この記事は、世界経済フォーラムの地政学プラットフォーム
以下は、2019年ストックホルム平和・開発フォーラムで開催された議論平和維持活動は機能するのか?コンゴ民主共和国とマリにおける最近の研究から得られた主な知見の要約である。同フォーラムは、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)とスウェーデン外務省が共同で主催した。
2010年以降の暴力的紛争の増加の大半と、人道上のニーズ全体の80%は、脆弱で紛争の影響を受ける約12か国に関連している。
2030年までに、世界の貧困層のうちこれらの国々に暮らす人々の割合は、ほぼ50%に達すると予測されている。
これらの国々を襲う暴力的紛争を解決できない、あるいは少なくとも大幅に縮小できなければ、国連の持続可能な開発目標(SDGs)は達成されない。
国際社会は、紛争の予防と管理、脆弱性の軽減、平和の維持のために、さまざまな手段を用いている。その中でも平和活動は、脆弱で紛争の影響を受ける国々におけるSDGsの実施を促進する可能性が最も高い手段の一つである。だが、平和活動は機能しているのだろうか。
研究に基づく知見
平和活動は機能しているとする大半の定量研究の知見と、いくつかの国で、場合によっては数十年にわたり展開されているにもかかわらず、個別の平和活動が暴力的紛争を終結できていない現実との間には、大きな隔たりがある。
平和活動の有効性ネットワーク(EPON)の目的は、個別の平和活動の有効性と、それらが影響を及ぼそうとしている紛争システムへの影響について、研究に基づく知見を深めることである。
平和活動課題国際フォーラム(Challenges Forum)は、国際平和活動の有効性向上を目指す、22か国の49の組織・部門によるグローバルなパートナーシップである。
国連の平和維持活動では、危機管理の仕組みに終始するのではなく、紛争の予防とその要因に、より重点を置くべきである。危機・紛争管理は、持続可能な開発の余地を狭める。
マリとコンゴ民主共和国(DRC)の状況は多面的であり、幅広い政策分野に平和維持活動を組み込む必要がある。
国連では新たな考え方が生まれつつあり、この過程を後押しするには学術研究が必要である。
持続可能な開発の余地を生み出すには、長期的な視点、撤退戦略、そして政治の優位性を確保することが不可欠である。地域機構との緊密な協力や、女性、若者、社会的に疎外された集団の参加が、平和維持活動の成功に重要だと強調された。
平和維持活動における大きな課題は、国連のマンデートが当該国政府とのつながりを定めている一方で、その策定や交渉に政府を関与させていないことである。
関連する重要な要素として、国の主体性と主導力が挙げられる。政府が国民に基本的なサービスを提供しないことは、大きな課題となる。その空白は、武装勢力や過激派を含む他の主体によって埋められることが多い。そのため、国家の能力を構築する方策が必要である。
さまざまな主体間の連携強化も必要である。資金調達も平和維持活動にとって課題となる。
短期的な問題の解決だけでなく、根本原因への対処に重点を置くべきである。さらに、平和維持活動は、より人々を中心に据えたものとする必要がある。
これまでの研究では、平和維持活動が暴力の軽減や波及効果の防止に大きな効果をもたらすことが示されている。しかし、一部の平和活動はこうした結果に反している。そのためEPONは、これらの活動を個別に、より詳しく調べようとした。全般的に有意な結果を示すにはまだ早いものの、いくつかの傾向は確認できる。
主体性、一貫性、そして女性・平和・安全保障。これらの指標が平和維持活動に取り入れられると、任務が成功する可能性は高まる。
一つは方法論に関するものである。研究によると、任務の全期間を対象とするより、平和活動の特定の局面を調べる方が効果的である(要因は急速に変化する)。
研究では、主体性、一貫性、女性・平和・安全保障という重要な指標も指摘されている。これらの指標が平和維持活動に取り入れられると、任務が成功する可能性は高まる。
任務のマンデートは通常、複雑な過程の一部として限定的に定められる。そのため、その有効性は同じ状況下にある他の過程との関連で評価する必要がある。EPONの研究は、これまでの研究で欠けていた状況全体の把握を試みている。今後は、すべての指標と過程を含めた大規模な分析が必要である。
国際社会はDRCで早期の成果を求めている。しかし、国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)がそれを実現するのは不可能である。DRCで長期的な成果に目を向けると、同ミッションは情勢の力学を変えることができている。MONUSCOは、大規模な暴力的紛争の発生を防いできた。DRC東部の暴力は住民にとって脅威である一方、今日では地域および国際社会の安定に対する脅威としては、以前より小さいと見なされている。
同ミッションは、活発な市民社会の活動空間の拡大と、民主主義の進展に貢献してきた。また、情報収集にも役割を果たし、例えば国際刑事裁判所がその情報を利用している。
任務の定義
DRCでは、政府が協力に抵抗していることが大きな課題である。平和維持活動とは何か、またどうあるべきかについて解釈が複数あることも、活動上の制約となっている。
政治的枠組みの欠如により、同ミッションは政治の優位性に実質的な影響を及ぼせていない。
マリの状況には、DRCと共通する点が多い。
2016年まで、国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)は殺害件数の減少にかなりの成果を上げ、2014年の和平合意と選挙にも貢献した。しかし、それ以降、状況は悪化している。
MINUSMAのマンデートは和平プロセスの支援だが、政府の能力と政治的意思の欠如によって妨げられている。大きな問題はマリ中部で、中央政府が存在しないために他の集団が活動する余地が生まれ、暴力が激化している。
MINUSMAは、より広範な対テロ作戦の文脈でも活動している。そこでは、異なる解決策が必要かもしれない地域の問題に、軍事的解決を押しつけようとする当事者もいる。マリの問題の核心は、国民と政府の間に社会契約が欠如していることだと指摘された。
政府の真摯な取り組みがなければ、平和維持活動は困難である。MINUSMAが国内中部の状況を好転させるには、より多くの資源が必要だ。
得られた教訓
国連平和維持活動の有効性を高めるには、関連性があり達成可能なマンデートの確保、十分な資金、撤退戦略を含む長期戦略など、いくつかの重要課題に取り組む必要がある。
この点で国連安全保障理事会は大きな責任を負っており、とりわけ常任理事国の責任は重い。選択肢を広げるべきである。平和維持活動はその選択肢の一つにすぎず、常に適切な手段とは限らない。
国連マンデートの策定に地域機構、受け入れ国政府、影響を受ける住民をより十分に関与させる必要がある。また、平和維持活動以外の形で撤退し、活動を継続するための戦略も必要である。
これを実現するには、平和維持活動が人々を中心に据えたアプローチを取る必要がある。任務には人々とのつながりを築き、関わり合う時間を確保することが求められる。国際専門家が解決策を実施するのではなく、地域社会が解決策を策定し、国際社会が支援すべきである。
平和維持活動は機能するのか?コンゴ民主共和国とマリにおける最近の研究から得られた主な知見、ストックホルム国際平和研究所

