職場での迅速なイノベーションの鍵となる可能性

Corporate venture building (CVB) has become one of the main strategies for companies to remain at the apex of innovation.
Corporate venture building (CVB) has become one of the main strategies for companies to remain at the apex of innovation.Image: Unsplash/Dylan Gillis
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  • コーポレート・ベンチャービルディングとは、企業が迅速にイノベーションを起こせる拠点として、別法人や新たな部門を設けることをいう。

  • フェリペ・ドゥリンスキ氏は、社内でイノベーションを試みる従来のモデルは、変化が起きる速度に対応できなくなっていると記している。

  • 同氏によると、ベンチャービルディングは今日、企業にとって主要なイノベーション戦略の一つとなっている。

2008年、シリコンバレーで一つのコンセプトが生まれ、新規事業の創出と企業のイノベーションのあり方を永遠に変えることになった。エリック・リースが生み出したのは、リーン・スタートアップの手法だ。リースが初めてスタートアップ企業のCatalyst Recruitingを創業したのは20代前半のころで、当時はまだイェール大学の学生だった。現在、同氏はCatalystでの経験が自身のキャリアで最も重要なものの一つだったと語る。スタートアップの立ち上げは、ガレージで初心者が挑む冒険ではなく、独自の事業運営手法が必要だと気づいたからだ。

この手法自体は、それほど革新的なものではない。北米が自動車市場を支配していた時代にトヨタを収益性の高い企業へと変えた豊田英二が、1980年代にすでにリーン生産方式を広めていた。リースは、リーン生産の概念の柱をスタートアップの創出と成長に応用した。問題を反復サイクルと消費者からのフィードバックによって迅速に解決できたことで、実用最小限のコンセプト(MVP)が生まれた。

リーン・スタートアップの手法が発表されるずっと前の1990年代には、スティーブ・ブランクという、シリコンバレーのもう一人の起業家が、すでに自身の学びを一つの手法にまとめ、カスタマー・ディベロップメントと名付けていた。このプロセスでは、創業初期の企業にはビジネスモデルについて未検証の仮説が多く残っており、プロダクト・マーケット・フィットを見つけるまで、それらを検証する必要があると考える。

新興企業やアクセラレーターが大企業に与える影響

エリック・リースがリーン・スタートアップの手法を生み出す少し前、米国と英国では新たな潮流としてビジネス・アクセラレーターが勢いを増していた。他の多くの潮流と同様、アクセラレーターは米国で始まり、有名なYコンビネーターが2005年に初のアクセラレーション・プログラムを開始した。英国では、Seedcampが最初に設立され、その後すぐに多くの同様の組織が続いた。アクセラレーターとは基本的に、メンタリング、研修、ネットワーキングを含む集中的な事業プログラム(期間は3~6カ月)で、事業の急成長を目指す。最後にはデモデーが開かれ、支援を受けたスタートアップが潜在的な投資家に向けて製品を売り込む。2012年、私はPipaを立ち上げる機会を得た。Pipaはラテンアメリカを代表するビジネス・アクセラレーターの一つだ。リオデジャネイロを拠点とし、社会的インパクトを重視すること、そしてSingularity Universityと提携して同大学のグローバル・スタートアップ・プログラムを修了する学生のプロジェクトを加速させることが、私たちの主な特徴だった。

私たちは50社を超えるスタートアップの成長を支援し、プログラムに参加した200人を超える起業家を指導する機会を得た。当時、支援したスタートアップの出口に依存しないため、大企業に新規事業の創出方法を教える研修・人材育成事業に注力することを決め、そこからベンチャービルディングの世界を知るようになった。

コーポレート・ベンチャービルディングの加速

ビジネス・アクセラレーターをゼロから立ち上げ、50社を超えるスタートアップの成長を支援し、大企業との関係を築き始めた経験を通じて、製品を新たに投入するのではなく、新会社を創出してイノベーションを起こしたい大企業の内部でも、アクセラレーターのビジネスモデルが有効に機能することが明らかになった。

世界の変化がますます速くなるなか、企業が市場の変化を先取りするには、迅速にイノベーションを起こす力が必要だ。社内でイノベーションを試みる従来のモデルは、変化の速度に対応できなくなっている。現在、コーポレート・ベンチャービルディング(CVB)は、企業がイノベーションの最前線にとどまり、これまで開拓されていなかった領域から価値を生み出し、株主へのリターンと社会へのプラスの影響をもたらすための主要な戦略の一つとなっている。CVBとは、企業がイノベーション拠点として機能する別法人や新たな部門を設けることをいう。

CVBの例として、私がベンチャービルダーとして働くアクセンチュア・ベンチャーズがある。この新しい部門には独自の文化と異なる価値創出プロセスがあり、特に、他部門の従来の人材とは異なる考え方やスキルを持つ人々がいる。アクセンチュアのような大企業でCVBを導入するうえで、私が特に興味深いと感じるのは、経営トップとの連携が取れていることだ。イノベーションについて考え、CVBがどのような価値を生み出せるかを探ることは、会社の経営陣の議題に含まれている。

私たちが手がけた特に興味深い事例の一つが、スタートアップのImpulsoTecだ。ImpulsoTecは、当初ブラジルで年間10万人の技術人材を育成し、雇用することを目指して設立された(将来的には中南米、北米、欧州へ拡大する目標がある)。このスタートアップは、Amazon Web Services(AWS)およびブラジル最大の銀行Itaúとの提携により生まれた。アクセンチュアがパートナーとなり、整備されたベンチャービルディング・プロセスを通じてテクノロジーを基盤とする新事業を創出するという構想により、パートナー企業や顧客は安心してイノベーションの環境に踏み出すことができる。

CVBモデルを活用すれば、大企業はスタートアップのようなスピード、柔軟性、機動力を備えながら、大企業が提供できるリソースと支援も得られるイノベーションの原動力を築くことができる。

市場では大きな変化が起きている。大企業はより革新的な組織へと移行し、プラットフォーム戦略を活用して、より多くの市場価値を取り込もうとしている。また、大量離職のような経済的な動きもあり、多くの労働者が仕事を辞めている。こうした状況で、起業家精神を持つ経営幹部の重要性が高まっている。

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