もしシカゴのような都市が、たった1年で消えてしまったらと想像してみてください。実は今、森林でそれが起きています。毎年、世界ではこの米国の大都市と同じくらいの面積の森林が失われています。
しかし、率直に言えば、都市に暮らす私たちの多くにとっては、コーヒーや石油、Wi-Fiが安定して供給されることのほうが差し迫った関心事です。
国連食糧農業機関(FAO)による最新の『世界森林資源評価』報告書によると、1990年から2015年までの25年間、毎年520万ヘクタールの森林が失われました。
状況は深刻ですが、木材やエネルギー、非木材林産物を引き続き採取できる森林は、まだ残っています。
森林減少の原因は、各国政府やNGO、国連や欧州連合などの国際機関によく知られています。これらの組織は1990年以来、森林減少を食い止めようとしてきました。しかし、これまでの取り組みは限られた成果しか上げていません。
農業は森林減少の主な原因の一つです。食肉、パーム油、ゴム、大豆、カカオ、家畜、木材、薪などを生産する商業農業が、森林地帯へますます進出しています。
たとえば、中国で牛肉の消費が増えたことは、ブラジルの森林減少と結びついています。2011年から2016年にかけて、中国の牛肉消費量は20%増加しました。その牛肉の主な供給国はブラジルで、供給量の29%を占めており、こうした需要によって同国では約6,000平方キロメートルの熱帯林が失われました。

世界的な森林減少の主な原因の一つは、世界規模で中間層が台頭していることです。それ自体は望ましいことですが、高所得国の中間層と同じようにステーキを食べ、車を所有し、消費したいという人々が増えています。これは問題です。
エクアドル産のバナナは、1週間もかからずにニューヨークの家庭に届きます。イスラエル産のオレンジは3日でジュースになり、フランスの朝食に間に合います。
人口増加に伴う需要に応えるには、都市化のための肥沃な土地と空間がますます必要になります。そして、それが森林面積をさらに減少させる循環を生みます。
世界自然保護基金(WWF)は昨年、8月2日の時点で、2016年の1年間に消費したのと同じ量の資源をすでに使い果たしたと発表しました。これを「アース・オーバーシュート」と呼びます。私たちは世界の資源を消費し尽くしつつあります。
世界は、気候変動を含む人類が直面する主要な課題に取り組むため、持続可能な開発目標(SDGs)を採択しました。目標15では、森林減少と土地の劣化に立ち向かうことを約束しています。1992年以来、毎年クリスマス直前に、各国の首脳が気候変動対策を話し合う締約国会議(COP)に集まり、森林も議題の一部となっています。
国連気候変動枠組条約の下で開催されるCOPでは、毎年、決定や合意が採択され、森林減少への対策として、森林減少・劣化による排出量の削減(REDD+)などの新たな手法も導入されています。森林法の執行・ガバナンス・貿易(FLEGT)などの取り組みは、合法的な木材取引を促進します。こうした取り組みは、国際社会が毎年策定し、検証し、採択するさまざまな仕組みの一部です。
こうした決定の多くは、森林保護の規制が弱く、他の経済部門との連携も限られている政府にとって、実施が難しく費用もかかります。たとえば、56の途上国がREDD+の政策や措置を実施できる態勢を整えるのに5年かかりました。実際にそれらの措置を実施し始めるまでには、さらに5年かかると見込まれます。
一方で、違法伐採は絶え間なく続いています。ブラジルでは、違法伐採者がわずか数時間でサッカー場ほどの面積の森林を伐採できます。また、コートジボワールでカカオを、カンボジアでカシューナッツを栽培するためなどに、数日で保護区へ侵入する者もいます。
環境に配慮した産品を求める多国籍企業が、途上国の熱帯林に次々と進出し、持続可能でない経済協定への署名を迫っています。産業開発や道路、 水力発電ダム、エネルギー網の整備を支援する見返りに、こうした多国籍企業は石油、石炭、パーム油などの天然資源を求めます。主な供給源は森林、あるいはその下の土壌です。
今のところ、森林を失っても何とかやっていけます。しかし、それも長くは続きません。この傾向が続けば、次の10年間で森林はほとんど残らなくなるでしょう。
これを防ぐため、政府と民間部門は今すぐ行動する必要があります。
土地管理計画を実施し、土地利用の変化を規制するための行動が必要です。それは「地球を、より繁栄し持続可能な開発の道筋に乗せる」ためのよい出発点となるでしょう。そして、そのおかげで世界ははるかによい場所になるはずです。





