米国の再生可能エネルギーの未来は、本当にオバマ政権またはトランプ政権の政策や規制に左右されるのだろうか。
米国が気候変動対策で主導的役割を果たさなければ、他国がその空白を埋め、低炭素技術による経済的利益も手にするだろう。
3月28日火曜日、トランプ大統領は環境保護庁を訪れ、ある大統領令に署名した。この大統領令は、過去8年間に施行された気候関連規制の数々を撤回するものだ。大統領のチームは、この取り組みによって米国はエネルギー自立に近づき、深刻な衰退を経験してきた石炭産業の再生に向けたプロセスが始まると主張している。
実際には、どちらも実現しない。米国は石炭を輸入していない。海外から雇用が戻ってくることもない。さらに、いささか皮肉なことに、石炭産業が衰退した主な理由はオバマ政権時代の規制ではなく、急速に変化するエネルギー市場にある。
再生可能エネルギーの未来
エネルギー市場のアナリストなら誰もが、フラッキング(水圧破砕法)や水平掘削の進歩によって、安価で豊富な天然ガスが利用できるようになったと言うだろう。風力・太陽光発電の価格も下がり続けていることを考えれば、石炭の前途が厳しいことが見えてくる。こうした市場は、急速な技術革新とともに成長している。

実際のところ、オバマ政権のクリーン電力計画は、電力業界がすでに進みつつあった方向性を制度化したものだ。すでに公表されている廃止計画によると、西部の送電網における既存の石炭火力発電容量の約45%が2030年までに廃止される。電力会社の統合資源計画によれば、2026年までに西部の総エネルギーの半分弱が、排出ゼロの電源で発電される見込みだ。
私のセンターがクリーン電力計画の実施をめぐって協議を重ねてきた西部11州は、現行政策が続く場合、全体として同計画の2026年目標を達成できる状況にある。皮肉なことに、クリーン電力計画を撤廃すれば、消費者のコストを引き下げ、一部の州が目標を達成するための段階的な道筋を提供する、市場ベースの排出量取引の可能性が失われるだけだ。
だからといって、トランプ大統領の命令による規制の撤回が、再生可能エネルギーの未来に影響を及ぼさないというわけではない。画期的なパリ協定を策定した国際社会は、気候変動対策における米国の主導力を得られなくなる。他の国々がその空白を埋める一方で、低炭素技術を求める成長中の世界市場に供給し、経済的利益を得るだろう。こうした措置がもたらす長期的な影響の中でも特に懸念されるのは、イノベーションと投資の源としての米国に対する世界の評価が低下することだ。
国内では、クリーン電力計画が失効すれば、クリーンエネルギー政策の推進に慎重だった州は、排出削減計画の策定を求められなくなる。クリーン電力計画は、エネルギー計画に確実性をもたらし、国内の再生可能エネルギーの未来にも見通しを与えた。米国の電力会社の幹部や投資家に聞けば、確実性を強く求めていることが分かる。資本コストを抑え、消費者の負担を軽減できるからだ。この大統領令は、エネルギー市場の安定から離れ、成長する世界市場に応える技術を開発するイノベーターとしての米国の主導的地位からも遠ざかる一歩となる。
州、都市、企業は前進している
重要な環境保護策を撤回する試みは、雇用創出を掲げて米国民に売り込まれている。実情を正しく見てみよう。2015年、全米の石炭採掘業の雇用は65,971人だった。エネルギー省によると、昨年はエネルギー効率化産業だけで、その2倍を超える133,000人の雇用が生まれた。2016年には太陽光発電の従事者が25%増の374,000人となり、風力発電の従事者は32%増の102,000人となった。今や米国の新規雇用50件に1件は太陽光発電関連だ。
2007年から2011年までコロラド州知事を務めた私は、州をクリーンエネルギー経済へ移行させることを目的とした法案に57件署名した。退任後、知事や州議会議員、電力規制当局と協力してクリーンエネルギーおよび先進エネルギー政策に取り組むため、コロラド州立大学に新エネルギー経済センターを設立した。センターでの活動を通じ、連邦政府が行き詰まる中でも、州や都市、民間企業がクリーンエネルギーへの移行を主導していると、私たちのチームは確信するようになった。現在、米国の人口の3分の2を占める37州が再生可能エネルギーのポートフォリオ基準を設け、電力会社に対し、電力の一定割合を再生可能エネルギーで発電するか、同エネルギー由来の電力を購入するよう義務付けている。
両党の知事たちが、州における再生可能エネルギーの明るい未来に向けた移行を主導してきた。17人の知事が新たなエネルギーの未来に向けた知事協定に参加している。共和党のネバダ州、アイオワ州、ミシガン州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、バーモント州の知事も含まれる。参加した知事たちはいずれも、クリーンエネルギー源による州のエネルギー構成の多様化、エネルギーインフラの近代化、クリーンな交通手段の促進を約束した。さらに、米国の129都市が気候変動対策に取り組むという市長誓約に署名した。
コカ・コーラ、GM、ゴールドマン・サックス、HP、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ナイキなど、米国に拠点を置く33社が、RE100イニシアチブの一環として、再生可能エネルギーを100%利用する目標を掲げている。米国企業約50社は、既存の企業目標を達成するために、2025年までに17ギガワット分の再生可能エネルギーを購入する必要がある。これはコロラド州全体に電力を供給できる量だ。
真のリーダーシップには、新たな市場、新技術、新たな解決策を見据えるビジョンが求められる。残念ながら、大統領の行動は、再生可能エネルギーの明るく有望な未来へ向かうのではなく、消えゆく地平線へと後ろ向きに進んでいる。

