移民密航とは、利益を得る目的で人々を国境を越えて移動させる行為であり、組織犯罪の中でも最も急速に拡大し、最も収益性の高い形態の一つとされている。密航業者は、人という貨物を輸送コンテナに詰め込み、船やトラックに乗せる。多くの移民は無事に到着し、投じた費用に見合う価値があったと考える。しかし、移民密航は汚れたビジネスだ。過度な利益追求と搾取によって、密航された移民の命と健康は日常的に深刻な危険にさらされている。
移民密航をめぐる現在の国際的な論調は、進行中の交渉でとりわけ明確に示されている。その交渉とは、「移住に関するグローバル・コンパクト」をめぐるもので、密航をいかなる代償を払ってでも阻止すべき犯罪事業と位置づけ、十分な資源と国家間の協力があれば阻止できると明言している。
この分析は現実をゆがめて捉えている。課題を単純に見せているが、根本的に誤った見方だ。密航業者は勝ち続けており、以下の理由から今後もそうなるだろう。
ほぼ完璧なビジネスモデル
世界人口の約3%は出生国以外で暮らしているが、そのほぼ3倍の人々が、そうしたいと望んでいる。暴力や人権侵害から逃れて安全を求める人もいれば、貧困から抜け出す道を探す人もいる。また、母国では得られない経済的・社会的な向上の機会を活用したいだけの人もいる。それでも、移住を望む人々の大多数にとって、制限的な移民政策が、他国で暮らすことの恩恵への道を閉ざしている。
そのため、移民密航業者は、他の起業家が夢見るばかりのビジネスモデルを実践している。彼らが手がけるのは、願望と機会を結びつけるという単純な事業だ。つまり、安全かつ合法的に移住する機会が移住圧力に見合わない場所には、必然的に移民密航が生じる。国境が真に開かれている場合に限り、密航業者の市場は消滅する。
強靭で柔軟な組織
不器用で抑圧的な法執行に直面し、密航業者はますます巧妙になっている。活動を専門化し、資金力のある密航対策に耐えられるだけの情報網と人脈を築いてきた。近年、密航業者は、驚くほどの柔軟性と創意工夫を示し、苦境にある移民の救助を目指す人道支援団体の存在を利用している。
移民密航業者は、下層の構成員が柔軟で使い捨て可能な、しぶとい組織形態を築くことで、圧力の高まりにも適応してきた。実際、末端では密航業者と顧客の境界がしばしば曖昧になり、個々の移民が船の操縦などの役割を担うよう、誘い込まれたり強制されたりする。彼らは到着後に逮捕・起訴されるおそれがある一方、旅を手配して利益を得る密航業者はリスクから守られている。
偽りの情報発信
各国は、移民密航業者と闘うには、彼らが提供するサービスへの需要に対処する必要があると理解している。これが、移住を考える人々に密航サービスを利用しないよう促す啓発キャンペーンに多大な資源が費やされる理由だ。こうしたキャンペーンでは、苦しみや死を描いた生々しい映像が使われることが多い。移民密航との闘いそのものが、通常、移動をより危険にしているという事実には決して触れない。
その結果、政府が発信する情報と、移住を考える人々の現実との間に根本的なずれが生じている。第一に、移民密航業者の顧客の多くは、旅が危険であることを十分すぎるほど承知している。彼らが移動の支援を受け入れる決断は、リスクを計算したうえでのものだ。移動せざるを得ない事情の強さによっては、危害や死のリスクを考慮に入れた決断も、十分理解できる。
第二に、移住を考える人々にとって、本質的に難しい課題となるのは、「善良な」密航業者と悪質な業者を見分けることだ。合意した料金で、できるだけ安全に目的地まで連れて行ってくれる相手を見極めなければならない。大半は約束したサービスを提供するが、そうしない者もいることを、彼らはよく承知している。この課題を踏まえると、移民密航業者を例外なく本質的に冷酷で搾取的だと描くキャンペーンは、対象となる人々にとって信頼できず、役にも立たない。
自由主義国家の限界
結局のところ、現代の自由主義的な民主国家には、支援を伴う非正規移住を阻止する力がない。米国とオーストラリアはすでに経験し、南欧諸国も理解しつつあるように、強い反作用に直面しながら望まれない移住を終わらせるには、甚大な武力を継続的に行使し、個人の権利を大規模に侵害するしかない。それは自由主義的価値観を著しく損なう。
確かに、移民管理の軍事化を進めることへの世論の許容度は高く、強まっている。移民を犯罪者扱いし、拘束することへの許容度も高まっている。しかし自由民主主義国では、移民密航を阻止するために必然的に必要となる、大規模で暴力的な阻止行動、大量収監、強制送還を長期にわたって支持する世論は乏しい。
皮肉なことに、移民密航に効果的に対処することを妨げる移住先の特徴は、そもそも多くの移民を引きつけている特質と同じだ。法の支配を尊重すること、人権を原則として重視すること、庇護を求める権利を認めること、差別を拒むこと。移民密航業者はこの逆説を理解し、利用している。
率直に語るべき時
移民密航をめぐるうそや隠蔽は、時間と労力、善意を無駄にする。また、いくつかの厳しい真実に向き合うことを妨げてもいる。第一は難民に関することだ。密航業者がいなければ、戦争や迫害から逃れる人々の大半は、安全な場所にたどり着く望みを持てない。世界の庇護制度の致命的な欠陥を認め、少なくとも対処を試みることなく密航を攻撃するのは、極めて不誠実だ。
その結果、法執行だけに傾倒したアプローチは、非効率になるだけでなく危険にもなる。密航が安全への唯一の道であるとき、密航業者を取り締まれば、彼らのサービスを依然として必要とする人々にとって、旅がより高額で困難、または危険になるだけだ。難民の密航は、おそらく移民密航の課題の中で最も解決困難な部分だ。それにもかかわらず、取り組みの隙間に置き去りにされている。国際社会が移住ガバナンスと難民保護の改善に取り組む中で、見落とされているのだ。
第二の真実は、さらに受け入れがたい。世界の移住制度に大幅な構造改革がなければ、組織的かつ営利目的で非正規移住を支援する行為に、実質的な解決策はない。移民密航は実際、「厄介な問題」の典型例だ。定義が難しく、絶えず変化し、しかも既存の要因自体が変化に強く抵抗するため、明確な解決策を見いだせない。
移民密航の複雑で混沌とした現実を受け入れてこそ、前進につながる第一歩を踏み出せる。単純な解決策はない。しかし、この現象に謙虚かつ率直に向き合うまでは、密航業者は勝ち続けるだろう。



