開発援助について、多くの人が誤解している。知っておくべきこと

Nine-year-old Tumelo shows off antiretroviral (ARV) pills before taking his medication at Nkosi's Haven, south of Johannesburg November 28, 2014. Nkosi's Haven provides residential care for destitute HIV-positive mothers and their children, whether HIV-positive or not. Nkosi's Haven is named after Nkosi Johnson, the young AIDS activist who passed away on International Children's Day on June 1, 2001. December 1 is World AIDS Day. Picture taken November 28. REUTERS/Siphiwe Sibeko (SOUTH AFRICA - Tags: HEALTH) - RTR4G62Y
In the last 25 years, foreign-aid programs have helped usher in an era of unprecedented progress in the developing world.Image: REUTERS/Siphiwe Sibeko
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ドナルド・トランプ米大統領が最近発表した2018年度予算の概要は、米国の対外援助を大幅に削減することを提案しており、世界で最も弱い立場にある人々の健康とウェルビーイングの向上に、こうした支出が果たす役割について議論を呼んでいる。この議論が重要なのは、世界の大きな格差の多くを縮小するうえで、援助はこれまでと同様に、あるいはそれ以上に重要だからだ。その理由は広く理解されていない。

過去25年間、対外援助プログラムは、開発途上地域に前例のない進歩の時代をもたらす一助となってきた。乳幼児死亡率と極度の貧困は半減した。米国が最大の資金拠出国である「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」や「ワクチンと予防接種のための世界同盟(Gavi)」など、革新的な多国間パートナーシップは、マラリア、HIV、結核などの感染症による負担を軽減し、何百万人もの命を救ってきた。ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、ワクチン接種やその他の介入にかかる費用を減らし、それらが世界の保健にもたらす測定可能な効果を高めるため、こうした取り組みと連携してきたことを誇りに思う。

Image: OECD

経験が示すように、保健・開発プログラムは経済に大きな利益をもたらす。たとえば、小児予防接種に1ドルを投資すると、開発途上国は得る経済的便益は44ドルにのぼる。

それでも、開発援助が可能にした目覚ましい進展を知らない人は多い。最近実施された調査では、24か国の56,409人のうち、世界の貧困が半減したことを知っていたのは100人に1人にすぎなかった。3分の2を超える人が、極度の貧困は増加したと考えていた。こうした世間に広がる誤解は悲観的な見方を強め、対外援助予算を政治的に脆弱なものにしている。

問題をさらに深刻にしているのは、援助国の人々が、自国政府の援助支出額を過大評価しがちなことだ。米国の対外援助は連邦予算の1%未満だが、最近の世論調査では、米国人の73%が、援助は国家債務に「大きく」または「ある程度」寄与していると考えていることが分かった。

援助国の判断を曇らせている誤解はもう一つある。開発途上国への援助は純粋な善意によるもので、援助国に具体的な利益はないという考えだ。実際はまったく逆である。開発プログラムへの資金援助は、安全保障と経済の両面で、先進国自身の利益にもかなう。

援助資金がなければ、貧困や不安定さの拡大によって、先進国は遠方の紛争に巻き込まれ、移民や難民の危機、パンデミックという形で国内にも不安定さが及ぶ可能性がある。一方、援助によって開発途上国の所得向上を支えれば、自国で輸出関連の雇用を生み出せる。米国の主要貿易相手国上位15か国、つまり米国の財やサービスを消費する自立した国々のうち、11か国はかつて援助を受けていた。

さらに多くの開発途上国が、自らの未来を切り開いている。賢明な税制・財政政策に支えられた国内の公共プログラムを通じて、自国の開発への貢献を増やしているのだ。また、教育、基礎的な医療、農業生産性の向上など、重要分野への投資を重視している。これらは、自立し繁栄する未来の基盤となる。民間企業や資本も、開発プロジェクトで役割を拡大している。

それでも現時点では、援助国からの援助は、国内資金の不足を補い、市場の失敗に対処し、民間部門の投資を促すうえで欠かせない。そして、ここ数十年で大きな進展があったとはいえ、保健と開発の進歩を持続させるには、まだ多くの課題が残っている。

今なお10億人以上が、1日1ドル未満で暮らしている。毎年、生後1か月以内に亡くなる赤ちゃんは300万人を超える。こうした問題をはじめ、2030年に向けて国連が掲げた保健・開発目標の野心的な一連の課題の一部に取り組むには、持続可能な開発目標に沿って、開発援助を継続的に提供することが不可欠だ。

既存の援助プログラムが完璧だと言いたいわけではない。むしろ、改善を続けるため、常に目を配る必要がある。しかし、援助資金が可能な限り効果的に使われていないという批判は、問題を大幅に誇張している。費用対効果の高い援助プログラムの設計と実施に豊富な経験が蓄積されているおかげで、適切に使われなかった資金は、援助に投じられた総額のごく一部にすぎない。

より大きな問題は、情報が不足していることだ。だからこそ、開発分野に携わる私たちは、政策立案者や一般の人々との意思疎通を改善し、開発援助の仕組みと、それが促してきた進展を伝えるために力を尽くさなければならない。

現在の不確実性にもかかわらず、世界の保健と開発の進展は続くと楽観している。国連で、そして現在はゲイツ財団で、こうした分野に20年近く携わってきた私は、開発援助の意義は明白で説得力があると知っている。世界は、世界の保健における格差を縮小し、極度の貧困をなくし、より公正で安全な世界を築くという歴史的な課題に背を向けないと信じている。

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