この記事は世界経済フォーラムの地政学プラットフォーム
シリア内戦により、約1,200万人が避難を余儀なくされています。その中には、シリア国内で避難している人々と、シリアの国境を越えて難民として逃れた人々の両方が含まれます。
最も多くの難民が暮らしているのは、トルコ、レバノン、ヨルダンの近隣3カ国です。受入国はシリア人を寛大に受け入れ、多くのシリア人が働いていますが、その膨大な数によって、現地の労働市場、公共サービス、社会の調和に負担がかかっています。
これらの国々のシリア難民には、継続的な人道支援以上のものが必要です。仕事によってもたらされる自立、尊厳、機会、そして希望が必要なのです。
RANDの研究者は、難民と受入国の労働者の双方にとって新たな経済機会を生み出すのにどの政策が役立つかを見極めるため、シリア人と現地企業を対象に6件の調査を実施し、避難したシリア人と受入コミュニティを対象に36回のフォーカスグループを実施しました。
シリア国民の避難状況

トルコ、レバノン、ヨルダンは、いずれもシリア難民を受け入れるために多大な努力と犠牲を払ってきました。
多くのシリア人が働き、何とか生計を立てており、大多数が雇用主や同僚から公正に扱われていると報告しています。
しかし、難民の失業率は高い水準にあります。大半は低技能・低賃金の非正規の仕事に就いています。合法的に就労できるようにするための制度は、想定どおりに機能していません。働きたいと考えている人の多くは、仕事のある都市に住んでいません。シリア人に対する最低賃金法の執行が不十分であることが、受入国の労働者に圧力をかけています。
仕事を見つける際の主な障壁は国によって異なります

うまくいっている点
勤勉さ
雇用主は、シリア人を勤勉で、現地の人々が望まない仕事も進んで引き受ける人々だと評価しています。受入国の経済も、シリア人の労働力から恩恵を受けています。
女性
戦前のシリアよりも、受入国で働くシリア人女性の数が増えています。男性も女性も、こうした状況を社会的に受け入れられ、必要かつ尊敬に値するものと見なしています。
善意
政策立案者は、受入国がシリア難民を受け入れることで世界に対する「公共財」を提供していると考えており、大規模インフラプロジェクトへのドナーの投資が、受入国の経済とシリア人の双方に役立つと考えています。
思いやり
大量のシリア避難民の流入によって、3カ国のいずれにおいても深刻な社会不安は生じていません。労働市場や公共サービスにおけるシリア人への反感は広がっている一方で、彼らの苦境に対する真摯な懸念も存在します。
起業家
シリア人はトルコで活発な起業家として活動しており、登録された事業は1万件以上に上ります。それでも、成長を阻む障壁は残っています。
雇用需要
調査対象となった雇用主のかなりの割合が、シリア人を採用したと回答しています。特定の地域や地帯の製造業では、準熟練職で雇用が増える機会があります。

提言
トルコ向け
トルコ語の研修と能力開発を拡大する。
雇用需要のある第二都市の仕事に、研修を提供しながらシリア人とトルコ人を結び付ける。
就労許可の取得機会を拡大する。
トルコにおけるシリア人の学位や資格の認定を迅速化する。女性の就労先への交通手段を提供する。
ヨルダス向け
必要とされるスキルについて、シリア人とヨルダン人の双方に対し、短期の職業訓練コースを提供する。
実績のある研修プログラムを特定して規模を拡大し、雇用主と労働者のマッチングを改善する。事業を行いやすい環境を改善する。
就労許可の発行手続きを簡素化・合理化する。
シリア人とヨルダン人の双方に対する最低賃金法および最低労働条件法の執行を検討する。
レバノン向け
必要とされるスキルについて、シリア人とレバノン人の双方に対し、短期の職業訓練コースを提供する。
シリア人が就労できる分野に対する制限を緩和する。
就労許可の取得を容易にする。
外国投資を促進するため、自治体を含む統治能力を強化する。
従業員と雇用主のマッチングを改善する。
シリア難民とその受入国のためのウィンウィンの解決策、Krishna B. Kumar、Shelly Culbertson、Louay Constant、Shanthi Nataraj、Fatih Unlu、Kathryn E. Bouskill、Joy S. Moini、Katherine Costello、Gursel Rafig oglu Aliyev、Fadia Afashe、RAND Corporation

