戦後の国際秩序が米国にとって意味するもの

An U.S. flag waves in the wind on a boat near the Statue of Liberty in New York August 31, 2011. REUTERS/Lucas Jackson (UNITED STATES - Tags: CITYSPACE)
Rising powers are challenging aspects of the International Order.Image: REUTERS/Lucas Jackson
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1945年以降、米国は、国連やG7を含む国際経済機関やグローバル組織、同盟を含む二国間・地域安全保障機構の創設と維持、そして自由主義的な政治規範を通じても国益を追求してきた。これらは総じて「国際秩序」と呼ばれることが多い。

近年、新興大国がこの秩序の諸側面に異議を唱え始めていると、『戦後国際秩序の価値を検証する』は論じている。

戦後秩序を論じる多くの研究は、その主要な制度、すなわち国連、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)と世界貿易機関(WTO)の体制、米国の同盟網、世界銀行と国際通貨基金、G7とG20、そして制度的秩序を構成する数百の下部組織、条約、協定に焦点を当てている。

これらの要素は戦後秩序の重要な構成要素だが、その真の重要性を理解するには、さらに二つの要素を含めなければならない。

一つは、グローバル化が進む時代に、多くの国家間の相互作用を特徴づけるようになった、明確に認識できる多国間協力の水準である。もう一つは、世界政治の中核に、概ね同じ考えを持ち、秩序を形成する国家から成る、暗黙の共同体が出現したことである。

この三つの要素、すなわち制度的秩序、多国間行動への明確な傾向、そして中核となる国家群を合わせたものが、ここでいう戦後秩序である。

効果と価値

戦後秩序の効果を評価するのは難しい。世界経済の成長、平和と安定、民主化といった秩序が目指す成果には、多くの要因が作用しており、特定の制度や行動の効果を切り分けるのは容易でない。

研究者たちは、人権条約や環境協定など、秩序の個別の要素について効果を明らかにしようとしてきた。しかし、こうした研究の多くは、適用条件が厳しく限定されているか、他の研究と見解が対立している。あるいは、成果を生み出すうえで多くの独立した要因が果たす役割を浮き彫りにするにとどまっている。

そこで問われるのは、そもそも秩序が重要な役割を果たしてきたのか、つまり、いずれにせよ実現していたはずの成果を飾り立てているだけなのかということだ

未定義

戦後秩序の構成要素が大きな効果を発揮するのは、米国の力、国際社会の支持的な世論、関連するマクロ経済の動向など、他の要因と組み合わさった場合に限られる。

そこで問われるのは、そもそも秩序が重要な役割を果たしてきたのか、つまり、いずれにせよ実現していたはずの成果を飾り立てているだけなのかということだ。

この問いに答えるため、本研究では複数の証拠を検討した。

研究の基盤となったのは、貿易条約や人権条約など、秩序の特定の構成要素がもたらす効果を評価した数百件の研究のレビューである。

先行研究で収集されたデータや動向を用いて、秩序の要素と米国の主要な目標との因果関係を独自に評価した。

その分析から、五つの主要な知見が得られた。

1)戦後秩序は、米国の国益と目標に大きな価値をもたらす

定量的な証拠、事例研究、専門家による検証を組み合わせると、戦後秩序は米国の影響力を正当化し強化するとともに、好ましい動向を制度化し加速させるうえで重要な価値をもたらしてきたことが示される。

秩序が米国にとって価値を持つ理由の一つは、そこから生じる成果が、米国の大戦略の目標とプロセスを強く支えていることにある。

戦後秩序の恩恵を考える際、全体は実際に部分の総和を上回る。秩序がもたらす集合的な効果は、国家の選好や行動に対して、限定的ながらも重要な影響を及ぼしている。

事例研究や実証的証拠で検証できる例には、同盟内外における秩序の多国間主義的な考え方の影響、統合された世界市場と主要な制度への加盟条件が持つ引力、そして長期的な規範の社会化が果たす役割が含まれる。

これらを合わせると、さらに米国の力や世界的動向など他の要因の役割も加わり、戦後秩序は国際システムに一種の動的均衡を生み出し、安定を促進して不確実性を低減してきた。

2)秩序は、測定可能な価値を持つ成果に寄与する

保護主義の回避、紛争における同盟国の支持確保、海賊行為の抑制など、例として取り上げた10の課題を評価し、それぞれの経済的価値について入手可能な最善の推計を特定した。

