ガーナの 経済成長 率は、2013年に記録した目覚ましい7%成長の後、2年間減速したが、来年には再び上向くと予想されている。しかし、この成功には代償が伴っており、とりわけ全長550kmの海岸線がその影響を受けている。沿岸地域には、ガーナの人口の 4分の1を超える人々 と、同国の工業施設の約80%が集まっている。
国の経済に 大きく 貢献する活動が沿岸部で行われている。石油・ガス生産、港湾運営、火力発電、沿岸農業、水力発電、漁業などが含まれる。
こうした活動の一部が、ガーナの海岸の侵食を招いている。海岸侵食は、海岸沿いに点在する遺産、地元漁師が自然に利用してきた船揚げ場、絶滅危惧種であるウミガメの産卵地を脅かし、沿岸観光産業の潜在力を十分に引き出す妨げにもなっている。
何が被害をもたらしているのか
沿岸地域は 西部・中部・東部の3つの区域 に分けられる。これら3区域では、いくつかの活動によって沿岸地域の人口動態に変化が生じている。
海岸線全体が程度の差こそあれ 侵食 されているが、最も脆弱なのは東部区域だと特定されている。この地域は、 ボルタデルタ のシステムの影響を受けている。1965年にボルタ川にアコソンボダムが建設された後、侵食速度は年8mに達した。同ダムは 8,502平方キロメートルの面積を覆っている。
西部区域での石油・ガス生産により、仕事を求めてこの地域に移り住む人々の数が 増加 した。これにより沿岸環境への 負荷 が高まり、沿岸の生態系に変化が生じやすくなっている。
人々の流入や、マングローブ湿地などの植生の破壊は、侵食問題を 悪化させる 。海岸の一部で行われる貴重鉱物の採掘は、浜辺のシステムの均衡を崩し、侵食を引き起こしたり、すでにある侵食を強めたりする。
砂の採取は禁じられているものの、建設目的で海岸全域にわたり今なお 行われており 、これも悪影響を及ぼしている。
環境に配慮しない対策
ガーナの海岸侵食対策は事後対応型で、個別の地点に限定され、通常はハードエンジニアリング手法を用いる。政府が現在採用している手法は持続可能ではなく、環境にも 配慮していない。
そのような 手法の一つが、グロインである。これは、侵食を防ぐため、海中に障壁を築く沿岸保護工法だ。砂をせき止め、海岸から遠くへ移動しないようにする。
「リベットメント」と呼ばれる 護岸構造物も、海岸侵食の影響を食い止める目的で、海の波に対する障壁として建設されてきた。リベットメントは波のエネルギーを吸収し、崖の侵食を防ぐ。
ガーナ政府は通常、苦情が寄せられると地域社会にグロインやリベットメントを 提供する 。保護された区間の海岸線は安定する一方、 別の場所では侵食が進む。
さらに、特に脆弱とみなされた地点では、政府による大規模な防潮事業が実施されてきた。これには、 ケタ防潮事業、 アダ防潮事業、 サクモノ防潮事業 、および ニュー・タコラディ防潮事業などがある。
これらの事業では、リベットメントとグロインを組み合わせている。しかし、個別地点を対象とした対策は、多くの場合、連鎖的な影響をもたらしている。ケタ防潮事業では、グロインとリベットメントを組み合わせて建設した結果、漂砂の下手側にあるガーナ・トーゴ国境方面の海岸で侵食が 50%を超えて 増加した。
何が欠けているのか
欠けているのは、包括的な 管理政策である。そのため、海岸侵食を管理する持続可能な戦略の策定が妨げられてきた。
ガーナ沿岸の侵食に関する将来予測によると、現在の沿岸緩衝帯は2100年までに完全に 侵食される 。また、2052年から2082年の間に、沿岸侵食はクリスチャンスボー城、ガーナ独立広場、アクラにあるデンス・ラムサール登録地などの重要なランドマークにまで及ぶと予測されている。これらはいずれも 沿岸地域に位置する。
気候変動と、それに伴う海面上昇の結果、沿岸地域の脆弱性は大幅に 高まる と予想される。海面上昇は低地の直接的な浸水を増やし、脆弱な海岸の急速な侵食を促進するとともに、沖合への土砂流出や洪水を増加させる。海面が1メートル上昇すると、東部区域にあるボルタデルタのシステムのかなりの 部分 が水没すると推定されている。
したがって、自然に逆らうのではなく自然とともに管理するという、グリーンな 考え方 を用いた統合的なアプローチで、海岸侵食管理に取り組む必要がある。海岸線管理計画を採用すれば、沿岸プロセスに伴うリスクを大規模に評価し、人々と環境に対するリスクを低減するための長期的な政策枠組みを示すことができる。
本記事は、 The Conversationとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。
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著者:クワシ・アド・アペアニングは、ガーナ大学の海洋・水産科学講師。
画像:ガーナ沿岸のケタ防潮事業に設置されたグロイン。クワシ・アド・アペアニング

