国家間の紛争を防ぐ鍵

French peacekeepers of the United Nations Interim Force in Lebanon (UNIFIL) take part in a military parade to mark Bastille Day in the French UNIFIL base in Tiri village, southern Lebanon, July 14, 2010. REUTERS/Ali Hashisho (LEBANON - Tags: ANNIVERSARY POLITICS MILITARY) - GM1E67F0EXB01
The first step toward bolstering deterrence is to manage the motives of a potential aggressorImage: REUTERS/Ali Hashisho
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本記事は、世界経済フォーラムの地政学プラットフォーム

世界の多くの地域に対する米国の戦略で、数十年にわたり後回しにされてきた領土侵略の抑止という課題が、再び重要性を増している。

ますます好戦的になるロシアは、通常戦力によるものか否かを問わず、東欧やバルト諸国に侵略の可能性をちらつかせている。中国は、人工島の建設や、時折あからさまな物理的威嚇を行うなど、東シナ海と南シナ海における領土的野心を、より強硬に追求している。

北朝鮮は、大きく進歩する核戦力を用いた大規模侵略の可能性も含め、引き続き大韓民国(ROK)にとって持続的な脅威である。

それにもかかわらず、理論として、また実践的な政策上の要件としての抑止をめぐる議論は、米国の軍事・戦略界で遅れをとってきた。

『何が抑止となり、その理由は何か――国家間侵略の効果的な抑止に必要な要件を探る』の著者らは、この文脈でこのテーマを新たな視点から検討することを目指している。主な目的は二つあり、抑止に関する確立された概念を再検討すること、そして抑止関係の強さを評価する枠組みを示すことである。

論点を絞るため、著者らは抑止の特定の類型、すなわち国家間侵略に対する拡大抑止に焦点を当てている。

著者らは、海外の潜在的侵略国が大規模な通常戦争で米国の同盟国や他国を攻撃するのを、米国が抑止するための要件を検討している。例として、ロシアによるバルト諸国への攻撃や、北朝鮮による大韓民国への攻撃が挙げられる。

本研究は、具体的な研究課題から出発している。大規模な軍事侵略に対する効果的な拡大抑止には、どのような要件が必要なのか。

したがって焦点となるのは、国家間侵略の抑止に向けた取り組みの成否を分ける傾向にある基準である。

断固として、かつ柔軟に

潜在的侵略国の動機は非常に複雑で、通常は相互作用を予測しにくい多数の変数に左右される。

侵略の機会主義的な動機は、安全保障や地位への脅威が高まっているという妄想的な恐怖から生じる切迫感に比べ、少ないようだ。大規模侵略は、機会に乗じた領土奪取というより、強い恐怖に基づく最後の手段として現れる傾向がある。

抑止のメッセージには、明確さと一貫性が欠かせない。中途半端な関与は、誤って受け取られるおそれがある。

「断固として、かつ柔軟に」という原則はきわめて重要である。相手に逃げ道を与えないことは、抑止を維持する効果的な方法ではない。大規模侵略に対する拡大抑止を成功させるには、妥協と譲歩が欠かせない。

多国間の抑止状況は、とりわけ危険である。侵略的な同盟国と対立する大国を同時に抑止するのは、きわめて難しい。

抑止の成否の基盤、つまり最初の、そしてある意味で決定的な変数となるのは、侵略国の動機である。動機が弱い侵略国は容易に抑止できる一方、脅威の認識が妄想に近いほど強い動機を持つ侵略国は、抑止できない場合もある。

抑止力を高める第一歩は、潜在的侵略国の動機を管理することだ。そのためには多くの場合、譲歩に加え、相手の懸念を和らげると同時に侵略の政治的コストを高めるよう、周辺の地政学的状況を整える措置が必要となる。

提言

  • 潜在的侵略国の動機を評価し、安全保障上の懸念を和らげる。欧州では、東欧またはその近隣への挑発性が最も高い米国のシステムの配備を避けること、ロシア軍とバルト諸国の軍を縮小すること、欧州通常戦力条約の後継条約に取り組むことなどが考えられる。

  • 侵略を招きにくい状況をつくる。欧州では、北大西洋条約機構(NATO)の政治的基盤を強化する取り組みに参加すること、第5条の対象国への関与を改めて表明すること、侵略を行わない規範と、侵略に断固対応する姿勢を強化することなどが考えられる。

  • 米国が何を抑止すると約束するのか、また侵略にどう対応するのかを明確にする。欧州では、バルト諸国の第5条の適用対象としての地位と侵略への対応を再確認し、侵略を受けた場合の選択肢(軍事的、政治的、経済的な結果を含む)を示すことなどが考えられる。

  • 抑止の成功基準を強化するため、具体的な措置を講じる。欧州では、米国の主要指導者による訪問や支持表明を促すこと、バルト諸国との関係を強化し、多様化すること、米国とNATOからの投資と継続的な外交を促進すること、NATO内部およびNATOとロシア間の意思疎通と危機管理を強化することなどが考えられる。

  • 米国の関与が真剣であることを示す能力を配備、または支援する。欧州では、NATOの同盟国と新たな防衛能力への資金拠出に取り組むこと、バルト諸国とその周辺に展開する既存のNATO大隊を増強すること、欧州で諸兵科連合の作戦を成功させる能力(特に地上部隊の能力)に投資することなどが考えられる。

『何が抑止となり、その理由は何か――国家間侵略の効果的な抑止に必要な要件を探る』(著者:マイケル・J・マザー、アーサー・チャン、アリッサ・デマス、ブライアン・フレデリック、アリレザ・ナデル、ステファニー・ペザード、ジュリア・A・トンプソン、エリナ・トレイガー、RAND Corporation)

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