世界で最も大気汚染が深刻な都市で暮らすとは、どのようなことか

Chimneys of leather tanneries are seen in Kanpur, India, May 3, 2018. Picture taken May 3, 2018. REUTERS/Adnan Abidi
The top 14 places on the list of the world's most polluted cities are in India.Image: REUTERS/Adnan Abidi
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世界で最も大気汚染が深刻な都市、インド北部のカンプールでは、呼吸器疾患の患者で最大の病院がひどく混雑し、眼科病棟に患者を入院させることもしばしばある。

人口300万人のカンプールに続き、世界で最も空気が汚れた場所の一覧には、さらに13のインドの都市が並んでいる。世界保健機関(WHO)が今月発表したランキングによる。

カンプールのガネーシュ・シャンカル・ヴィディヤールティ記念医科大学で内科部門の責任者を務めるプレム・シン氏によると、呼吸器疾患で同病院を受診する患者は過去5年間で3倍以上に増え、月600人に達した。その大半は子どもと50歳以上の人だ。

「肺がん患者が毎週やって来ます。以前は3か月に1人でした」とシン氏は語った。

「大気汚染による問題は増加しており、気管支ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、肺炎など、さまざまな病気を引き起こしています。」

隣の部屋では、45歳の男性が悪臭とほこりの中で息を切らし、家族が周囲を取り囲んでいた。診察にあたった医師によると、男性は慢性呼吸器疾患を患っており、その一因は大気汚染で、肺の一方はすでに機能を失っていた。

WHOのランキングは、中央公害管理委員会による2016年のデータに基づいている。空気1立方メートルあたりに含まれる粒子状物質(PM)の量を測定したもので、対象は2.5マイクログラム未満の粒子だ。これは最も小さく危険な粒子で、肺の奥深くに入り込むことがある。

東南アジアでは、大気汚染が原因で年間200万人以上が死亡している。Image: WHO

WHOによると、汚染された空気を吸うことで世界全体では年間約700万人が死亡している。汚染された空気は心臓病、脳卒中、肺がんにつながる可能性がある。死者の大半は、アジアやアフリカの貧しい国々で発生している。

カンプールの公害対策責任者クルディープ・ミスラ氏は、同市が「世界で最も大気汚染が深刻な都市」とされることに異議を唱えた。

「WHOの説明どおりに状況がひどければ、私たちは今ごろ死んでいたでしょう」と、同氏は執務室でのインタビューで語った。

「こうなることは分かっていた」

英国の医学誌『ランセット』に掲載された論文で、インド医学研究評議会やワシントン大学の保健指標評価研究所を含む100を超える機関の専門家は、2016年時点でウッタル・プラデシュ州の大気汚染に関連する閉塞性肺疾患の発生率が、インドの全州の中で2番目に高かったと述べた。隣接する砂漠州ラジャスタン州が最も高かった。

しかし、インドの他の多くの都市と同様、カンプールには大気汚染対策に必要なインフラがないと、中央政府の環境省職員は述べている。

2015年に中央政府から求められたにもかかわらず、大気汚染対策の行動計画を策定しているのは、国内で最も汚染が深刻な100都市のうち、ほんの一握りにとどまる。

ウッタル・プラデシュ州の産業の中心地であるカンプールでは、2015年に同市のインド工科大学(IIT)が発表した政府運営の報告書によると、冬季の大気汚染の約76%を、ほこりやすすなどの粒子状物質が占めた。バイオマスの燃焼は約15%、車両の排出ガスは約8%だった。カンプールはインド北部の平原に位置し、デリーの南東約475キロ(295マイル)にある。

夏季には、粒子状物質と車両の排出ガスが大気汚染の原因として同程度を占め、それぞれ約35%だった。

「州政府には大気汚染の発生源を把握する仕組みがありません。どうやって対策を講じるのでしょうか」と、IITカンプールの教授で、中央政府の環境省とともに粒子状物質をリアルタイムで監視しているサッチダ・ナンド・トリパティ氏は問いかけた。

「州は行動を起こす必要があります。こうなることは十分予測できました。」

カンプールのような大都市には、空気を汚染するPM2.5を監視し、改善策を講じるために、少なくとも5か所の測定局が必要だと、身元を明かすことを避けた中央政府の環境省職員は述べた。

公害対策責任者のミスラ氏は、カンプールは対策を進めていると語った。

ミスラ氏によると、市内でPM2.5を監視する測定局は1か所だけで、この指標の積極的な監視を始めたのも2015年に過ぎない。同氏の部局は州の公害管理本部に、同様の監視装置をさらに4台購入するよう要請したという。

同氏によると、地方政府は自動車による汚染を減らすため、新しい道路を建設し、都市鉄道を整備する計画だ。さらに、樹木を増やし、バッテリー駆動の交通手段を推進するというが、挙げた対策の期限は明らかにしなかった。

同氏は、PM10のような比較的大きな汚染物質の濃度を基準にすると、過去数年間、カンプールの大気は政府が定める安全基準を超えていたと認めた。一方で、市独自のデータでは、産業活動が活発化したにもかかわらず、全般的に汚染が急増したわけではないと付け加えた。

きれいな空気は無料ではなくなるのか?

カンプールでは、産業による石炭の燃焼、舗装されていない道路を主に走る車両の排出ガス、そして増加する皮なめし工場が重なり、空気中に有害な汚染物質を生み出している。

ヒンズー教徒が聖なる川とみなすガンジス川のほとりにある郊外の地区では、下水や皮革の切れ端が川に流れ込み、水は黒くぬめりを帯びていた。川を浄化するための30億ドル規模の国家計画は、予定より遅れている。

カンプールでPM2.5を監視する唯一の測定局は、市中心部のにぎやかな市場にある。

「PM2.5だけを測定するよう指示されています。PM2.5かPM10のどちらかを測る機械が1台あるだけです」と、機械や配線が雑然と並び、近くにヒンズー教の神々の像が置かれた場所に立つ運転員のラジェシュ・グプタ氏は語った。2部屋からなる測定局の上のテラスには、汚染データをリアルタイムで表示する大型画面があった。

一方、ニューデリーの環境省は、カンプールのような都市が大気質の監視システムを増設し、ほこりを抑える散水車などの機材を購入できるよう、今会計年度に約70億ルピー(1億400万ドル)を支出することを検討している。

「中央政府と州政府の共同責任です」と、グリーンピース・インドの活動家ナンディケシュ・シヴァリンガム氏は語った。「ウッタル・プラデシュ州のような州が資金を求めるのは当然です。大きなインフラ上の課題に直面しているのですから。」

政府の方針を理由に匿名を求めた環境省の幹部職員は、州や自治体は今後、水と同じように空気のための予算を組むべきだと述べた。

「きれいな空気を無料で得られる時代は終わったのかもしれません」と同氏は語った。

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