売春を強いられているトランスジェンダー女性を救出するため、ブラジル警察の夜明け前の捜索に同行するヴァレリア・ロドリゲスは、チョコレートやパン、果物などのおやつを携えていく。
元セックスワーカーでもある39歳のトランスジェンダー女性は、路上で一夜を過ごした被害者たちが、発見されたときには疲れ、空腹であることを知っている。
彼女は彼女たちの言葉、パジュバも話す。ポルトガル語、ヨルバ語、その他のアフリカ諸語が混ざった言葉で、ブラジルのトランスジェンダーの人々が周囲に理解されずに意思疎通するために使っている。
「彼女たちに安心してもらうため、話してみようと思いました」とロドリゲスは、昨年8月の初めての警察の捜索を振り返り、トムソン・ロイター財団に語った。
「(私は)『あなたの味方よ、あなたと同じよ』と言いました……そのとき、彼女たちは自分たちのことを代弁してもらえたと感じたのです」
ロドリゲスの参加は、被害者を支援し、彼女たちがポン引きのもとを離れるために必要な自信を与えようと、連邦検察官と労働検察官が始めた新たな取り組みの一環だ。捜索にトランスジェンダーの労働者を同行させている。
LGBT+の権利活動家によると、トランスジェンダー女性は警察を信用せず、社会から疎外されていることが多く、虐待者にとって格好の標的になりやすい。
多くは家を追われ、売春宿や下宿に行き着き、奴隷のような環境で働かされている。
救出を試みても、住む場所を失ったり逮捕されたりするのではないかと恐れる人もいるため、困難な場合がある。ブラジルでは売春は犯罪ではないにもかかわらずだ。
「(ロドリゲスが)いなくても刑事捜査は同じように進んだでしょう。しかし、被害者を救出することはできなかったはずです」と、連邦検察官のサブリナ・メネガリオは語った。
「私にとって、チームの一員としてトランスジェンダーの人がいることは欠かせません」
差別
トランス殺人監視プロジェクトによると、ブラジルはトランスジェンダーとして生きるうえで世界で最も危険な国で、2017年には少なくとも167人が殺害された。
主にキリスト教徒が暮らすブラジルでは、保守的な社会意識に根差した偏見や差別にも、トランスジェンダーの人々は苦しんでいる。
自らを「誇り高き同性愛嫌悪者」と称するジャイル・ボルソナロ大統領は、LGBT+の人々に繰り返し反対の声を上げてきた。
ロドリゲスは約16歳のとき、トランスジェンダーであることを明かした後、サンパウロの実家から追い出された。
正式な教育を受けていなかった彼女は、短期間売春で生計を立てた後、美容師になった。転機は2015年に訪れた。サンパウロ市がトランスジェンダー女性向けに実施したプログラムの支援を受け、学び直すことができたのだ。
「人権の授業があり、私の教育に欠かせないものでした」とロドリゲスは語った。「トランスジェンダーの人々の国際的な権利について多くを学びました」
彼女は2016年、ポン引きとの虐待的な関係から逃れたトランスジェンダー女性を支援するため、現在運営する慈善団体を設立した。検察官が救出活動を支援するコンサルタントを探し始めた際、彼女の名前が候補に挙がった。
彼女の役割は、被害者と話し、彼女たちの権利が尊重されているか確認することだ。
しかし、彼女が提供するのは心の支えだけではない。
昨年、彼女が初めて参加した捜索で救出されたトランスジェンダー女性13人のうち7人が、彼女の慈善団体インスティトゥート・ニースが運営するシェルターに入った。
3月に彼女が参加した次の作戦には、トランスジェンダーの労働監督官も加わり、17人の被害者が救出された。そのうち3人がシェルターに入った。
インスティトゥート・ニースは、滞在場所を提供するだけでなく、女性たちの新しい性別と名前を反映するよう出生証明書を変更する支援をし、就労スキルを教える講座も運営している。
シェルターでは、元セックスワーカーたちがトムソン・ロイター財団に、ポン引きの多くは日払いで住居を提供し、中には女性たちに規則を課し、破ると罰金を科して借金を負わせる者もいると話した。
支払えない人は、殴られたり、食事を与えられなかったり、売春を強いられたりするおそれがある。
借金を返さずに出ていくことを恐れたり、虐待者に情緒的なつながりを感じたりする人も多いと、インスティトゥート・ニースのコンサルタントで、警察の捜索にも参加したラリッサ・ラニエルは語った。
彼女が床のマットレスに横たわるトランスジェンダー女性を見つけたところ、その女性はHIV陽性だと話したが、借金を返さないまま出ていくことを拒んだ。
「彼女はとても痩せていました」とラニエルは語った。「薬は持っていましたが、毎日は飲んでいませんでした」
未来を見据えて
人身取引業者は、身体を変える手術を受ける手助けをすると約束してトランスジェンダー女性を誘い、違法で危険な施術に法外な料金を請求して、さらに借金を負わせることもある。
ジュリア(本名ではない)は、昨年ロドリゲスが初めて参加した作戦で救出された人々の一人だった。
20歳の彼女は、虐待的なポン引きのもとで過ごした数カ月の間に、体形を変えるため工業用シリコーン5リットルを買う費用を払うことに同意し、4,000レアル(1,000ドル)の借金を抱えた。医療用には適さないこの製品は、1リットル約50レアルで購入できる。
「お金を返すには、何年も何年もそこで働き続けなければならなかったでしょう」とジュリアは語った。施術が行われる前に救出された彼女は、今では安定した仕事と健康保険があり、ホルモン治療も始めている。
3月の捜索で救出された人々は、まだ安定した仕事を見つけられていない。ただ、19歳のアラナは先月、サンパウロのスペイン総領事館が開催したLGBT+イベントでホステスの仕事を得た。
今、彼女は未来に目を向け、大学で心理学を学びたいと願っている。



