湿地が環境にもたらす恩恵と、保護すべき理由

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Wetlands serve as habitats for a vast array of wildlife.Image: Unsplash/ Nareeta Martin
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  • 湿地は世界最大級の炭素貯蔵庫であり、豊富な淡水を供給し、多様な野生生物の生息地となっています。

  • 湿地の価値が認められるようになったのは、1971年のラムサール条約にさかのぼります。

  • それ以来、171か国が署名し、2,400か所の保護に取り組んでいます。

  • 湿地は生態系として大きな恩恵をもたらす可能性があるため、各国は湿地を保護し、その理解を深めるための対策を講じるべきです。

かつて湿っぽく虫だらけの辺境として退けられ、農地にするために排水して破壊する以外に価値はないと思われていた世界の湿地が、ようやく脚光を浴びつつあるのかもしれません。英国では、政府がスコットランド北端に広がる広大なブランケット泥炭地を、世界遺産に推薦する見込みです。魅力的には思えない人もいるでしょうが、こうした泥炭地は世界最大級の炭素貯蔵庫であり、豊富な淡水を供給し、驚くほど多様な野生生物を育んでいます。

湿地には保護する価値があるという認識は、50年前の1971年2月2日にイランのラムサールで署名された協定に端を発します。ラムサール条約は、特定の生態系の保護に特化した唯一の国際条約です。ただし、条約が指す「湿地」は実際には、沼地や泥炭湿原から浅い湖や河口域まで、さまざまなものを含みます。

これまでに171か国が条約に署名し、2,400か所以上がその下で保護されています。これらの地域は、世界に残る湿地の10~20%に相当し、合計面積はメキシコを上回ります。条約に基づき、各国政府は自国の領域内にある湿地の「賢明な利用」と維持に取り組んでいますが、それだけで湿地の安全が保証されるわけではありません。世界の湿地のほぼ90%が、1700年以降に失われ、残存する湿地も、森林の3倍の速さで失われています。

農地の拡大や河川の流路変更から、外来種や気候変動まで、湿地は数多くの脅威にさらされています。しかし、最も深刻な脅威の一つは、湿地についての知識不足かもしれません。私たちはこうした生息環境についてまだ十分に理解しておらず、経験豊富な私たち科学者でさえ、湿地に驚かされることがあります。なかでも意外なのは、地球上で最も乾燥した地域の一部で栄え、あらゆる理屈を覆すように見える湿地です。

乾燥地に現れては消える湿地

乾燥地とは、空から降る水よりも多くの水が蒸発する地域です。温暖な乾燥地は地球の表面のおよそ40%を占めますが、その面積の約28%は、内陸河川や湿地と重なっています。その結果、水が乏しい景観の中に、湿地や沼地、氾濫原、オアシスが生まれます。

乾燥した景観では、湿地はとりわけ重要です。周辺の広い範囲で、人々や野生生物に淡水や食料を供給する唯一の場所となることもあるからです。乾燥地の湿地にはよく知られたものもあります。イラクのメソポタミア湿原(エデンの園の着想源になったと広く考えられています)とナイル川の氾濫原は、どちらも周囲の大部分を砂漠に囲まれています。しかし、中東のこうした湿地で、現代の人類文明が生まれました。

有名な例が一つあるごとに、未確認で地図にも記されていない湿地が何千とあります。その理由の一つは、こうした特異な生息環境が頻繁に変化し、完全に姿を消してから再び現れることもあるためです。季節的な豪雨の後、土壌の水はけが悪く、水分をよく保つ場合には、緑の一帯がしばらく維持されることがあります。乾燥地にある別の湿地は、地下水源のおかげでより恒常的に存在し、地表に十分な水が染み出して湿潤な状態を保ちます。一方、河川の氾濫で目覚めるまで休眠状態にあり、突然鮮やかな緑に覆われる湿地もあります。

乾燥地の湿地の多くは小規模で一時的なもので、数年、あるいは数十年おきに訪れる十分な雨の後、数か月だけ豊かな生態系を育みます。規模や調査時期によっては、科学調査でこうした隠れた宝が見落とされることがあります。時折訪れる水の流入を受けて出現するよう適応した、増水と干上がりを繰り返す湿地は、研究があまり進んでいません。そのため、存在に気づき、その価値を十分に理解する前に失われる危険があります。

どの湿地も、時間の経過とともに変化する可能性があります。河川の流路が変わり、氾濫水や堆積物、栄養分が行き着く場所が移ることもあります。古い湿地が干上がる一方で、新たな湿地が形成されます。こうした変化によって、湿り気の度合いや土壌の種類が異なるさまざまな地形がモザイク状に生まれ、多様な生息環境がつくられます。そこでは、同じように幅広い野生生物が生息できます。湿地を生み出すプロセスを理解すれば、その維持に役立ちます。その第一歩は、こうした生息環境を景観の中の静的で不変な存在とみなす考えを改めることです。

いくつかの限界はあるものの、ラムサール条約は、多くの湿地が今なお見過ごされているとしても、湿地を保護し、その価値を広く伝える最善の仕組みの一つであり続けています。変化の兆しもあります。インドは、最近、乾燥した山岳地帯の高地にある浅い湖群をラムサール条約の登録地に加えました。この生息地は、絶滅危惧種のユキヒョウを含む多くの危機にさらされた種に恩恵をもたらす可能性があります。手遅れになる前に、ほかの国々もこれに続き、こうした希少で美しい場所をさらに認識し、保護することを期待します。

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