移住にまつわる誤解を覆す5つのグラフ

Boys play near the house of Fakher Hmidi, a young man who still unaccounted for after last week's capsizing off the Italian island of Lampedusa, in Thina district of Sfax, Tunisia October 15, 2019. Picture taken October 15, 2019. REUTERS/Zoubeir Souissi - RC1F5E3D2A50
There's a lot of misinformation about international migration. The World Migration Report gives a clearer picture.Image: REUTERS/Zoubeir Souissi
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  • 国際移民や移住については、特に欧州と北米で広く誤った情報が流布しています。

  • 国際移民の主な移住先は、米国、ドイツ、サウジアラビアです。

  • アジアとアフリカの国際移民の大半は、生まれた地域内で移動しています。

  • アフリカでは、国境を越える避難が顕著であり、複雑な様相を呈しています。

移住ほど、政治や世論の議論で大きな存在感を長く保ってきた問題はほとんどありません。世界各地で、特に欧州と北米では、近年、国際移住が大きな注目を集め、政治を分断する最も顕著な争点の一つとなっています。

移住に関するメディア報道は、しばしば不当に否定的です。また、移民や移住について誤情報や偽情報を広める人々によって、移住をめぐる重要な問題があまりにも頻繁に利用されてきました。

「フェイクニュース」が増え、ナショナリズムを掲げる枠組みを採用する国が増えるなか、最近発表された『世界移住報告書2020』のデータと情報は、国際移住と避難の実態をより正確に描き出しています。

移住に関する誤情報を正す5つのグラフを紹介します。

1. 国際移民はどこから来て、どこに暮らしているのか?

歴史的に、米国は国際移民の主要な移住先でした。この傾向は2019年も続き、推計5,100万人の国際移民が同国に暮らしていました。これは世界で最も多い移民人口です。移民に対する政治色の強い否定的な言説があるにもかかわらず、米国は何十年にもわたり最も重要な移住先であり、多くの移民が米国の暮らしのさまざまな側面に、積極的に、そして人口比を上回る形で貢献してきました。

2019年には、ドイツとサウジアラビアにそれぞれ約1,300万人の国際移民が暮らし、移住先として世界第2位と第3位でした。ドイツの国際移民人口が近年増加した背景には、シリアからの避難が大きく影響しています。

2019年に海外で暮らす移民の数が最も多かった国は、インド、メキシコ、中国でした。世界の国際移民の40%超はアジア生まれで、その出身地としてインドだけで1,750万人を占めています。

2019年の国際移民の主な移住先と出身地(単位:百万人)Image: 世界移住報告書2020

2. 移住のパターンは一様ではなく、地域によって異なる。

近年、移住への注目が高まるにつれ、移住の傾向について理解が不足している、あるいは意図的に誤って伝えられている場合があることが、ますます明らかになっています。たとえば、アフリカ出身の国際移民の大半は大陸を離れる、というのがよくある見方です。しかし、データは異なる実態を示しています。アフリカやアジアなどの地域の国際移民の大半は、欧州や北米を目指すのではなく、生まれた地域内で移動しています。

アフリカへの移住、域内移住、アフリカからの移住(1990~2019年)Image: 世界移住報告書2020

3. 主な移住ルートから何が分かるのか?

世界最大の移住ルート(メキシコから米国)は、最近生まれたものではありません。メディアや政治の場で一般に語られる見方とは異なり、メキシコから米国への移住は何十年にもわたって続いています。

一方、世界で2番目に大きいシリアからトルコへの移住ルートが形成されたのは、比較的最近です。シリア紛争によって大規模な避難が生じ、何百万人ものシリア人が国外への退去を余儀なくされました。2019年には、推計370万人のシリア人がトルコに居住していました。

また、インドとパキスタンの間のルートなど、ほかの大規模な移住ルートの一部は、1947年の分離独立時に起きた大規模な避難など、歴史的な出来事に起因しています。

アジア諸国を起点とする移住ルート上位20件(2019年)Image: 世界移住報告書2020

4. 難民を最も多く受け入れている国はどこか?

世界の難民の大半は、引き続き開発途上国が受け入れています。2018年の世界の難民は推計2,590万人で、その圧倒的多数(84%)を開発途上地域が受け入れていました。難民受け入れ数上位5か国のうち、開発途上国ではないのはトルコとドイツだけでした。トルコは世界で最も多くの難民を受け入れており、その数は370万人で、多くはシリア人です。次いでパキスタンには約140万人(主にアフガニスタン人)が暮らし、ウガンダが110万人で第3位でした。

出身国別の難民数上位5か国(2018年、百万人)Image: 世界移住報告書2020

シリアは、世界で群を抜いて最大の難民出身国であり、その数は670万人です。しかし2010年には、シリアは世界で3番目に多くの難民を受け入れており、主にイラクからの難民を100万人以上受け入れていました。

5. アフリカなどの地域では、国境を越える避難は複雑な様相を呈する。

国境を越える避難は世界各地で依然として大きな問題ですが、アフリカでは特に顕著です。何年にもわたって続く南スーダンの解決困難な紛争により、2018年には大陸で最も多くの難民が生じ、その大半は隣国ウガンダで受け入れられました。

特に注目すべきなのは、スーダンやコンゴ民主共和国のように、多数の難民を生み出している国のいくつかが、相当数の難民も受け入れていたことです。これは、アフリカなどの地域における避難の複雑さを浮き彫りにしています。程度は小さいものの、こうした動きはアジア、特にイラクでも見られます。

難民と庇護希望者の合計数によるアフリカ諸国上位10か国(2018年)Image: 世界移住報告書2020

この5つのグラフから明らかなのは、国際移住は複雑で、歴史的要因と現代の要因の双方に影響されるだけでなく、移住のパターンも地域や国によって異なるということです。こうした動きを理解することは、国際移住の実態をより明確かつ多角的に捉えたい人にとって重要です。とりわけ、移住に関する神話を正すには、より幅広く完全な理解が欠かせません。事実を装った虚偽が電波を埋め尽くす現代においては、なおさらです。

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