因果関係の理解に役立てるため、それぞれの課題について、秩序が存在しなかった場合に起こり得た反実仮想のシナリオを、歴史的な比較に基づいて判断した。

秩序の制度、関係、規範、暗黙の共同体が、こうした重大な悪影響の一つでも回避するうえで必要な役割を果たしたのであれば、その価値は米国が秩序に投じる資金をはるかに上回る。

3)戦後秩序は、米国の主要な競争優位を形成する

米国主導の秩序は、戦後世界において米国の競争優位の重要な源泉となってきた。これは、秩序が他国よりも米国に不釣り合いな利益をもたらしたという意味ではない。ただし、国際機関における影響力の程度など、限られた複数の分野では、実証研究の一部が実際にそうである可能性を示している。

より広い視点では、秩序は米国よりも他国に多くの利益をもたらしてきたとも論じられる。

たとえば、米国よりも速く、より長期にわたる経済成長を遂げた国が生まれる環境を築いた。その結果、米国の相対的な優位は徐々に低下した。また、米国は世界の安全保障負担の不釣り合いな部分を担うことになり、他国は防衛以外の分野への投資を拡大できた。

しかし、戦後秩序も、それに伴う米国の大戦略も、友好国やパートナーに対する相対的優位を維持するために設計されたものではなかった。米国の国益がより安全になる環境をつくるため、米国以外の国際システムにも、安定と価値を支える複数の基盤を育むことを目指していた。

したがって、戦後秩序がもたらした競争優位は、他国に対する相対的優位ではなく、米国の大戦略全体に対する支援にある。

この秩序は、他国が米国の取り組みを、秩序がなければそうしたであろう以上に支持しやすい環境を生み出した。多国間秩序の主導者かつ後援者として、米国は単なるもう一つの大国ではなく、相互利益のシステムを設計した国だった。

この単純な事実が、大きな地政学的優位をもたらした。

特定の制度は、米国の外交と連携して米国の目標達成に寄与してきた。同盟やパートナーシップは負担の分担を促した。秩序が打ち出す規範は、特定の方向への進展について各国に説明責任を求める際の基準となる。その結果、より安全で安定し、繁栄した世界が実現し、米国の国家安全保障政策の負担軽減につながった。

米国が形づくり、その価値を反映しながらも、世界共同体の願いを表す、より良い世界の構想を示すことで、戦後秩序は米国の力を広く支持される目的に結びつけてもきた。

この正当化機能は、米国に恩恵をもたらした。特に、米国の力に対する古典的な均衡化を図る必要があると考えた国は、ほとんど、あるいはまったくなかった。そのため、他国がより積極的に米国の力との均衡を図っていたなら必要だった、追加の防衛支出数百億ドルを米国が節約できた可能性がある。

4)米国が世界の主導的立場を続けるには、何らかの秩序が不可欠

たとえば後退主義的な政策をとるなど、米国が世界に対する姿勢を大きく変えれば、共有された秩序の費用対効果は変わる可能性がある。

その場合でも、多国間経済システムなど秩序の一部は、米国の死活的利益を守るうえで引き続き有用だろう。しかし、米国が世界の主導的立場を続けたいのであれば、機能する国際秩序は欠かせない。

そのような秩序がもたらす恩恵と正当性がなければ、活力ある米国の指導力は、財政面でも戦略面でも維持できなくなる可能性が高い。

5)新たな安全保障・経済課題への対応には、機能する多国間秩序が不可欠となる

本報告書は、安定した戦略的競争の管理、気候変動への対処、より公正な経済の構築、テロ対策への取り組みなど、今後数年間に米国の政策課題の中心となる可能性が高い安全保障・経済課題を展望している。そして、効果的な多国間秩序の枠組みの外では、こうした課題に伴う安全と繁栄へのリスクに米国が対処するのは、より困難になると結論づけている。

より広い視点では、対立、ナショナリズム、不確実性が高まるなか、ますます混乱する世界情勢を安定させるための支えとして、機能する多国間秩序が不可欠となる。

結論

これらの知見は、世界における自国の役割についての米国の基本的な構想を、一定の留保を伴いながらも力強く支持するものだ。

米国の国益を守るための手段として、またより良い未来を形づくる集団的な取り組みとして、何らかの世界秩序を支持することは、米国の精神の一部である。

米国の世界的な役割のあり方は変化してきたが、こうした原則には、国際的な利害に対する米国特有の姿勢が表れている。戦後型のこの取り組みが、そうした利害に測定可能な形で寄与してきたことは、米国ならではのこの構想が今なお重要であることを改めて示している。

『戦後国際秩序の価値を検証する』、マイケル・J・マザー、アシュリー・L・ローデス

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