素因があることを認める一方で、近視の増加傾向は遺伝だけでは説明できないと指摘している。
むしろ、近距離で使う電子機器の過度な使用など、生活習慣の変化が増加を招いていると研究は述べている。
また、地域ごとの近視率に関する研究結果は、スマートフォンの保有状況に関するデータと相関しているようだ。

上の地図が示すように、韓国やオーストラリアなどスマートフォン保有率が最も高い国の多くは、今後数十年間に近視の割合が最も高くなると予測される地域に含まれている。
外に出よう
しかし、スクリーンの使用増加と近視の有病率上昇には相関があるものの、スクリーンだけが原因である可能性は低い。
『Ophthalmology』誌の研究は、近視の増加について「屋外で過ごす時間の減少と、近くを見る作業の増加が重なったこと」が原因だとしている。
他の研究によると、問題を引き起こしているのはスクリーンそのものではなく、日光を浴びる機会の不足だという。
米国の子ども4,500人を対象とした研究では、オハイオ州立大学が20年間にわたって調査した結果、近視と読書時間やスクリーンを近くで見つめる時間との間に関連は見られなかった。
一方、屋外で過ごす時間が長い子どもほど、近視になりにくいことが分かった。
同様に、オーストラリアの研究では、シドニーの小中学校に通う4,000人以上の子どもを3年間調査し、屋外で過ごす時間が短い子どもほど近視になるリスクが高いことが分かった。

近視の予防に屋外で過ごす時間がなぜそれほど重要なのか、正確な理由はまだ分かっていない。
しかし、キャンベラにあるオーストラリア国立大学のイアン・モーガンは、アジアとオーストラリアの近視率を研究し、光(またはその不足)が眼球の発達に及ぼす影響に原因があると述べている。
今から10年も前に、モーガンは日光を浴びるとドーパミンの放出が促され、近視率が低下すると主張していた。
ドーパミンには眼球の成長を抑える働きがあることが知られており、近視は眼球が過度に成長することで起きる状態だ。
その後の研究は、彼の説を裏付けているようだ。ある中国・広州の学校を対象にした研究で、モーガンと研究チームは、生徒が屋外で過ごす時間の長い学校では近視の発生率が23%低かったことを明らかにした。




