交通の未来は統合型だ。そこにどうたどり着くのか?

Traffic congestion in Shanghai, China
Seamless Integrated Mobility will see buses, trains and autonomous cars working in sync to reduce congestionImage: Reuters/Joe White
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街の反対側にある大切な会議に遅れそうだと想像してください。ラッシュアワーに道路の一部が崩落し、市内全域が大混乱に陥っています。どんな選択肢があるでしょうか?

多くの交通システムでは、選択肢はあまりありません。しかも、適切な判断に必要な情報を得るのは難しいでしょう。実際、今日の交通システムは大きな負荷にさらされています。多くの地域で鉄道や道路のインフラが老朽化しています。交通面で大きな課題を抱える地域では、人口が急増しています。そして、オンラインショッピングの急拡大が従来の配送網に圧力をかけています。

こうした課題に直面するなか、次のような新たな交通手段が登場しています。ライドシェアからドローン配送まで、さまざまな手段が生まれています。しかし、こうした個別の解決策では、通勤者をはじめとする交通利用者が適切な判断を下すために必要な情報を統合できません。今日のモビリティの課題に対処するには、官民が連携して対応し、真に調整のとれた未来の交通システム、すなわちシームレスな統合モビリティシステム(SIMSystem)を実現する意志が必要です。このシステムでは、物理的資産とデジタル資産の相互運用が可能になり、統合されていない構成要素が生む摩擦が解消されるため、人やモノがより効率的に移動できます。

「モビリティの未来を形づくるイニシアチブ」の一環として、世界経済フォーラムは、このようなシステムの必要性と特性をより深く理解するプロジェクトに着手しました。既存のテクノロジー企業からスタートアップ、政府関係者まで、モビリティのエコシステムを形づくる多様な主要関係者と協力し、このイニシアチブではSIMSystemとその可能性を可視化し、課題や要件を特定するとともに、実際の行動に向けた指針を示すことを目指しています。今すぐ協調して行動しなければ、統合モビリティシステムは実現しないか、世界が直面する差し迫ったモビリティの課題に対処できるほど早く実現しないか、あるいは政府、民間セクター、利用者のニーズに応えられない形で実現することになります。

この規模の取り組みの第一歩は、SIMSystemが社会にもたらす恩恵を示すビジョンによって、関係者の意欲を高めることです。モビリティの向上は、医療、教育、経済的機会へのアクセスを広げ、包摂的な成長を促します。その恩恵は、裕福で健康な市民だけでなく、高齢者、視覚障害者、恵まれない立場にある市民にも及びます。SIMSystemでは、政府、交通事業者、利用者がテクノロジーを活用し、バス、海運、ライドシェア、自動運転ポッド、自転車シェア、航空、鉄道など、あらゆる交通手段を横断してシームレスにつながり、リアルタイム情報を交換します。企業は収益を上げ、都市は渋滞を減らし、市民はより質の高い生活を享受します。

パリで試験走行する自動運転電動ミニバス(右)。Image: ロイター/シャルル・プラティオ

第4次産業革命のテクノロジーは、新たなモビリティのエコシステムを可能にする重要な要素の一つです。モノのインターネット、スマートセンサー、機械学習によって、個別の交通システムが連携し、さまざまな状況を予測して対応できるようになります。家族旅行の計画のような日常的な場面から、感染症の流行への対応までが含まれます。テクノロジーを活用すれば、関係者、交通手段、地域をまたぐ多層的な相互運用により、より便利で、手頃で、クリーンかつ安全で、誰もが利用しやすい交通ネットワークを実現できます。

交通の野心的なビジョンには、自動運転車や無人車両、ドローンの急速な進歩も考慮する必要があります。これらの交通手段はまだ初期段階にありますが、SIMSystemの構想モデルから除外するのは怠慢であり、志の低い姿勢と言わざるを得ません。

どのような形をとるにせよ、SIMSystemの実現には官民連携が必要です。私たちが考える統合モビリティでは、こうしたパートナーシップを通じて、資金調達の仕組みやデータ共有など、想定される課題に対応するためのプロトコルを整備します。また、SIMSystemの進化は地域によって異なると考えられるため、主要な関係者は各自のニーズに合わせて適応、カスタマイズ、拡張できるモデルを活用できます。

このプロジェクトの初期段階では、統合モビリティの必要性とビジョンだけでなく、それを可能にする原則もまとめようとしています。SIMSystemを実現する理想的な条件や行動とは何でしょうか。例として、次のようなものがあります。

• 政府が招集役および調整役を担い、優先事項やインセンティブが対立する可能性のある官民の関係者を結集する

• 意思決定権を中央集権的なモビリティ当局に集約し、交通規制システムの複雑さに対処する

• 成果を重視したモビリティ測定基準を設け、統合の取り組みの成功を評価する

• 都市をSIMSystemの実証実験の場とし、成功したモデルを他の地域に導入して拡大する

• 新たに形成されつつあるモビリティ市場の複雑さに対応できる、新たなガバナンスモデルを開発する

これらの原則は、最終的にはモビリティの影響を受けるすべての主体に行動を呼びかけるもの、いわばマニフェストの一部です。モビリティは現代生活のほぼあらゆる側面を支えているため、その影響を受けない主体はほとんどありません。様子見の姿勢をとれば、次々に登場する個別の交通ソリューションを後になって取りまとめることが、さらに難しくなり、不可能にさえなりかねません。

シームレスな統合モビリティの実現は、容易な課題ではありません。しかし、今始めれば、モビリティの未来を正しい形で築く、世代に一度の胸躍る機会にもなります。

• フォーラムのSIMSystemプロジェクトの最初の成果物である「シームレスな統合モビリティシステム(SIMSystem)の設計:人とモノの移動を変革するマニフェスト」は、2018年のダボス会議で発表されます。世界各地の官民組織に構想を共有し、早ければ翌年にも複数の実証実験への支援を得る予定です。

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