4月と5月、強い地震と余震がネパールを襲った際、ソーシャルメディアが救援に駆けつけた。支援従事者、当局、外国機関が破壊されたインフラのなかで人命救助に苦闘する一方、ウェブ上では別の支援活動が始まった。
Facebookは、友人や家族に無事を知らせる手助けとなる Safety Check 機能を有効にし、被災者や目撃者はソーシャルネットワークを使って支援を求めた。
災害が起きたとき、被災者と救助隊員の双方がまず求めるのは、信頼できる情報だ。しかし、支援団体や支援従事者が自然災害、人為的災害を問わず被災地で救援活動に取り組む際、不可欠な支援の一つが後回しにされることが多い。コミュニケーションである。
今年初め、私はスコール・ワールド・フォーラムに参加し、あるセッションに出席した。そこで議論されたのは、 注目を集めるためにメディアをどう活用するか だった。著名な社会起業家ジム・フルヒターマンと、Fast Companyの Co.Exist サイトの創刊編集者モーガン・クレンダニエルが主導した、実りある議論だった。
聴衆から多くの質問が出たことで、コミュニケーション戦略は資金や認知度を高める場合にのみ有効で、重要なのだと今なお多くの人が考えていることに気づいた。
しかし実際には、コミュニケーションの手段は応急処置のようなものだ。適切なタイミングで活用すれば、現場で命を救う。
たとえば、非営利ソフトウェア企業 ウシャヒディの危機対応マップ は、世界各地で支援従事者が何千人もの命を救い、緊急の人道的ニーズに対応するのを支えてきた。その始まりは、2010年のハイチ地震直後だった。目撃者からウシャヒディにツイート、電子メール、画像が大量に寄せられた。世界中から何百万人もの「デジタル人道支援者」がボランティアとして参加し、関連情報を選別・整理して、リアルタイムの地図に記した。この地図は救助隊員が医療を緊急に必要とする地域を特定するのに役立ち、被災者も同じ地図を使って支援を求めた。
同じ年、アフガニスタンではコミュニケーションキャンペーンが命を救った。
アフガニスタンのパンジシール渓谷では、穴だらけの道が舗装道路に置き換わったが、安全標識は設置されていなかった。アフガニスタンの人々が舗装したばかりの道路を猛スピードで走るなか、事故率が急上昇し、政府の開発の成果に影を落とした。
私が以前所属していた組織、Sayara Strategiesは、印刷広告、テレビ・ラジオCM、そして人気のあるアフガニスタン人アーティストへの働きかけを展開するよう依頼された。すべては、単純ながら命を救うメッセージ「安全運転を」を伝えるためだった。
この交通安全キャンペーンはありふれたものに思えるかもしれない。しかし、一世代全体が不安定な状況しか知らないアフガニスタンのような国では、こうしたキャンペーンは不可欠な基礎である。
そして今、 ソーシャルメディアが最前線にあることで、効果的なコミュニケーション戦略は、数時間、あるいは数分のうちに世界規模の行動を引き起こし得る。同じ戦略は、先進国と発展途上国の間にある「情報格差」を埋める役割も果たす。
救援計画を立てる際、優先して問うべきなのは、食料や医薬品だけでなく、情報もどのように被災者に届けるか、ということだ。人々に情報を伝え、学びを促し、参加を呼びかければ、人々は協力して持続的な社会的影響を生み出せる。
本記事は スコール・ワールド・フォーラムとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。
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著者:セバスチャン・ターボは、カタール財団の取り組みであるWISE(教育のための世界イノベーション・サミット)のコンテンツ・プログラム担当ディレクター。
画像:地震と津波で破壊された港湾地域のそばを歩く男性。気仙沼市。REUTERS/Carlos Barria。





